1. 概要
運動変換機構とは、入力部で発生した運動を、作業部で必要とされる別の形式の運動へ変換する機械的構造である。
一般にモータは回転運動を発生させるが、実際の機械の作業部では、直線運動、往復運動、揺動運動、間欠運動、または所定の曲線軌跡が必要になる場合が多い。そのため、入力部と作業部の間に運動変換機構を配置し、作業に適した運動を生成する。
運動変換機構の基本的な流れは次のとおりである。
動力源
→ 入力運動
→ 運動変換機構
→ 出力運動
→ 作業の実行
代表的な例は次のとおりである。
サーボモータの回転運動
→ ボールねじ
→ 精密直線運動
→ 搬送テーブルの位置決め
また、次のような構成もある。
誘導電動機の連続回転
→ クランク・スライダ機構
→ 直線往復運動
→ 切断刃の往復動作
運動変換機構は、単に運動方向を変更するだけのものではない。出力部の変位量、速度、加速度、休止時間、力、トルクおよび動作サイクルを決定する重要な設計要素である。
2. 運動伝達機構と運動変換機構の違い
運動伝達機構と運動変換機構は密接に関係しているが、それぞれの主な機能に基づいて区別する必要がある。
2.1 運動伝達機構
運動伝達機構は、運動の基本形式を維持したまま、別の位置へ運動を伝える。
代表例は次のとおりである。
回転運動 → 回転運動
歯車
ベルトおよびプーリ
チェーンおよびスプロケット
軸およびカップリング
2.2 運動変換機構
運動変換機構は、入力運動を異なる形式の出力運動へ変換する。
代表例は次のとおりである。
回転運動 → 直線運動
回転運動 → 往復運動
回転運動 → 揺動運動
連続回転 → 間欠回転
直線運動 → 回転運動
単純回転 → 所定の曲線軌跡運動
2.3 複合機能を持つ機構
一部の機構は、運動伝達と運動変換の両方の機能を持つ。
例えばラック・アンド・ピニオンは、歯車のかみ合いによって動力を伝達すると同時に、回転運動を直線運動へ、または直線運動を回転運動へ変換する。
ボールねじも、回転動力を伝達しながら、それを精密な直線運動へ変換する。
したがって、実際の機械機構は、単なる名称ではなく、次のような機能の流れによって分析することが望ましい。
入力運動の種類
→ 変換原理
→ 出力運動の種類
→ 力および速度の変化
→ 作業部への適用
3. 運動変換機構の主な機能
3.1 運動形式の変換
入力運動を、作業部で必要とされる運動形式へ変更する。
例:
回転 → 直線
回転 → 往復
回転 → 揺動
直線 → 回転
連続 → 間欠
3.2 運動方向の変更
出力運動の方向を、入力軸の配置方向とは異なる方向に設定できる。
例:
水平回転軸 → 垂直直線運動
垂直回転軸 → 水平往復運動
直線入力 → 制限角回転
3.3 変位量およびストロークの決定
機構の形状と寸法によって、出力部の移動距離または回転角度が決まる。
例:
クランク半径によって決まる往復ストローク
ねじリードによって決まる1回転当たりの直線移動量
カムプロファイルによって決まるフォロワのリフト量
リンク長さによって決まる出力軌跡
3.4 速度および加速度特性の生成
運動変換機構は、出力部の速度と加速度を決定する。
クランク・スライダ機構やカム機構では、入力軸が一定速度で回転していても、出力部の速度と加速度は連続的に変化する。
3.5 力およびトルクの変換
入力トルクを出力推力へ変換したり、入力直線力を出力トルクへ変換したりできる。
例:
ねじ機構:回転トルク → 軸方向推力
ラック・アンド・ピニオン:回転トルク → 直線力
レバー:入力力 → 増幅された出力力
トグル機構:小さな入力力 → 大きなクランプ力
3.6 動作サイクルおよびタイミングの生成
カム、ゼネバ機構およびインデックス機構は、出力部の移動、停止および復帰のタイミングを機械的に決定する。
3.7 所定軌跡の生成
リンク機構とカム機構は、単純な直線または円運動ではない所定の軌跡を生成できる。
例:
製品のピックアップ軌跡
包装材料の折り曲げ軌跡
ロボットグリッパの接近軌跡
切断刃の同期移動軌跡
4. 運動変換機構の基本分類
運動変換機構は、入力運動と出力運動の関係に基づいて、次のように分類できる。
4.1 回転運動から直線運動への変換
ねじ機構
ボールねじ
ラック・アンド・ピニオン機構
ベルト駆動直動軸
チェーン駆動直動軸
直動カム
電動シリンダ
4.2 回転運動から往復運動への変換
クランク・スライダ機構
スコッチヨーク
偏心機構
直動フォロワを用いたカム機構
往復リンク機構
4.3 回転運動から揺動運動への変換
クランク・ロッカ機構
カムおよびロッカアーム
偏心リンク
四節リンク機構
スロットレバー機構
4.4 連続回転から間欠回転への変換
ゼネバ機構
カムインデクサ
ラチェット・ポール機構
間欠歯車
スターホイール
エスケープメント機構
4.5 直線運動から回転運動への変換
ラック・アンド・ピニオン
クランク機構
レバーおよびリンク
ケーブルおよびドラム
直動シリンダと回転リンク機構
4.6 所定軌跡への変換
四節リンク機構
多節リンク機構
カム機構
スロット・ピン機構
パンタグラフ
平行リンク
ロボットリンク
4.7 力増幅および保持動作への変換
レバー
トグル機構
くさび
偏心クランプ
カムクランプ
ねじクランプ
5. ねじ機構
5.1 定義
ねじ機構は、ねじ山のらせん形状を利用して、回転運動を直線運動へ変換する機構である。
入力軸またはねじ軸が回転すると、ナットが軸方向へ移動する。ナットが固定されている場合は、ねじ軸自体が直線移動する。
5.2 主な構成要素
ねじ軸
ナット
支持軸受
軸方向荷重支持部
カップリング
潤滑装置
回り止めガイド
移動テーブル
5.3 リードと変位量
ねじ軸が1回転したときにナットが移動する距離をリードという。
ねじ軸がN回転した場合の直線変位量は、次の式で表される。
x = L × N
ここで、
x:直線変位量
L:ねじのリード
N:回転数
回転角度を用いる場合は、次の式となる。
x = Lθ / 2π
ここで、θはラジアン単位の回転角度である。
5.4 直線速度
ねじ軸がn rpmで回転する場合、直線速度は次の式で表される。
v = Ln / 60
ここで、
v:直線速度
L:リード
n:ねじ軸の回転速度
リードを大きくすると、同じ回転速度での直線速度は増加するが、同じ入力トルクから得られる軸方向推力は低下する。
5.5 トルクと軸方向推力
理想的なねじ機構における入力トルクと出力推力の関係は、次の式で近似できる。
F ≈ 2πηT / L
ここで、
F:軸方向推力
η:ねじ効率
T:入力トルク
L:リード
同じ入力トルクでは、リードが小さいほど大きな推力を得られるが、移動速度は低くなる。
5.6 主な種類
台形ねじ
構造が単純である
大きな荷重を支持できる
摩擦が比較的大きい
条件によっては自己保持性を持つ
手動調整や昇降機構に適している
角ねじ
動力伝達効率が比較的高い
大きな軸方向荷重に適している
製作が難しい
プレスやジャッキなどに使用される
ボールねじ
ボールの転がり接触によって摩擦が小さい
効率が高い
精密位置決めに適している
予圧によってバックラッシを除去できる
逆駆動性が高い
汚染および潤滑状態の影響を受けやすい
ローラスクリュー
ねじとローラの接触によって高荷重を支持できる
剛性と寿命に優れる
高速・高推力の電動アクチュエータに適している
構造が複雑で価格が高い
5.7 長所
回転運動を精密な直線運動へ変換できる
大きな軸方向力を発生できる
回転数に基づいて移動量を正確に制御できる
構造が比較的単純である
サーボモータやステッピングモータと組み合わせやすい
5.8 短所
長いストロークでは座屈と振動を検討する必要がある
高速回転では危険回転速度が問題になる
ねじ軸の軸ずれに敏感である
ボールねじは汚染や衝撃に弱い場合がある
台形ねじでは摩擦と発熱が大きい
5.9 主な用途
CNC送り軸
サーボプレス
電動シリンダ
昇降装置
精密位置決めテーブル
充填ノズル昇降装置
クランプ装置
高さ調整機構
6. ラック・アンド・ピニオン機構
6.1 定義
ラック・アンド・ピニオン機構は、円形のピニオン歯車と直線状のラック歯車をかみ合わせることにより、回転運動と直線運動を相互に変換する機構である。
ピニオンが回転するとラックが直線移動し、反対にラックが移動するとピニオンが回転する。
6.2 移動量
ピニオンのピッチ円半径をr、回転角度をθとすると、ラックの移動量は次の式で表される。
x = rθ
ピニオンが1回転したときの移動量は、ピッチ円の円周と等しい。
x = 2πr
モジュールと歯数を用いる場合、ピッチ円直径は次の式で表される。
d = mz
したがって、1回転当たりの移動量は次のとおりである。
x = πmz
ここで、
m:モジュール
z:ピニオンの歯数
6.3 トルクと直線力
理想的な条件におけるピニオントルクとラック直線力の関係は、次の式で表される。
F = ηT / r
ここで、
F:ラックに作用する直線力
T:ピニオン入力トルク
r:ピニオンのピッチ円半径
η:伝達効率
6.4 特徴
長い移動距離に適している
高い移動速度を実現できる
構造が比較的単純である
ラックを連結することで移動距離を延長できる
バックラッシが発生する場合がある
歯車のかみ合いによる騒音が発生する
潤滑および軸合わせが必要である
6.5 バックラッシ低減方式
デュアルピニオン予圧
スプリング予圧ピニオン
分割ピニオン
はすばラック・アンド・ピニオン
デュアルモータによる電子予圧
精密等級歯車の使用
6.6 主な用途
大型ガントリー装置
レーザ切断機
プラズマ切断機
自動ドア
エレベータ
操舵装置
大型ロボット軸
長ストローク直線搬送装置
7. クランク・スライダ機構
7.1 定義
クランク・スライダ機構は、クランクの回転運動をスライダの直線往復運動へ変換する代表的な機構である。
反対に、スライダの往復運動をクランクの回転運動へ変換することもできる。
7.2 主な構成要素
固定フレーム
クランク
コネクティングロッド
スライダ
回転対偶
直線ガイド
7.3 ストローク
クランク半径をrとすると、一般的なインライン型クランク・スライダ機構の全ストロークは次のとおりである。
S = 2r
したがって、必要なストロークが決まれば、クランク半径は次の式で求められる。
r = S / 2
7.4 スライダ位置
クランク中心を基準としたスライダ位置は、次の式で表される。
x = r cosθ + √(l² − r²sin²θ)
ここで、
x:スライダ位置
r:クランク半径
l:コネクティングロッド長さ
θ:クランク角度
スライダ速度と加速度は、この位置式を時間で微分することで求められる。
7.5 運動特性
クランクが一定角速度で回転していても、スライダは一定速度では移動しない。
スライダはストローク中央付近で高い速度となり、上死点と下死点では瞬間的に停止する。
コネクティングロッドの長さが有限であるため、前進行程と復帰行程の速度および加速度特性は完全には対称にならない場合がある。
7.6 死点
クランクとコネクティングロッドが一直線上に並ぶ位置を死点という。
上死点
下死点
死点ではスライダ速度が0になる。機構によっては大きな力が伝達されたり、運動方向が反転したりする。
7.7 長所
構造が明確で信頼性が高い
回転運動から繰返し往復運動を容易に生成できる
大きな力を伝達できる
高速サイクル運転に適用できる
製作と保守が比較的容易である
7.8 短所
出力速度と加速度が非線形である
慣性力と振動が発生する
スライダに側圧が作用する
ストローク変更が容易ではない
死点付近で運動特性が急激に変化する
7.9 主な用途
エンジン
往復ポンプ
コンプレッサ
機械プレス
往復式切断機
包装機械
充填装置
往復搬送装置
8. スコッチヨーク機構
8.1 定義
スコッチヨーク機構は、回転するクランクピンが直線スロット内を移動することで、回転運動を直線往復運動へ変換する機構である。
単振動に近い往復運動を生成する。
8.2 変位量
クランク半径をr、クランク角度をθとすると、ヨークの位置は次の式で表される。
x = r cosθ
全ストロークは次のとおりである。
S = 2r
8.3 速度と加速度
クランク角速度をωとすると、次の式で表される。
v = −rω sinθ
a = −rω² cosθ
出力運動は、理想的な単振動に近い特性を持つ。
8.4 長所
部品点数が少ない
構造が単純である
クランク・スライダ機構より全長を短くできる
数学的に規則的な往復運動を生成する
ストロークがクランク直径によって明確に決まる
8.5 短所
ピンとスロットの間に大きなすべり摩擦が発生する
接触面の摩耗が大きい
高速・高荷重では潤滑が重要である
側面衝撃と騒音が発生する場合がある
スロット部の応力集中を検討する必要がある
8.6 主な用途
バルブアクチュエータ
小型ポンプ
往復式切断機
試験装置
振動発生装置
小型自動化装置
9. 偏心機構
9.1 定義
偏心機構は、回転中心から作動点を一定距離だけ偏心させることにより、回転運動を往復運動または揺動運動へ変換する機構である。
偏心量は、クランク機構におけるクランク半径と同様の役割を果たす。
9.2 運動特性
偏心量をeとすると、理想的な出力ストロークは次のとおりである。
S = 2e
偏心軸が回転すると、フォロワまたはコネクティングロッドが繰返し往復運動を行う。
9.3 主な種類
偏心ディスク
偏心軸
偏心カム
調整式偏心機構
二重偏心機構
9.4 長所
構造が単純でコンパクトである
小さな往復ストロークを容易に生成できる
回転軸と一体化しやすい
繰返し運動に適している
振動装置やフィーダに適用しやすい
9.5 短所
回転不釣合いが発生する場合がある
軸受に繰返し荷重が作用する
大きなストロークには適していない
振動と騒音が発生する
高速運転では動的バランスが重要である
9.6 主な用途
振動フィーダ
ふるい装置
往復式切断装置
小型プレス
包装機械
ポンプ
撹拌・揺動装置
10. カム・フォロワ機構
10.1 定義
カム機構は、カムプロファイルの形状に従って、フォロワを所定の位置、速度および加速度特性で動かす運動変換機構である。
カムは回転運動を直線運動または揺動運動へ変換し、移動および休止時間を機械的にプログラムできる。
10.2 主な構成要素
カム
カム軸
フォロワ
ローラ
復帰ばね
ガイド
軸受
フレーム
10.3 主なカムの種類
板カム
平面上に形成されたプロファイルによってフォロワを動かす。
円筒カム
円筒表面に形成された溝に沿ってフォロワを動かす。
バレルカム
円筒体に形成された空間曲線状の溝によって複雑な運動を生成する。
端面カム
カムの端面に形成された溝またはプロファイルを利用する。
直動カム
カム自体が直線移動することでフォロワを作動させる。
共役カム
二つのカムによってフォロワを両方向から拘束し、高速運転時にも安定した接触を維持する。
10.4 フォロワの種類
ローラフォロワ
平面フォロワ
球面フォロワ
ナイフエッジフォロワ
直動フォロワ
オフセットフォロワ
揺動フォロワ
10.5 カム運動区間
カム1回転中のフォロワ運動は、一般に次の区間で構成される。
上昇区間
休止区間
下降区間
復帰後の休止区間
10.6 主な運動曲線
等速運動
速度は一定であるが、運動開始時および終了時に加速度が急激に変化する。
低速用途、または衝撃が問題にならない装置に限定して使用される。
等加速度・等減速度運動
上昇区間の前半で等加速し、後半で等減速する。
切替点ではジャークが急激に変化する場合がある。
単振動
比較的滑らかな速度および加速度特性を持つ。
一般的な中速カム装置に使用される。
サイクロイド運動
運動の開始点と終了点で速度と加速度が0となるため、高速運転に適している。
多項式運動
3-4-5多項式や4-5-6-7多項式などを用いて、速度、加速度およびジャークを滑らかに制御する。
10.7 圧力角
圧力角とは、フォロワの運動方向と、カムからフォロワへ伝達される力の方向との間の角度である。
圧力角が過大になると、次の問題が発生する。
側圧の増加
摩擦の増加
ガイドの摩耗
駆動トルクの増加
振動
フォロワ離脱の危険性増加
10.8 接触の維持
フォロワとカム表面の接触を維持する方法には、次のものがある。
ばね復帰
重力復帰
共役カム
溝カム
油圧または空気圧予圧
10.9 長所
一つの回転軸から複雑な運動を生成できる
移動、休止および復帰のタイミングを正確に設定できる
複数の作業部を機械的に同期できる
繰返し精度が高い
電子制御なしで所定の動作サイクルを実現できる
10.10 短所
カムプロファイルの設計と製作が複雑である
運動を変更する場合、カム交換が必要になることがある
接触応力と摩耗が発生する
高速運転ではフォロワジャンプを検討する必要がある
潤滑および表面硬度の管理が重要である
10.11 主な用途
包装機械
充填機
ラベリング機
自動組立装置
プレス
バルブ駆動
製品搬送・分離装置
シール装置
切断装置
11. 四節リンク機構
11.1 定義
四節リンク機構は、四本のリンクを四つの回転対偶で接続した、最も基本的な閉ループリンク機構である。
一般に一つのリンクをフレームとして固定し、その他のリンクが入力リンク、カプラリンクおよび出力リンクとして機能する。
11.2 主な構成
固定リンク
入力クランク
カプラリンク
出力ロッカ
四つの回転対偶
11.3 主な種類
クランク・ロッカ
入力クランクが連続回転し、出力ロッカが一定の角度範囲で揺動する。
ダブルクランク
入力リンクと出力リンクの両方が連続回転できる。
ダブルロッカ
入力リンクと出力リンクの両方が制限された角度範囲内で揺動する。
平行リンク
出力リンクが入力リンクと平行な姿勢を維持する。
11.4 グラスホフ条件
最短リンクをs、最長リンクをl、残りの二本のリンクをpおよびqとすると、次の条件を検討できる。
s + l ≤ p + q
この条件を満たす場合、適切な固定リンクの選択によって、少なくとも一つのリンクがフレームに対して完全回転できる。
11.5 機能
回転運動を揺動運動へ変換
揺動角度の増幅または縮小
所定軌跡の生成
非線形速度特性の生成
平行姿勢の維持
運動方向の変更
11.6 長所
構造が比較的単純である
カム機構より接触摩耗が少ない
多様な軌跡と運動比を生成できる
高速繰返し運動に適用できる
潤滑箇所が明確である
11.7 短所
運動特性がリンク長さと配置によって大きく変化する
ジョイントのすきまが累積する場合がある
複雑な軌跡設計には解析が必要である
特異点および死点が発生する場合がある
比較的大きな設置空間が必要になることがある
11.8 主な用途
ロッカアーム
ワイパ機構
包装材料折り曲げ装置
グリッパ開閉機構
製品搬送装置
平行開閉ドア
昇降機構
プレスリンク
12. 多節リンクおよび軌跡生成機構
12.1 定義
多節リンク機構は、六本以上のリンクを組み合わせ、四節リンクより複雑な運動や軌跡を生成する機構である。
12.2 主な種類
六節リンク
八節リンク
スティーブンソンリンク
ワットリンク
パンタグラフ
平行リンク
ロボットリンク
歩行リンク機構
12.3 主な機能
直線に近い軌跡の生成
所定の曲線軌跡の生成
姿勢維持
運動の拡大または縮小
非対称往復運動の生成
入力と出力間の非線形関係の生成
12.4 長所
複雑な運動を機械的に実現できる
カムのすべり接触に代えて、主に回転対偶または転がり要素で構成できる
高い剛性と荷重伝達能力を実現できる
一つの駆動軸から複数の運動を連動させられる
12.5 短所
設計および運動学解析が複雑である
ジョイント数の増加によってすきまが累積する
部品点数と組立コストが増加する
リンク間の干渉を確認する必要がある
動的バランスと慣性力の解析が複雑になる
13. トグル機構
13.1 定義
トグル機構は、二本のリンクが一直線に近づくとき、非常に大きな機械的利益を発生させるリンク機構である。
比較的小さな入力力から、大きなクランプ力またはプレス力を発生させるために使用される。
13.2 作動原理
トグルリンクが一直線状態に近づくほど、出力変位は小さくなり、出力力は大きく増加する。
完全に一直線になる位置は死点となる。その位置をわずかに越えると、オーバーセンターロック状態を形成できる。
13.3 主な機能
力の増幅
クランプ
金型ロック
位置保持
オーバーセンターロック
高速接近後の高い最終加圧力
13.4 長所
小さなアクチュエータ力から大きな出力力を得られる
機械的なロック状態を形成できる
構造が比較的単純である
繰返しクランプに適している
ストローク中に接近速度とクランプ力を変化させられる
13.5 短所
死点付近で応力が大きく増加する
ジョイントの剛性とすきまが重要である
過大な入力によって部品が損傷する可能性がある
運動範囲が制限される
正確なリンク長さと軸合わせが必要である
13.6 主な用途
射出成形機の金型クランプ
機械プレス
トグルクランプ
ドアロック装置
ジグおよび治具
包装シール装置
14. くさび機構
14.1 定義
くさび機構は、傾斜面を利用して入力運動の方向を変更し、力を増幅する機構である。
直線入力運動を、別方向の短い直線出力運動へ変換するために使用される。
14.2 理想的な力の関係
摩擦を無視し、くさび角度をαとすると、入力力と出力力は幾何学的関係によって決まる。
くさび角度を小さくするほど大きな力を得られるが、出力移動量は減少する。
14.3 自己保持
くさび角度と摩擦係数の関係によっては、入力力を取り除いても、くさびが逆方向へ移動しない自己保持状態を形成できる。
14.4 長所
構造が非常に単純である
大きな力を発生できる
微細な高さ調整やすきま調整に適している
クランプおよび位置決めに有効である
複雑なリンク機構を必要としない
14.5 短所
すべり摩擦と摩耗が発生する
潤滑状態によって出力力が変化する
高速繰返し運動には適さない場合がある
側方荷重に対する支持構造が必要である
摩擦によるエネルギー損失が大きい
14.6 主な用途
金型高さ調整
クランプ装置
機械レベリング
すきま調整
プレス
ワーク位置決め
15. ゼネバ機構
15.1 定義
ゼネバ機構は、連続した入力回転を一定角度の間欠回転へ変換する代表的なインデックス機構である。
駆動輪のピンがゼネバホイールの溝へ入り、所定角度だけ回転させる。ピンが溝から外れている間、出力ホイールは停止する。
15.2 主な構成要素
駆動輪
駆動ピン
ゼネバホイール
スロット
ロックディスク
入力軸
出力軸
15.3 インデックス角度
ゼネバホイールのスロット数をNとすると、1回のインデックス動作における回転角度は次のとおりである。
θ_index = 360° / N
15.4 特徴
移動と休止を機械的に繰り返す
構造が比較的単純である
一定のインデックス角度を得られる
休止中に出力軸を機械的に固定できる
高速時には衝撃と振動が増加する
ピンとスロット間に高い接触応力が発生する
15.5 長所
複雑な制御なしで間欠運動を実現できる
繰返し位置が明確である
設計および製作が比較的容易である
休止区間を設けやすい
15.6 短所
ピンがスロットへ進入・離脱する際に衝撃が発生する
高速運転への適用には制限がある
スロットが摩耗する
インデックス角度の変更が難しい
高精度位置決めには追加補正が必要になる場合がある
15.7 主な用途
インデックステーブル
フィルム送り装置
自動組立機
包装機械
製品分配装置
回転作業テーブル
16. ラチェット・ポール機構
16.1 定義
ラチェット・ポール機構は、往復入力または回転入力を一方向の段階的な回転運動へ変換したり、逆回転を防止したりする機構である。
16.2 主な機能
一方向回転
段階送り
逆回転防止
張力維持
位置保持
手動インデックス
16.3 主な種類
外歯ラチェット
内歯ラチェット
シングルポール機構
ダブルポール機構
往復レバー式ラチェット
オーバーランニングラチェット
16.4 長所
構造が単純である
低速の間欠運動に適している
逆回転防止機能を同時に得られる
手動機構へ適用しやすい
保守が比較的容易である
16.5 短所
衝撃と騒音が発生する
高速運転には適していない
ラチェット歯およびポールが摩耗する
精密な速度制御が難しい
バックラッシが比較的大きい
16.6 主な用途
手動ウインチ
巻取り装置
張力調整装置
インデックス装置
逆転防止装置
供給フィーダ
17. カムインデクサ
17.1 定義
カムインデクサは、特殊なカムプロファイルを利用して、連続入力回転を高精度な間欠回転へ変換する装置である。
17.2 主な種類
バレルカムインデクサ
グロボイダルカムインデクサ
平面カムインデクサ
パラレルカムインデクサ
17.3 特徴
正確なインデックス角度
高い繰返し精度
移動区間と休止区間を設定可能
ゼネバ機構より滑らかな加減速
高速運転が可能
高い剛性と荷重支持能力
17.4 長所
衝撃と振動が小さい
高速・高精度インデックスに適している
休止中に高い位置剛性を確保できる
さまざまな運動曲線を適用できる
17.5 短所
設計と製作が複雑である
価格が高い
カムプロファイルの変更が難しい
潤滑および組立精度が重要である
過負荷保護装置が必要になる場合がある
17.6 主な用途
高速包装機械
ロータリ組立機
検査装置
充填機
印刷機
高速インデックステーブル
18. スターホイールおよびエスケープメント機構
18.1 スターホイール
スターホイールは、製品形状に対応したポケットを持つ回転体を用いて、製品を一定間隔で分離しながら回転搬送する。
主な用途
ボトルおよび容器の搬送
充填機
キャッピング機
ラベリング機
包装製品の整列
円形工程搬送
18.2 エスケープメント機構
エスケープメント機構は、連続して供給される部品や製品を一個ずつ分離し、放出する。
主な種類
ダブルストッパ式
スライドゲート式
回転フィンガ式
カム駆動式
空気圧シリンダ式
主な用途
振動フィーダ
自動組立機
部品供給装置
包装機械
検査装置
19. 運動変換機構の主要設計変数
19.1 入力運動
回転または直線
入力速度
入力トルクまたは入力力
回転方向
連続または間欠
定速または可変速
19.2 出力運動
直線
回転
往復
揺動
間欠
所定曲線軌跡
複合運動
19.3 移動距離と回転角度
直線ストローク
揺動角度
インデックス角度
1回転当たりの移動量
繰返し位置
ストローク端位置
19.4 速度
最大速度
平均速度
瞬間速度
復帰速度
移動区間と休止区間
速度変動率
19.5 加速度とジャーク
加速度は、機構に作用する慣性力を決定する。
F_inertia = ma
ジャークは、加速度の時間変化率である。
j = da / dt
ジャークが大きい場合、次の問題が発生する可能性がある。
衝撃
振動
騒音
製品の不安定化
リンクおよび軸受の疲労
フォロワの離脱
19.6 力とトルク
入力トルク
出力推力
最大作業荷重
瞬間最大荷重
クランプ力
慣性荷重
摩擦抵抗
19.7 効率
運動変換過程では、摩擦、変形、衝撃および潤滑抵抗によるエネルギー損失が発生する。
η = 出力動力 / 入力動力
19.8 バックラッシとすきま
ジョイント、歯車、ねじおよびスロットのすきまは、出力位置誤差と衝撃を増加させる。
精密機構では、次の項目を管理する必要がある。
歯車バックラッシ
ねじ・ナット間すきま
ピン・ブッシュ間すきま
カム・フォロワ間すきま
リンクジョイントすきま
ガイドすきま
19.9 剛性と変形
機構の変形は、実際の出力位置と出力力に影響する。
主な評価項目は次のとおりである。
軸のねじり
リンクの曲げ
フレーム変形
ねじ軸の圧縮
軸受変位
ジョイントの弾性変形
19.10 慣性と動的バランス
高速機構では、回転部品と往復部品の慣性が重要である。
回転不釣合い
往復質量
慣性モーメント
クランクバランス
カウンタウェイト
共振周波数
フレーム振動
20. 運動変換機構の一般比較
20.1 ねじ機構
適している条件:
精密な直線位置決め
大きな軸方向推力
速度と位置の電子制御
比較的長いストローク
注意すべき項目:
危険回転速度
座屈
潤滑
軸合わせ
バックラッシ
汚染
20.2 ラック・アンド・ピニオン
適している条件:
長い移動距離
高い移動速度
大型機械
回転運動と直線運動の双方向変換
注意すべき項目:
バックラッシ
潤滑
歯車騒音
ラック接続部の精度
ピニオン支持剛性
20.3 クランク・スライダ
適している条件:
繰返し往復運動
高速サイクル
大きな作業力
一定ストローク
注意すべき項目:
振動
側圧
慣性力
ジョイント摩耗
死点
20.4 スコッチヨーク
適している条件:
コンパクトな往復運動
単振動型の運動
比較的単純な構造
注意すべき項目:
スロット摩耗
すべり摩擦
潤滑
衝撃
接触応力
20.5 カム機構
適している条件:
所定の運動曲線
正確なタイミング
移動と休止の繰返し
複数工程の機械的同期
注意すべき項目:
接触応力
フォロワジャンプ
圧力角
潤滑
カム製作精度
20.6 リンク機構
適している条件:
揺動運動
所定軌跡
姿勢維持
複雑な運動比
注意すべき項目:
ジョイントすきま
特異点
リンク間干渉
運動学解析
フレーム剛性
20.7 インデックス機構
適している条件:
一定角度移動
移動と休止の繰返し
回転テーブル
製品分配
注意すべき項目:
インデックス衝撃
繰返し精度
休止中の剛性
過負荷
潤滑
21. 運動変換機構の選定手順
21.1 作業機能の定義
最初に、作業部で必要とされる機能を定義する。
例:
搬送
昇降
切断
クランプ
回転
揺動
インデックス
製品分離
軌跡追従
21.2 出力運動の定義
運動形式
移動距離
回転角度
ストローク
サイクル
休止時間
速度
加速度
繰返し精度
21.3 荷重条件の解析
静的作業荷重
慣性荷重
衝撃荷重
摩擦抵抗
偏心荷重
繰返し荷重
非常時荷重
21.4 入力アクチュエータの検討
誘導電動機
サーボモータ
ステッピングモータ
空気圧シリンダ
油圧シリンダ
手動レバー
ばね
重力
21.5 変換原理の比較
ねじ
歯車
クランク
カム
リンク
くさび
インデックス
ケーブル
流体アクチュエータ
21.6 運動特性の確認
速度変化
加速度
ジャーク
休止区間
復帰運動
非対称運動
同期性
振動
21.7 強度および寿命の確認
リンク強度
軸強度
ピンおよびブッシュの面圧
カム接触応力
歯車歯面強度
ねじの座屈
軸受寿命
疲労寿命
21.8 空間および組立性の確認
設置空間
機構の動作領域
リンク間干渉
作業部へのアクセス性
組立および分解
潤滑作業性
部品交換スペース
安全カバー
21.9 制御方式の確認
純機械式制御
電子カム
サーボ制御
センサフィードバック
位置制御
速度制御
トルク制御
同期制御
21.10 最終検証
運動学解析
動力学解析
構造解析
干渉確認
シミュレーション
試作試験
繰返し寿命試験
非常停止試験
22. 主な故障形態
22.1 ねじ機構
ねじ山の摩耗
ボール循環部の損傷
バックラッシの増加
ねじ軸の座屈
危険回転速度による振動
潤滑不足
シール破損
ナットの過熱
22.2 ラック・アンド・ピニオン
歯面摩耗
ピッチング
バックラッシの増加
ラック接続部での衝撃
ピニオン軸受の損傷
潤滑不足
軸ずれ
22.3 クランクおよびリンク
ピン摩耗
ブッシュ摩耗
リンクの疲労亀裂
軸の曲げ
ボルトの緩み
スライダガイドの摩耗
側圧の増加
22.4 カムおよびフォロワ
カム表面のピッチング
フォロワローラの損傷
スコーリング
ばねの疲労
フォロワジャンプ
カム軸軸受の損傷
プロファイル摩耗
22.5 インデックス機構
ピンおよびスロットの摩耗
位置決め精度の低下
衝撃による破損
カム表面の損傷
出力軸軸受の損傷
過負荷による変形
ロック部の摩耗
22.6 共通の故障原因
過大荷重
軸ずれ
潤滑不足
汚染
組立誤差
共振
過速度
衝撃
不適切な材料選定
フレーム剛性不足
23. 保守および点検
23.1 定期点検項目
異常音
振動
温度上昇
潤滑状態
すきまの増加
ストロークの変化
位置繰返し精度
リンク変形
ボルトの緩み
カムとローラの接触状態
ねじ軸の汚染
安全カバーの状態
23.2 すきま点検
ねじバックラッシ
ラック・アンド・ピニオンのバックラッシ
ピン・ブッシュ間すきま
リンクジョイントすきま
カム・フォロワ間すきま
スライダ・ガイド間すきま
23.3 潤滑管理
主な潤滑箇所は次のとおりである。
ねじとナット
歯車かみ合い部
ピンとブッシュ
カムとフォロワ
軸受
スロットとピン
リニアガイド
23.4 状態基準保全
センサおよび測定装置を用いて、次の項目を監視できる。
振動
温度
モータ電流
駆動トルク
位置誤差
繰返し精度
サイクルタイム
騒音
潤滑油の状態
24. 食品機械における運動変換機構
食品機械の運動変換機構は、機能だけでなく、衛生性、洗浄性および汚染防止を考慮して設計する必要がある。
24.1 主な衛生要求事項
食品残渣が蓄積しにくい構造
開放型または洗浄可能な構造
水平面と深い隙間の最小化
潤滑油漏れの防止
食品接触部と機構部の分離
排水可能なフレーム
耐食材料の使用
工具なしで取り外せる構造
洗浄後に乾燥しやすい構造
24.2 ねじ機構
ボールねじおよびリードスクリューは、ベローズ、カバー、または別の非衛生区域への配置によって、汚染物や洗浄水から保護することが望ましい。
24.3 カム機構
カムとフォロワは潤滑を必要とするため、密閉ハウジング内、または食品接触区域から分離された駆動室に配置する必要がある。
24.4 リンク機構
リンクおよびジョイントは、食品残渣が蓄積しない単純な外形と、十分に洗浄できる間隔を確保する必要がある。
露出したねじ式調整ボルトや、複雑に重なり合う構造は、食品接触区域では最小限にすることが望ましい。
24.5 チェーンおよびラック機構
潤滑や汚染物蓄積の可能性があるため、直接食品区域から分離するか、衛生型カバーを設置する必要がある。
24.6 空気圧機構
空気圧シリンダは構造が単純で、洗浄区域に適用しやすい。ただし、ロッドシールおよび排気空気による汚染の可能性を検討する必要がある。
24.7 主な適用例
充填ノズルの昇降
切断刃の往復運動
包装材料の折り曲げ
シールジョーの開閉
製品分離ストッパ
スターホイールによる容器搬送
グリッパの開閉
金型クランプ
製品排出装置
食肉の圧縮・成形装置
25. 適用事例
25.1 充填ノズル昇降装置
サーボモータ
→ カップリング
→ ボールねじ
→ リニアガイド
→ 充填ノズル
主な検討項目:
昇降ストローク
最大速度
繰返し位置決め精度
ノズル重量
洗浄環境
ボールねじの保護
非常時の落下防止
25.2 往復式切断装置
誘導電動機
→ 減速機
→ クランク・スライダ機構
→ 切断刃
主な検討項目:
切断ストローク
サイクル速度
瞬間切断力
慣性力
振動
刃の交換性
安全カバー
25.3 カム駆動包装機
主モータ
→ 減速機
→ カム軸
→ 複数のカム
→ シール、切断および搬送ユニット
主な検討項目:
工程タイミング
カム位相
休止時間
圧力角
フォロワ接触
潤滑
同期精度
25.4 回転インデックステーブル
モータ
→ 減速機
→ カムインデクサ
→ 回転テーブル
主な検討項目:
インデックス角度
休止時間
テーブル慣性
繰返し位置決め精度
搭載荷重
非常停止
過負荷保護
25.5 グリッパ開閉装置
空気圧シリンダ
→ くさびまたはリンク
→ 左右グリッパフィンガ
主な検討項目:
開閉ストローク
把持力
平行度
製品損傷
動作速度
センサ位置
洗浄性
25.6 包装材料折り曲げリンク
カムまたはサーボモータ
→ 四節リンク
→ 折り曲げアーム
→ 包装材料の折り曲げ
主な検討項目:
折り曲げ軌跡
製品との干渉
速度と加速度
繰返し精度
リンクすきま
調整範囲
26. 機械式運動変換とサーボ運動の比較
26.1 機械式変換機構
代表的な方式:
カム
クランク
リンク
ゼネバ機構
ラチェット
機械式インデクサ
長所:
複数の運動を機械的に同期できる
繰返し精度が高い
制御構成が単純である
高速繰返し運転に適している
固定サイクル用途で安定している
短所:
運動変更が難しい
機構変更または部品交換が必要になる
摩耗とバックラッシが発生する
製品変更への対応性が低い場合がある
26.2 サーボ式運動変換
代表的な方式:
サーボモータとボールねじ
サーボモータとラック・アンド・ピニオン
回転サーボ軸
電子カム
多軸同期制御
長所:
運動プロファイルを容易に変更できる
製品別レシピを適用できる
位置と速度を精密に制御できる
機械式カムの数を削減できる
診断およびデータ収集が容易である
短所:
制御システムが複雑になる
モータ、ドライブおよびセンサのコストが増加する
電気的故障や通信エラーを考慮する必要がある
非常停止および機能安全設計が必要である
26.3 ハイブリッド方式
産業機械では、機械式変換機構とサーボ制御を組み合わせることができる。
例:
サーボモータ
→ カム軸
→ リンク機構
→ 作業部
この方式は、サーボ制御の柔軟性と、機械式機構の高い剛性および同期性を組み合わせるものである。
27. 結論
運動変換機構は、動力源によって生成された入力運動を、実際の作業に必要な出力運動へ変換する機械システムの中核要素である。
運動変換機構は、単に回転運動を直線運動へ変える構造に限定されない。ストローク、速度、加速度、ジャーク、休止時間、力、トルク、軌跡および動作サイクルを決定する機械的論理を含んでいる。
ねじ機構は精密な直線位置決めと高推力に適しており、ラック・アンド・ピニオンは長距離かつ高速の直線移動に適している。クランク・スライダ機構と偏心機構は、繰返し往復運動に有効であり、カム機構は所定の運動プロファイルと工程タイミングの実現に適している。
リンク機構は、回転、揺動および所定軌跡の運動を生成できる。ゼネバ機構とカムインデクサは、連続回転を制御された間欠回転へ変換する。トグル機構とくさび機構は、小さな入力運動から大きな出力力を発生させるために使用される。
したがって、運動変換機構は次の順序で設計・選定することが望ましい。
作業機能の定義
→ 出力運動の定義
→ ストロークおよび回転角度の決定
→ 速度、加速度およびジャークの解析
→ 荷重およびトルクの解析
→ 変換原理の比較
→ 機構寸法およびアクチュエータの決定
→ 強度、寿命および振動の確認
→ 安全性、保守性および衛生設計の確認
→ シミュレーションおよび試作試験
運動変換機構を適切に選定・設計することで、生産速度と精度だけでなく、耐久性、エネルギー効率、柔軟性、安全性および保守性も向上させることができる。