速度・位置特性によるモーションの分類と設計

速度・位置特性によるモーションの分類と設計

1. 概要

機械システムのモーションは、物体がどのような経路に沿って移動するかだけでなく、どの程度の速度で移動するか、速度がどのように変化するか、どの位置で停止するか、目標位置をどの程度正確に追従するかによっても異なる特性を持つ。

運動軌跡による分類が、直線、回転、円弧、曲線などの空間的な移動経路を中心とするのに対し、速度・位置特性による分類では、次のような点を分析する。

  • 速度が一定に維持されるか

  • 速度が段階的または連続的に変化するか

  • 加速と減速がどのように行われるか

  • 目標位置だけが重要で、移動経路は重要でないか

  • 移動中の全経路を正確に追従する必要があるか

  • 絶対位置と相対位置のどちらを基準とするか

  • 停止後に位置が安定するまで、どの程度の時間が必要か

  • 指令位置と実際の位置との間に、どの程度の誤差があるか

  • 同じ位置へ繰り返し移動した場合、どの程度のばらつきが発生するか

  • 外部の移動物体や他軸の位置を追従する必要があるか

同じ直線搬送軸であっても、定速コンベヤ、点対点位置決め軸、連続経路加工軸、追従軸では、必要となる駆動方式と制御構造が異なる。

したがって、速度・位置特性は、次の項目を決定する基本的な設計基準である。

  • モーター容量

  • 減速機の選定

  • 位置センサーおよびエンコーダーの選定

  • 制御装置の性能

  • 位置決め精度

  • 繰返し精度

  • サイクルタイム

  • 製品品質

  • 振動と衝撃

  • 機械構造の剛性

  • 非常停止性能

2. 運動軌跡、時間特性、速度・位置特性の違い

2.1 運動軌跡

運動軌跡とは、物体が空間内で通過する経路を意味する。

代表的な例は次のとおりである。

  • 直線経路

  • 円弧経路

  • 円形経路

  • らせん経路

  • 曲線経路

  • 三次元空間経路

2.2 時間特性

時間特性は、運動がいつ開始され、どの程度持続し、どのような周期で繰り返されるかを表す。

代表的な例は次のとおりである。

  • 連続運動

  • 間欠運動

  • 周期運動

  • イベント駆動運動

  • 同期運動

  • 断続運転

2.3 速度特性

速度特性は、物体の移動速度が時間または位置に応じてどのように変化するかを表す。

代表的な例は次のとおりである。

  • 定速運動

  • 可変速運動

  • 加速運動

  • 減速運動

  • 低速接近運動

  • 高速搬送運動

  • 段階速度運動

  • 速度追従運動

2.4 位置特性

位置特性は、目標位置の定義方式と位置制御方式を表す。

代表的な例は次のとおりである。

  • 点対点位置決め

  • 連続経路制御

  • 絶対位置移動

  • 相対位置移動

  • インデックス位置決め

  • 多点位置決め

  • 位置追従運動

  • 原点復帰

  • 位置保持

一つのモーションは、これらの特性を同時に持つ場合がある。

例えば、サーボモーターで駆動されるボールねじ搬送軸は、次のように表すことができる。

  • 軌跡特性:直線運動

  • 時間特性:間欠運動

  • 速度特性:台形またはS字速度プロファイル

  • 位置特性:絶対位置による点対点制御

3. 速度・位置特性の基本分類

速度・位置特性は、次の基準に分けて分析できる。

3.1 速度維持方式による分類

  • 定速運動

  • 可変速運動

  • 段階速度運動

  • 低速運動

  • 高速運動

  • クリープ運動

3.2 速度変化方式による分類

  • 等加速度運動

  • 等減速度運動

  • 加減速運動

  • 台形速度運動

  • 三角形速度運動

  • S字速度運動

  • 急停止運動

3.3 速度関係による分類

  • 独立速度運動

  • 速度同期運動

  • 比例速度運動

  • 速度追従運動

  • マスター・スレーブ運動

3.4 位置指令方式による分類

  • 絶対位置移動

  • 相対位置移動

  • 増分位置移動

  • 原点基準移動

  • ティーチング位置移動

3.5 位置決め方式による分類

  • 点対点位置決め

  • 多点位置決め

  • インデックス位置決め

  • 連続経路位置制御

  • 位置追従運動

  • 位置保持運動

3.6 制御精度特性による分類

  • オープンループ位置制御

  • クローズドループ位置制御

  • 単一フィードバック制御

  • 二重フィードバック制御

  • 直接位置検出制御

4. 速度の基本概念

4.1 直線速度

直線速度とは、単位時間当たりの位置変化量である。

v = dx / dt

各記号の意味は次のとおりである。

  • v:直線速度

  • x:位置または移動距離

  • t:時間

  • dx / dt:時間に対する位置の変化率

平均速度は、次のように計算できる。

v_avg = 移動距離 / 移動時間

例えば、500 mmを2秒で移動する場合、平均速度は次のようになる。

v_avg = 500 mm / 2 s = 250 mm/s

4.2 回転速度

回転運動では、角速度または1分当たりの回転数を使用する。

ω = dθ / dt

各記号の意味は次のとおりである。

  • ω:角速度

  • θ:回転角度

  • t:時間

1分当たりの回転数は、一般的にrpmで表す。

4.3 直線速度と回転速度の関係

回転体の半径と角速度が分かれば、外周部の直線速度を計算できる。

v = r × ω

各記号の意味は次のとおりである。

  • v:直線速度

  • r:回転半径

  • ω:角速度

同じ回転速度であっても、回転半径が大きくなるほど外周部の直線速度は増加する。

5. 定速運動

5.1 定義

定速運動とは、物体の速度が一定に維持される運動である。

理想的な定速運動では、加速度は0である。

a = 0

5.2 主な特徴

  • 製品の搬送速度が一定に維持される。

  • 工程時間を予測しやすい。

  • 速度変化による衝撃が比較的小さい。

  • 連続工程に適している。

  • 負荷が変化すると速度偏差が発生する場合がある。

5.3 代表的な適用例

  • ベルトコンベヤ

  • ローラーコンベヤ

  • 連続切断装置

  • 定速撹拌機

  • ポンプ

  • スクリューフィーダー

  • フィルム供給装置

  • 連続生産ライン

5.4 設計上の考慮事項

  • 目標速度

  • 速度偏差

  • 負荷変動

  • モーターのスリップ

  • 減速機効率

  • 速度センサー

  • 長時間の速度安定性

  • 製品の滑り

定速運転では、モーターの回転速度が一定であっても、ベルトの滑りや製品とベルトの間のスリップによって、実際の製品速度が異なる場合がある。

6. 可変速運動

6.1 定義

可変速運動とは、工程条件または運転指令に応じて速度を変更する運動である。

速度は段階的に変化する場合と、連続的に変化する場合がある。

6.2 主な特徴

  • 生産条件に応じて速度を調整できる。

  • 製品種類に応じて運転速度を変更できる。

  • 工程区間ごとに異なる速度を適用できる。

  • 速度変更時には加速条件と減速条件が必要となる。

  • 速度制御装置の応答性能が重要である。

6.3 代表的な適用例

  • インバーター駆動コンベヤ

  • サーボ搬送軸

  • 可変速ミキサー

  • 可変流量ポンプ

  • 製品種類別の速度変更装置

  • 工程条件に応じて速度が変化する切断機

6.4 設計上の考慮事項

  • 最低速度

  • 最高速度

  • 速度調整範囲

  • 低速トルク

  • 速度変更時間

  • 速度安定性

  • モーター冷却

  • 減速機の許容回転速度

7. 段階速度運動

7.1 定義

段階速度運動とは、あらかじめ設定された複数の速度から一つを選択して運転する方式である。

速度は連続的に変化するのではなく、定められた段階に切り替わる。

7.2 代表的な速度段階

  • 低速

  • 中速

  • 高速

  • 接近速度

  • 作業速度

  • 復帰速度

7.3 主な特徴

  • 制御が比較的単純である。

  • 工程ごとの速度設定が容易である。

  • 連続可変速より設定管理が容易である。

  • 速度切替時に衝撃が発生する場合がある。

  • 各速度段階の間に加減速区間が必要となる。

7.4 代表的な適用例

  • 高速接近後の低速作業

  • 低速検査後の高速復帰

  • 2速または3速コンベヤ

  • 空圧シリンダーの高速・低速切替

  • ドリルの接近・加工・復帰運動

8. 低速運動

8.1 定義

低速運動とは、精密な位置決め、安定した接触、安全な作業を目的として低い速度で移動する運動である。

8.2 主な特徴

  • 位置誤差を低減しやすい。

  • 衝撃と振動が小さい。

  • 作業者に近い領域で安全性を高められる。

  • 摩擦やスティックスリップの影響を受ける場合がある。

  • モーターの低速トルクと制御分解能が重要である。

8.3 代表的な適用例

  • 原点探索

  • 精密位置への接近

  • 組立直前の接近

  • 金型の位置合わせ

  • 製品への接触

  • 検査位置への移動

  • 保守作業時のジョグ運転

8.4 設計上の考慮事項

  • 低速トルク

  • 速度リップル

  • スティックスリップ

  • 減速機のバックラッシ

  • エンコーダー分解能

  • 摩擦変動

  • 潤滑状態

9. クリープ運動

9.1 定義

クリープ運動とは、目標位置または接触点へ近づく際に、極めて低い速度で移動する運動である。

一般的な低速運動よりも、さらに精密な最終位置への接近を目的とする。

9.2 主な目的

  • 目標位置の行き過ぎ防止

  • 衝突時の衝撃低減

  • 原点センサーの高精度検出

  • 接触力の低減

  • 位置繰返し精度の向上

  • 安全な機械調整

9.3 代表的な適用例

  • 原点復帰時の最終接近

  • 金型閉鎖直前

  • クランプ接触直前

  • 測定プローブの接近

  • 製品整列位置への接近

  • ロボットによる精密挿入作業

9.4 設計上の考慮事項

  • クリープ速度

  • センサー応答時間

  • 制動距離

  • 摩擦

  • 位置分解能

  • 停止遅延

  • 制御装置のスキャン時間

10. 高速運動

10.1 定義

高速運動とは、サイクルタイムの短縮と生産性向上を目的として、高い速度で行われる運動である。

10.2 主な特徴

  • 移動時間を短縮できる。

  • 慣性力と振動が増加する。

  • 制動距離が長くなる。

  • 構造物の剛性と固有振動数が重要になる。

  • センサーと制御装置の応答性能が重要である。

  • ケーブルとホースの繰返し曲げ負荷が増加する。

10.3 代表的な適用例

  • 高速ピック・アンド・プレース

  • 包装機の製品搬送

  • 分類装置

  • 高速カッター

  • デルタロボット

  • 高速リニアモーター軸

  • 半導体製造装置

10.4 設計上の考慮事項

  • 最高速度

  • 最大加速度

  • 制動距離

  • フレーム剛性

  • ガイドの許容速度

  • ボールねじの危険回転速度

  • ベルト振動

  • ケーブル寿命

  • 非常停止性能

11. 加速運動

11.1 定義

加速運動とは、速度が時間とともに増加する運動である。

加速度は次のように表す。

a = dv / dt

11.2 主な特徴

  • 速度変化に伴って慣性力が発生する。

  • モーターに追加トルクが必要となる。

  • 加速時間が短いほど必要トルクは大きくなる。

  • 製品の滑りや揺れが発生する場合がある。

11.3 必要な加速力

加速に必要な力は、次のように計算できる。

F = m × a

各記号の意味は次のとおりである。

  • F:加速力

  • m:移動質量

  • a:加速度

回転軸では、加速に必要なトルクを次のように表す。

T = J × α

各記号の意味は次のとおりである。

  • T:加速トルク

  • J:慣性モーメント

  • α:角加速度

11.4 設計上の考慮事項

  • 移動質量

  • 負荷慣性

  • 加速時間

  • 最大トルク

  • モーター電流

  • 製品の滑り

  • 構造物の変形

  • 振動

12. 減速運動

12.1 定義

減速運動とは、移動中の物体の速度を低下させる運動である。

目標位置での停止、方向反転、安全停止などのために使用される。

12.2 主な特徴

  • 減速過程で制動力が必要となる。

  • 慣性エネルギーがモーターまたはブレーキに伝達される。

  • 急減速時には衝撃と振動が増加する。

  • 停止位置誤差とオーバーシュートに影響する。

12.3 代表的な適用例

  • 目標位置への接近

  • コンベヤの停止

  • ロボットの停止

  • 回転軸の減速

  • 非常停止

  • インデックステーブルの停止

12.4 設計上の考慮事項

  • 減速度

  • 制動距離

  • 回生エネルギー

  • 回生抵抗器

  • 機械式ブレーキ

  • 製品の滑り

  • 停止位置誤差

  • 構造物への衝撃

13. 台形速度運動

13.1 定義

台形速度運動とは、加速、定速、減速の三つの区間で構成される運動である。

速度と時間のグラフが台形状になるため、台形速度プロファイルと呼ばれる。

13.2 運動区間

  1. 加速区間

  2. 定速区間

  3. 減速区間

13.3 主な特徴

  • 比較的簡単に実装できる。

  • 移動時間を計算しやすい。

  • 多くのサーボモーターおよびステッピングモーターの位置制御に使用される。

  • 加速度が急激に変化する場合がある。

  • 高速装置では衝撃と振動が発生する場合がある。

13.4 代表的な適用例

  • ボールねじ位置決め軸

  • ベルト搬送軸

  • XYテーブル

  • 自動組立装置

  • CNC送り軸

  • ピック・アンド・プレース装置

14. 三角形速度運動

14.1 定義

三角形速度運動とは、移動距離が短いため定速区間に到達できず、加速後すぐに減速へ移行する運動である。

14.2 主な特徴

  • 短い移動距離で発生する。

  • 定速区間が存在しない。

  • 最高速度より加速性能が重要である。

  • 短ストロークの反復装置に適している。

14.3 代表的な適用例

  • 短距離のピック・アンド・プレース

  • 小型プッシャー

  • 短ストロークシール装置

  • 高速分類装置

  • 小型サーボアクチュエーター

15. S字速度運動

15.1 定義

S字速度運動とは、加速度の変化率であるジャークを制限し、速度を滑らかに増加および減少させる運動である。

ジャークは次のように表す。

j = da / dt

各記号の意味は次のとおりである。

  • j:ジャーク

  • a:加速度

  • t:時間

15.2 主な特徴

  • 衝撃が小さい。

  • 振動の発生が少ない。

  • 製品の揺れを抑えられる。

  • 機械構造の疲労を低減できる。

  • 精密位置決めに適している。

  • 台形速度プロファイルより制御が複雑である。

15.3 代表的な適用例

  • 液体容器の搬送

  • 食品トレーの搬送

  • 半導体製造装置

  • 精密組立装置

  • 高速ロボット

  • 大型搬送軸

  • ガラスおよび脆性材料の搬送

16. 急停止運動

16.1 定義

急停止運動とは、通常の減速より短い時間で速度を0まで低下させる運動である。

非常停止、衝突回避、危険検出時などに使用される。

16.2 主な特徴

  • 非常に大きな減速力が発生する。

  • 構造物と製品に衝撃が加わる場合がある。

  • ブレーキとモーターに大きな負荷が加わる。

  • 停止位置精度より安全確保が優先される。

16.3 設計上の考慮事項

  • 非常停止距離

  • 最大減速度

  • ブレーキトルク

  • 回生エネルギー

  • 機械剛性

  • 製品の移動や脱落

  • 軸同士の衝突

  • 停電時の制動方式

17. 独立速度運動

17.1 定義

独立速度運動とは、各軸または各装置が他の軸と直接的な速度関係を持たず、個別に運転される方式である。

17.2 代表的な適用例

  • 独立コンベヤ

  • 個別ポンプ

  • 独立ファン

  • 複数の独立作業ステーション

  • バッファを備えた生産ライン

17.3 主な特徴

  • 制御構造が単純である。

  • 各装置の速度を独立して調整できる。

  • 装置間で速度の不均衡が発生する場合がある。

  • 製品滞留を防ぐためにバッファが必要となる場合がある。

18. 速度同期運動

18.1 定義

速度同期運動とは、二つ以上の軸が同じ速度、または一定の速度比率で動作する運動である。

18.2 主な特徴

  • 軸間の速度関係を一定に維持する。

  • 製品速度と加工装置の速度を一致させることができる。

  • 速度誤差が累積すると位置差が発生する場合がある。

  • エンコーダーフィードバックが重要である。

18.3 代表的な適用例

  • 二重駆動コンベヤ

  • 包装フィルム供給軸

  • 印刷ローラー

  • 同期ベルト軸

  • 多列ローラー

  • 電子ギアシステム

18.4 速度比

マスター軸とスレーブ軸の速度関係は、次のように表すことができる。

v_slave = R × v_master

各記号の意味は次のとおりである。

  • v_slave:スレーブ軸速度

  • v_master:マスター軸速度

  • R:速度比

19. 速度追従運動

19.1 定義

速度追従運動とは、一つの軸が他の軸または移動物体の速度をリアルタイムで測定し、同一または比例した速度で追従する運動である。

19.2 代表的な適用例

  • コンベヤ追従ロボット

  • フライングカッター

  • 移動中のラベル貼付

  • 移動製品の検査

  • 連続包装装置

  • ウェブ張力制御

19.3 主な特徴

  • リアルタイムの速度測定が必要である。

  • 通信遅延と制御遅延が重要である。

  • 速度変化に迅速に対応する必要がある。

  • 追従誤差が位置誤差として累積する場合がある。

19.4 速度誤差

速度誤差は、次のように表すことができる。

e_v = v_cmd - v_act

各記号の意味は次のとおりである。

  • e_v:速度誤差

  • v_cmd:指令速度

  • v_act:実速度

20. 絶対位置移動

20.1 定義

絶対位置移動とは、一つの固定基準点から測定した目標座標へ移動する方式である。

現在位置に関係なく、目標位置を絶対座標として指定する。

20.2 例

現在位置が100 mmで、次の指令を実行すると仮定する。

目標位置 = 500 mm

絶対位置移動では、軸は500 mmの位置へ移動する。

実際の移動距離は次のようになる。

移動距離 = 500 mm - 100 mm = 400 mm

20.3 主な特徴

  • プログラムを理解しやすい。

  • 複数の工程位置を管理しやすい。

  • 明確な基準原点が必要である。

  • 原点情報を失うと位置情報が不正確になる場合がある。

20.4 代表的な適用例

  • CNC装置

  • ロボット

  • 多点位置決め装置

  • 自動組立機

  • サーボインデックス装置

21. 相対位置移動

21.1 定義

相対位置移動とは、現在位置を基準として指定された距離だけ移動する方式である。

増分位置移動とも呼ばれる。

21.2 例

現在位置が100 mmで、相対移動指令が+500 mmの場合、最終位置は次のようになる。

最終位置 = 100 mm + 500 mm = 600 mm

21.3 主な特徴

  • 同じ距離を繰り返し移動する場合に適している。

  • 現在位置が移動基準となる。

  • 繰返し誤差が累積する場合がある。

  • 製品のピッチ搬送に適している。

21.4 代表的な適用例

  • 製品ピッチ搬送

  • 定尺切断

  • 反復ステップ移動

  • コンベヤインデックス搬送

  • スクリューフィーダーの定量回転

22. 原点基準移動

22.1 定義

原点基準移動とは、機械が基準位置を検出した後、その位置を基準としてすべての座標を設定する方式である。

原点は位置制御の基準となる。

22.2 原点復帰手順

一般的な原点復帰は次のように行われる。

  1. 高速で原点センサー方向へ移動する

  2. 原点センサーを検出する

  3. 反対方向へ離脱する

  4. 低速またはクリープ速度で再接近する

  5. エンコーダー原点またはセンサー位置を確定する

  6. 現在座標を基準位置として設定する

22.3 主な特徴

  • 位置座標系を初期化する。

  • 電源投入後に実行される場合が多い。

  • 繰返し精度が重要である。

  • センサーのヒステリシスと接近速度の影響を受ける。

22.4 設計上の考慮事項

  • 原点センサーの種類

  • 接近方向

  • 接近速度

  • センサーの繰返し精度

  • エンコーダーZ相の使用有無

  • 原点オフセット

  • 機械式ストッパー

23. 点対点位置決め

23.1 定義

点対点位置決めとは、開始位置と目標位置が重要であり、移動途中の経路は比較的重要ではない位置制御方式である。

Point-to-Point Motion、またはPTP Motionとも呼ばれる。

23.2 主な特徴

  • 目標位置への到達が最も重要である。

  • 移動中の経路誤差は比較的重要ではない。

  • 可能な限り短い時間で位置を変更できる。

  • 自動化装置で最も広く使用されている。

23.3 代表的な適用例

  • ピック・アンド・プレース

  • 製品搬送

  • 自動組立機

  • インデックステーブル

  • 空圧シリンダーを置き換えるサーボ軸

  • 工具交換装置

23.4 設計上の考慮事項

  • 目標位置

  • 移動時間

  • 加減速条件

  • 位置オーバーシュート

  • 整定時間

  • 繰返し精度

  • 位置保持トルク

24. 多点位置決め

24.1 定義

多点位置決めとは、一つの軸または装置が、あらかじめ設定された複数の位置へ順番に移動する方式である。

24.2 代表的な位置

  • 待機位置

  • 製品投入位置

  • 作業位置

  • 検査位置

  • 排出位置

  • 洗浄位置

  • 保守位置

24.3 主な特徴

  • 位置データをテーブル形式で管理できる。

  • 製品種類に応じて位置設定を変更できる。

  • 各位置ごとに速度と加速度を異なる値に設定できる。

  • 位置間の移動順序が重要である。

24.4 代表的な適用例

  • 多段昇降装置

  • ロボットポジショナー

  • 自動倉庫

  • 多工程組立機

  • 多点充填装置

  • 多段切断装置

25. インデックス位置決め

25.1 定義

インデックス位置決めとは、一定の距離または角度だけ移動し、正確な位置で停止する運動である。

25.2 主な特徴

  • 一定ピッチの移動を繰り返す。

  • 移動と停止を繰り返す。

  • 停止位置の繰返し精度が重要である。

  • 機械式インデクサーまたはサーボ軸で実現できる。

25.3 代表的な適用例

  • ロータリーインデックステーブル

  • タレット

  • 製品ピッチ搬送

  • 包装フィルム送り

  • 自動組立装置

  • 多工程加工装置

25.4 設計上の考慮事項

  • インデックス距離

  • インデックス角度

  • 停止時間

  • 位置繰返し精度

  • 最大許容慣性

  • 停止時の剛性

  • 機械的ロック

26. 連続経路位置制御

26.1 定義

連続経路位置制御とは、開始点と終了点だけでなく、移動中の全経路の位置を継続的に制御する方式である。

Continuous Path Motion、またはCP Motionとも呼ばれる。

26.2 主な特徴

  • 移動中の経路精度が重要である。

  • 複数軸を同時に補間する。

  • 速度と位置を同時に制御する必要がある。

  • 曲率に応じて速度を調整する必要がある。

  • 制御装置の演算性能が重要である。

26.3 代表的な適用例

  • CNC加工

  • ロボット溶接

  • レーザー切断

  • 塗装ロボット

  • 接着剤塗布

  • 輪郭加工

  • 複雑形状の切断

26.4 代表的な補間方式

  • 直線補間

  • 円弧補間

  • らせん補間

  • スプライン補間

  • 多軸補間

26.5 設計上の考慮事項

  • 経路誤差

  • 補間周期

  • 軸間同期

  • コーナー減速

  • 曲率半径

  • 追従誤差

  • 制御装置の処理速度

27. 位置追従運動

27.1 定義

位置追従運動とは、一つの軸が他の軸、移動物体、または外部基準の位置をリアルタイムで追従する運動である。

27.2 代表的な適用例

  • コンベヤ追従ロボット

  • フライングカッター

  • 移動製品の包装

  • 電子カム

  • ウェブ張力制御

  • マスター・スレーブ位置制御

27.3 主な特徴

  • リアルタイムの位置入力が必要である。

  • 追従遅延が発生する場合がある。

  • 指令位置と実位置の差が重要である。

  • 通信遅延と制御周期の影響を受ける。

27.4 位置誤差

位置誤差は、次のように表す。

e_p = x_cmd - x_act

各記号の意味は次のとおりである。

  • e_p:位置誤差

  • x_cmd:指令位置

  • x_act:実位置

位置追従装置では、位置誤差が一定の基準を超えた場合、警報または停止処理が必要になる場合がある。

28. 位置保持運動

28.1 定義

位置保持運動とは、目標位置へ到達した後、外力または重力によって位置が変化しないように維持する制御方式である。

28.2 代表的な適用例

  • 垂直昇降軸

  • クランプ軸

  • ロボット関節

  • プレス位置保持

  • インデックステーブル

  • 高さ調整装置

28.3 位置保持方式

  • モーター保持トルク

  • サーボ位置制御

  • 電磁ブレーキ

  • 機械式ブレーキ

  • ウォーム減速機

  • クランプ装置

  • 機械式ロックピン

28.4 設計上の考慮事項

  • 外部荷重

  • 重力荷重

  • 保持トルク

  • モーター発熱

  • 停電時の位置保持

  • ブレーキ寿命

  • 微振動

  • 位置ドリフト

29. オープンループ位置制御

29.1 定義

オープンループ位置制御とは、実際の位置を直接測定して補正せず、入力指令と駆動量を基準として位置を決定する方式である。

29.2 代表的なシステム

  • ステッピングモーター

  • パルスモーター

  • 単純な空圧シリンダー

  • 機械式ストッパー

  • カム位置決め装置

29.3 主な特徴

  • 構造が単純である。

  • コストが比較的低い。

  • 実際の位置誤差を直接検出できない。

  • ステップ脱調または滑りが発生すると位置誤差が累積する。

  • 負荷変動に敏感な場合がある。

29.4 適した条件

  • 負荷変動が小さい。

  • 高い位置精度を必要としない。

  • 機械式ストッパーが存在する。

  • 低コスト構成が重要である。

  • 移動速度と加速度が低い。

30. クローズドループ位置制御

30.1 定義

クローズドループ位置制御とは、エンコーダー、リニアスケール、位置センサーなどを利用して実位置を測定し、指令位置との誤差を補正する方式である。

30.2 主な特徴

  • 位置誤差をリアルタイムで補正する。

  • 高い位置決め精度を確保できる。

  • 負荷変動に対応できる。

  • 制御装置とセンサーの構成が複雑である。

  • サーボ調整が必要である。

30.3 代表的なシステム

  • ACサーボモーター

  • クローズドループステッピングモーター

  • リニアモーター

  • 油圧サーボシステム

  • ロボット関節

  • CNC送り軸

30.4 設計上の考慮事項

  • エンコーダー分解能

  • 制御ゲイン

  • 追従誤差

  • オーバーシュート

  • 整定時間

  • 共振

  • センサーノイズ

  • 制御周期

31. セミクローズドループとフルクローズドループ

31.1 セミクローズドループ

セミクローズドループは、モーターエンコーダーを使用してモーター軸の位置を検出する方式である。

モーターの回転位置は正確に制御できるが、ボールねじのリード誤差、バックラッシ、カップリング変形、構造変形などは直接検出できない。

31.2 フルクローズドループ

フルクローズドループは、実際の移動テーブルまたはワークの位置をリニアスケールで直接測定する方式である。

31.3 比較

項目

セミクローズドループ

フルクローズドループ

位置検出位置

モーター軸

実際の移動体

構造

比較的単純

複雑

コスト

比較的低い

高い

バックラッシ補正

限定的

可能

ボールねじ誤差の直接検出

不可

可能

主な用途

一般的なサーボ軸

高精度CNC、精密装置

32. 位置分解能

32.1 定義

位置分解能とは、システムが識別または指令できる最小移動単位である。

32.2 ねじ駆動軸の分解能

ねじリードとモーター1回転当たりのパルス数を利用すると、1パルス当たりの移動量を計算できる。

1パルス当たりの移動量 = ねじリード / 1回転当たりのパルス数

例えば、ねじリードが10 mmで、1回転当たりの指令パルス数が10,000パルスの場合は次のようになる。

1パルス当たりの移動量 = 10 mm / 10,000 = 0.001 mm

したがって、理論上の指令分解能は1 μmである。

32.3 実際の分解能に影響する要素

  • エンコーダー分解能

  • 電子ギア比

  • ねじリード

  • 減速比

  • バックラッシ

  • 摩擦

  • 構造変形

  • センサーノイズ

理論的な指令分解能が高くても、実際の位置決め精度が同じレベルになるとは限らない。

33. 位置決め精度

33.1 定義

位置決め精度とは、指令した目標位置と実際に到達した位置との差を意味する。

位置誤差は次のように表す。

e_p = x_cmd - x_act

33.2 位置決め精度に影響する要素

  • ボールねじのリード誤差

  • 減速機誤差

  • バックラッシ

  • 熱膨張

  • 構造変形

  • エンコーダー誤差

  • 制御装置の補正

  • 負荷変動

  • 組立誤差

33.3 位置決め精度を向上させる方法

  • リニアスケールの使用

  • バックラッシ補正

  • リード誤差補正

  • 温度補正

  • 機械構造の剛性向上

  • 精密減速機の使用

  • サーボ調整

  • 精密組立

34. 繰返し精度

34.1 定義

繰返し精度とは、同一条件で同じ目標位置へ複数回移動した場合の到達位置のばらつきを意味する。

位置決め精度と繰返し精度は異なる概念である。

34.2 位置決め精度と繰返し精度の違い

位置決め精度が低くても、毎回同じずれた位置へ到達する場合、繰返し精度は高いと評価できる。

例えば、目標位置が100 mmであるにもかかわらず、毎回100.2 mmで停止する場合は次のように評価できる。

  • 位置決め精度:低い

  • 繰返し精度:高い

34.3 繰返し精度に影響する要素

  • センサーの繰返し精度

  • バックラッシ

  • 摩擦変動

  • 負荷変動

  • 接近方向

  • 温度変化

  • サーボ整定

  • 機械的なすきま

35. バックラッシ

35.1 定義

バックラッシとは、運動方向が反転した際、駆動部のすきまによって入力運動が出力側へ直ちに伝達されない現象である。

35.2 バックラッシの発生箇所

  • 歯車

  • 減速機

  • ボールねじナット

  • ラック・アンド・ピニオン

  • チェーン

  • カップリング

  • リンク関節

35.3 主な影響

  • 方向反転時の位置誤差

  • 繰返し精度の低下

  • 振動と衝撃

  • 経路誤差

  • サーボ制御の不安定化

35.4 低減方法

  • 予圧付きボールねじ

  • 精密減速機

  • デュアルピニオン

  • バックラッシ補正

  • 一方向からの接近

  • 機械的予圧

  • ダイレクトドライブ

36. オーバーシュートとアンダーシュート

36.1 オーバーシュート

オーバーシュートとは、移動体が目標位置を通過した後、再び目標位置へ戻る現象である。

36.2 アンダーシュート

アンダーシュートとは、移動体が目標位置まで到達せず手前で停止する、または補正過程で目標位置より低い側へ行き過ぎる現象である。

36.3 主な発生原因

  • 制御ゲインが高すぎる

  • 構造物の剛性が低い

  • 慣性が大きい

  • 減衰が不足している

  • バックラッシ

  • センサー遅延

  • 急激な減速

36.4 低減方法

  • サーボゲインの調整

  • S字速度プロファイルの使用

  • 減速時間の増加

  • 構造剛性の向上

  • 振動フィルターの適用

  • フィードフォワード制御

  • 負荷慣性比の改善

37. 整定時間

37.1 定義

整定時間とは、移動体が目標位置へ到達した後、許容位置誤差範囲内で安定するまでに必要な時間である。

37.2 主な影響

整定時間が長くなると、実際の移動時間が短くても、全体のサイクルタイムは増加する。

全体の位置決め時間は、次のように表すことができる。

T_positioning = t_move + t_settle

各記号の意味は次のとおりである。

  • T_positioning:全体位置決め時間

  • t_move:移動時間

  • t_settle:整定時間

37.3 整定時間に影響する要素

  • 構造剛性

  • 負荷慣性

  • サーボゲイン

  • 加減速条件

  • 残留振動

  • 減衰

  • バックラッシ

  • フレーム振動

38. 追従誤差

38.1 定義

追従誤差とは、移動中の指令位置と実位置との間に発生する差である。

停止状態での位置誤差とは異なり、運動中に発生する動的誤差を意味する。

e_follow = x_cmd - x_act

38.2 追従誤差が増加する条件

  • 高速運転

  • 高加速度

  • モータートルク不足

  • 大きな負荷慣性

  • 低い制御ゲイン

  • 通信遅延

  • 構造変形

  • 摩擦変動

38.3 主な影響

  • 経路誤差

  • 同期誤差

  • 加工品質の低下

  • 切断位置誤差

  • 包装位置の不一致

  • ロボット追従性能の低下

39. 速度・位置特性別の代表的な適用比較

分類

主な特徴

代表的な装置

主要設計項目

定速運動

一定速度を維持する

コンベヤ、ポンプ

速度安定性

可変速運動

運転中に速度を変更する

インバーター、サーボ軸

速度範囲

段階速度運動

設定された速度段階を切り替える

接近・作業・復帰軸

切替時の衝撃

低速運動

低速で精密に移動する

ジョグ運転、精密接近

低速トルク

クリープ運動

極低速で最終接近する

原点復帰、接触位置決め

センサー応答

高速運動

短時間で長距離を移動する

高速ロボット、搬送軸

慣性、振動

速度同期運動

複数軸の速度関係を維持する

ローラー、フィルム供給軸

速度比

速度追従運動

他軸の速度をリアルタイムで追従する

フライングカッター

追従誤差

絶対位置移動

固定座標へ移動する

CNC、ロボット

原点基準

相対位置移動

現在位置から指定距離を移動する

ピッチ搬送

誤差累積

点対点位置決め

開始位置と目標位置が重要

ピック・アンド・プレース

整定時間

連続経路制御

移動中の全経路が重要

CNC、溶接ロボット

経路誤差

インデックス位置決め

一定距離または角度を移動する

インデックステーブル

繰返し精度

位置追従運動

外部位置をリアルタイムで追従する

コンベヤ追従ロボット

位置遅延

位置保持運動

目標位置を継続的に維持する

昇降軸、クランプ

保持トルク

オープンループ制御

位置フィードバックなしで制御する

ステッピングモーター

脱調

クローズドループ制御

実位置を測定して補正する

サーボモーター

エンコーダー、調整

40. 速度・位置特性の選定基準

40.1 工程条件

  • 連続工程か

  • 停止状態で作業を行うか

  • 移動中に加工する必要があるか

  • 目標位置だけが重要か

  • 移動中の全経路が重要か

  • 製品速度を他の装置と一致させる必要があるか

40.2 速度条件

  • 最低速度

  • 最高速度

  • 定速運転の有無

  • 可変速範囲

  • 加速時間

  • 減速時間

  • クリープ速度

  • 急停止条件

40.3 位置条件

  • 目標位置

  • 移動距離

  • 位置数

  • 絶対位置または相対位置

  • 原点基準

  • 位置保持時間

  • 接近方向

40.4 精度条件

  • 位置決め精度

  • 繰返し精度

  • 位置分解能

  • 速度精度

  • 経路精度

  • 追従誤差

  • 整定時間

40.5 荷重条件

  • 移動質量

  • 回転慣性

  • 偏心荷重

  • 垂直荷重

  • 摩擦

  • 外力

  • 衝撃荷重

40.6 機械構造条件

  • フレーム剛性

  • ガイド剛性

  • ボールねじリード

  • 減速機バックラッシ

  • カップリング剛性

  • 熱変形

  • 振動特性

40.7 制御条件

  • オープンループまたはクローズドループ

  • エンコーダー分解能

  • 位置センサー

  • 制御周期

  • ネットワーク遅延

  • 補間機能

  • 電子カム

  • 原点復帰機能

41. 設計検証項目

41.1 速度の検証

  • 目標速度に到達できるか

  • 最低速度で安定して動作するか

  • 最高速度が許容範囲内か

  • 速度変動

  • 負荷変化による速度偏差

  • 加速時間と減速時間

41.2 位置の検証

  • 位置決め精度

  • 繰返し精度

  • 絶対位置誤差

  • 相対移動誤差

  • 原点復帰の繰返し精度

  • 位置保持性能

41.3 動的性能の検証

  • 追従誤差

  • オーバーシュート

  • 整定時間

  • 方向反転誤差

  • 残留振動

  • 急停止性能

41.4 機械構造の検証

  • バックラッシ

  • 構造変形

  • ボールねじの危険回転速度

  • 軸のねじれ

  • ガイドの許容速度

  • 軸受寿命

  • 減速機剛性

41.5 制御性能の検証

  • エンコーダー分解能

  • 制御周期

  • サーボゲイン

  • 通信遅延

  • 補間性能

  • 位置フィードバック異常

  • センサーノイズ

41.6 安全性の検証

  • 非常停止距離

  • 停電時の位置保持

  • 垂直軸の落下防止

  • 速度制限

  • 安全位置

  • 衝突防止

  • ソフトウェアリミット

  • ハードウェアリミット

42. 主な速度・位置関連数式

直線速度

v = dx / dt

直線速度は、時間に対する位置の変化率である。

平均速度

v_avg = 移動距離 / 移動時間

平均速度は、全移動距離を移動時間で割った値である。

角速度

ω = dθ / dt

角速度は、時間に対する回転角度の変化率である。

直線速度と角速度

v = r × ω

直線速度は、回転半径と角速度の積である。

加速度

a = dv / dt

加速度は、時間に対する速度の変化率である。

加速力

F = m × a

加速力は、移動質量と加速度の積である。

加速トルク

T = J × α

加速トルクは、慣性モーメントと角加速度の積である。

速度誤差

e_v = v_cmd - v_act

速度誤差は、指令速度と実速度との差である。

位置誤差

e_p = x_cmd - x_act

位置誤差は、指令位置と実位置との差である。

全体位置決め時間

T_positioning = t_move + t_settle

全体位置決め時間は、移動時間と整定時間の合計である。

1パルス当たりの移動量

1パルス当たりの移動量 = ねじリード / 1回転当たりのパルス数

1パルス当たりの移動量は、位置指令の理論上の最小単位を示す。

ねじの移動距離

x = n × L

各記号の意味は次のとおりである。

  • x:軸方向の移動距離

  • n:回転数

  • L:ねじリード

43. 結論

速度・位置特性によるモーション分類は、単に物体が速く動くか、遅く動くかを区別するものではない。

速度特性は、運動中の速度がどのように維持され、どのように変化するかを表す。位置特性は、目標位置をどのように定義し、実際の位置をどのように制御するかを表す。

定速運動は連続した生産フローに適しており、可変速運動は製品や工程条件の変化に柔軟に対応できる。低速運動とクリープ運動は、精密な位置接近と安全な接触に適している。高速運動は生産性を向上させられるが、慣性力、振動、制動性能を同時に検討する必要がある。

点対点位置決めは、目標位置への到達が重要な自動化装置に適している。連続経路制御は、CNC加工、溶接、切断など、移動中の全経路精度が重要なシステムに適している。

絶対位置移動は、全体座標系における位置管理が容易である。相対位置移動は、一定のピッチまたは距離を繰り返し搬送する装置に適している。位置追従運動と速度同期運動は、他軸または移動製品との正確な関係を維持する必要がある高速自動化装置で重要となる。

位置決め精度、繰返し精度、分解能、バックラッシ、追従誤差、オーバーシュート、整定時間は、それぞれ異なる概念である。これらを個別に検討しなければ、実際の装置性能を正確に評価することはできない。

したがって、速度・位置特性によるモーション設計では、次の要素を総合的に検討する必要がある。

  • 最低速度および最高速度

  • 定速条件および可変速条件

  • 加速度および減速度

  • ジャーク

  • 目標位置

  • 絶対座標および相対座標

  • 位置決め精度

  • 繰返し精度

  • 位置分解能

  • バックラッシ

  • 追従誤差

  • オーバーシュート

  • 整定時間

  • エンコーダーおよび位置センサー

  • オープンループ制御およびクローズドループ制御

  • 非常停止距離

  • 停電時の位置保持

優れたモーション設計とは、単に目標位置へ到達するシステムを作ることではない。要求された速度で安定して移動し、移動中の経路と速度を正確に維持し、目標位置で過度なオーバーシュートや振動を発生させることなく停止し、同じ動作を繰り返し安定して実行できるシステムを構築することである。

速度・位置特性は、生産性、精度、安定性、安全性、装置寿命を総合的に決定する基本的なモーション設計基準である。