汎用機械における制御・製品統合

汎用機械における制御・製品統合

1. Control Product Integrationの定義

Control Product Integrationとは、制御システムを機械製品の機能、機構、電気システム、安全システム、運転方法、製造工程、試運転、および保守体制と統合し、制御が製品全体の一部として一貫して機能するように構成する領域である。

制御システムは、次の要素を備えるだけでは完成しない。

  • PLCプログラム

  • センサおよび出力機器

  • サーボドライブおよびインバータ

  • HMI

  • 制御盤

  • 通信ネットワーク

これらの要素を、実際の製品構造および製品ライフサイクルと接続する必要がある。

  • 製品要求事項と制御機能を関連付ける。

  • 機構の動作方向と制御指令を一致させる。

  • センサ位置と状態判断基準を一致させる。

  • 電気図面とプログラムI/Oを一致させる。

  • 製品仕様に応じてハードウェアおよびソフトウェア構成を展開する。

  • 製造されるすべての機械で同一の機能を再現する。

  • 顧客現場で故障診断と部品交換を行えるようにする。

  • 変更されたプログラムとパラメータを機械ごとに追跡できるようにする。

したがって、Control Product Integrationの本質は次のとおりである。

制御システムを機械へ後付けするのではなく、制御を機械製品の構造とライフサイクルの中に組み込むことである。

2. Productという用語の範囲

Control Product IntegrationにおけるProductとは、機械が加工・搬送するワークや生産品を意味するものではない。

顧客へ納入される機械または設備そのものを意味する。

例:

  • 自動組立機

  • 包装機

  • 検査機

  • 搬送装置

  • 加工設備

  • 食品機械

  • 生産ラインモジュール

  • ロボットセル

  • 専用自動化設備

機械製品は、一般的に次の領域で構成される。

製品構成領域

主な内容

Mechanical System

フレーム、機構、駆動部、ガイド、治具、工具

Electrical System

電源、制御盤、配線、モータ、センサ

Pneumatic/Hydraulic System

バルブ、シリンダ、圧力系統、配管

Control System

PLC、モーション制御、I/O、通信、ソフトウェア

Safety System

安全センサ、安全制御装置、保護装置

Operator Interface

HMI、押しボタン、表示灯、操作盤

Product Data

設定値、レシピ、生産情報、トレーサビリティ情報

Lifecycle Support

組立、試験、サービス、変更管理、バックアップ

Control Product Integrationは、これらの製品構成領域間の関係を整理し、管理する活動である。

3. 制御システムにおける位置

機械製品の開発フローは、次のように表現できる。

製品要求事項 → 製品アーキテクチャ → 機械・電気設計 → 制御設計 → 制御実装 → 製品統合 → 検証 → 製造リリース

各段階の役割は次のとおりである。

領域

役割

Product Requirements

製品が提供すべき機能と性能を定義する

Product Architecture

機械モジュールとシステム境界を定義する

Control Design

機能、状態、インターロック、保護、安全ロジックを定義する

Control Implementation

制御ロジックをハードウェアとソフトウェアとして実装する

Control Product Integration

実装された制御システムを製品のすべての構成領域へ接続する

Verification

統合された製品が要求事項を満たすことを確認する

Manufacturing Release

繰返し生産可能な製品資料として確定する

Control Implementationが制御システムそのものを実装する段階であるのに対し、Control Product Integrationは、その制御システムが機械製品全体の中で正しく機能するように統合する段階である。

4. Control Implementationとの違い

Control Implementation

主に次の内容を扱う。

  • PLCおよび制御装置の選定

  • I/O構成

  • プログラム構造

  • モーション実装

  • 通信実装

  • HMI実装

  • 電気実装

  • 機能試験

Control Product Integration

主に次の内容を扱う。

  • 製品要求事項と制御機能の関連付け

  • 機械モジュールと制御モジュールの境界定義

  • 機械・電気・ソフトウェアインターフェースの管理

  • 製品仕様ごとの制御構成

  • 製造および組立の再現性

  • サービスおよび部品交換

  • 製品変更とソフトウェアバージョン管理

  • 納入後の製品ライフサイクル支援

Control Implementationは、どのように制御を実装するかを扱う。

Control Product Integrationは、その制御が製品全体でどのように一貫して機能するかを扱う。

5. 基本的な統合対象

Control Product Integrationには、主に次の四つの統合が含まれる。

5.1 機能統合

Functional Integration

製品要求機能と制御機能を接続する。

例:

  • 定量供給機能をモータ、センサ、計量ロジックへ接続する。

  • 製品クランプ機能をクランプ機構、圧力監視、位置確認へ接続する。

  • 検査機能をカメラ、判定ロジック、不良品排出へ接続する。

5.2 物理統合

Physical Integration

制御機器が実際の機械構造内へ適切に取り付けられるようにする。

例:

  • センサ位置

  • モータおよびドライブの配置

  • 制御盤の設置

  • 操作盤の位置

  • ケーブルおよび配管経路

  • 安全装置の位置

5.3 情報統合

Information Integration

製品内部で使用されるデータと状態情報を接続する。

例:

  • 製品番号

  • レシピ

  • 工程状態

  • 検査結果

  • アラーム

  • 設備パラメータ

  • 保守情報

5.4 ライフサイクル統合

Lifecycle Integration

設計後の組立、製造、試運転、サービス、改造、廃棄までを考慮する。

6. 製品要求事項と制御機能の関連付け

制御機能は、製品要求事項まで追跡可能でなければならない。

例:

製品要求事項

制御機能

1時間当たり60個を生産する

サイクル制御、並列動作、速度管理

位置誤差±0.1 mm

サーボ位置決め、位置検証

製品損傷を防止する

トルク制限、圧力監視、完了条件

作業者接近時に停止する

安全ドア監視、安全停止

5分以内に機種切替えを行う

レシピ管理、自動位置変更

故障原因を表示する

診断ロジック、アラーム、HMIガイダンス

各要求事項は、次の項目と関連付ける必要がある。

  • 関連機能

  • 関連装置

  • 関連ソフトウェアモジュール

  • 設定パラメータ

  • 試験方法

  • 合格基準

要求事項と実装の関連付けがなければ、プログラムが存在していても、製品の要求性能を明確に証明することは困難である。

7. 製品アーキテクチャと制御アーキテクチャの整合

機械の物理モジュールと制御ソフトウェアモジュールは、可能な限り対応させることが望ましい。

例:

製品モジュール

制御モジュール

Feeding Module

Feeding Control

Alignment Module

Alignment Control

Clamp Module

Clamp Control

Processing Module

Process Control

Inspection Module

Inspection Control

Discharge Module

Discharge Control

この構造を採用すると、次の事項が容易になる。

  • 機能別試験

  • モジュール交換

  • 製品バリエーションの展開

  • ソフトウェア再利用

  • 故障隔離

  • 保守

  • 生産ライン拡張

機械構造とソフトウェア構造に対応関係がない場合、一つの機械モジュールの変更が、複数のソフトウェア領域へ不規則に影響する可能性がある。

8. 製品モジュール境界の定義

各製品モジュールには、明確な境界を設定する必要がある。

物理的境界

  • フレームおよび取付面

  • 製品の入口と出口

  • 電源接続

  • 空圧および油圧接続

  • ケーブル接続

機能的境界

  • 実行する機能

  • 開始条件

  • 完了条件

  • 異常条件

  • 復旧条件

制御境界

  • 入力信号

  • 出力信号

  • 状態情報

  • 指令情報

  • インターロック

  • 通信データ

責任境界

  • モジュール内部で処理する機能

  • 上位制御装置が処理する機能

  • 他モジュールとの協調が必要な機能

モジュール境界を明確にすると、独立試験とモジュール再利用が可能になる。

9. インターフェース管理

製品統合では、個別装置の内部よりも、システム間のインターフェースで問題が発生することが多い。

主なインターフェースは次のとおりである。

  • Mechanical–Control Interface

  • Electrical–Control Interface

  • Pneumatic–Control Interface

  • Software–Software Interface

  • Machine–Operator Interface

  • Machine–Line Interface

  • Machine–Manufacturing Interface

  • Machine–Service Interface

各インターフェースでは、次の事項を定義する必要がある。

  • 入力と出力

  • データ方向

  • 信号の意味

  • 正常状態

  • 故障時状態

  • 時間条件

  • 責任主体

  • 試験方法

10. 機械・制御インターフェース

機械設計情報は、制御ロジックと整合していなければならない。

必要な情報

  • 基準軸方向

  • モータの正転・逆転方向

  • シリンダの前進・後退方向

  • 原点位置と作業位置

  • 機械的限界位置

  • 移動距離

  • 速度および加速度制限

  • 荷重と慣性

  • バックラッシ

  • 整定時間

  • 衝突領域

  • 維持が必要な位置

主な統合確認事項

  • 制御上の正方向と実際の移動方向が一致しているか

  • ソフトウェアリミットと機械的リミットが対応しているか

  • センサ位置が実際の完了状態を表しているか

  • ブレーキ解除順序と軸駆動順序が適切か

  • 電源喪失時に装置がどの方向へ移動するか

  • 機械公差が状態判断公差より小さいか

11. 電気・制御インターフェース

電気図面、I/Oリスト、プログラム変数、および実配線は一致していなければならない。

接続関係

現場装置 → 端子台 → I/Oモジュール → I/Oアドレス → プログラム変数 → HMI表示

例:

Clamp Forward Sensor

  • 装置番号:LS-CL01

  • 端子番号:TB2-14

  • PLC入力:X120

  • 変数名:DI_CLAMP_FWD

  • HMI状態:Clamp Forward

  • 関連機能:Clamp Function

  • 試験項目:Clamp I/O Check

現場で故障原因を追跡できるように、この接続関係を維持する必要がある。

12. 空圧・油圧と制御のインターフェース

空圧および油圧システムは、バルブのON/OFFだけで定義してはならない。

統合すべき情報

  • バルブの通常状態

  • 電源喪失時のバルブ状態

  • シリンダが自然に移動する方向

  • 圧力保持の有無

  • 残圧

  • 排気方法

  • 速度調整

  • 圧力監視

  • 落下防止

  • 再加圧時の動作

制御との接続

  • 圧力正常条件

  • 動作開始許可

  • 完了センサ

  • タイムアウト

  • 圧力低下時の保護動作

  • 再加圧後の復旧条件

13. ソフトウェアインターフェースの統合

一つの機械製品には、複数の制御ソフトウェアが存在する場合がある。

例:

  • PLCプログラム

  • セーフティPLCプログラム

  • HMIプロジェクト

  • サーボパラメータ

  • インバータパラメータ

  • ロボットプログラム

  • ビジョンプログラム

  • 産業用PCソフトウェア

これらのソフトウェア間インターフェースを定義する必要がある。

主な情報

  • 指令

  • 状態

  • 完了

  • エラー

  • レシピ

  • 製品情報

  • 時刻情報

  • 同期信号

  • データ有効性

  • バージョン情報

ソフトウェア間で通信が確立されているだけでは不十分である。

データが、どの製品、どのサイクル、どの時点に属する情報であるかを識別できなければならない。

14. HMIと製品運転の統合

HMIは、制御装置内部の変数を表示するだけの画面ではない。

製品の運転方法を実現するインターフェースである。

製品運転と接続すべき項目

  • 機械起動

  • 機械停止

  • 機種切替え

  • レシピ選択

  • 手動操作

  • 原点復帰

  • 異常復旧

  • 保守

  • 生産情報確認

HMI統合原則

  • 画面構成が実際の機械構造を反映する。

  • 画面上の装置名称と現場ラベルを一致させる。

  • 現在の運転モードで許可された操作だけを表示または有効化する。

  • 動作が禁止されている理由を表示する。

  • 復旧手順を段階的に案内する。

  • 設定値の単位と影響を表示する。

  • 製品仕様に含まれない機能は非表示または無効化する。

15. 安全機能の製品統合

安全機能は、製品へ別個の部品を追加するだけのものではない。

製品構造および運転方法へ統合しなければならない。

統合対象

  • 安全ドアと機械フレーム

  • ドアスイッチと安全制御装置

  • 安全出力とドライブ

  • ブレーキと垂直軸

  • 安全速度と調整運転

  • 再起動防止と運転手順

  • 非常停止とエネルギー遮断

検討事項

  • 安全装置の物理的位置が適切か

  • 危険動作が実際に除去されるか

  • 安全停止後に製品と工具がどのような状態になるか

  • 保守作業時に安全な操作方法が用意されているか

  • 一般PLCの故障が安全機能を妨げないか

  • 安全プログラムのバージョンを製品ごとに管理しているか

16. 製品仕様と制御構成

同一の基本機械であっても、顧客要求に応じて複数の仕様が存在する場合がある。

例:

  • 軸数の違い

  • センサ追加

  • 検査機能追加

  • 製品サイズの違い

  • 運転速度の違い

  • 通信規格の違い

  • 安全規格の違い

  • HMI言語の違い

仕様が変わるたびにプログラム全体を新規作成する方法は、管理が困難である。

製品仕様は、次のような構造で管理することが望ましい。

  • Base Configuration

  • Optional Module

  • Regional Configuration

  • Customer Configuration

  • Software Feature Option

  • Parameter Set

17. 共通プラットフォームとオプション構造

製品シリーズを構成する場合、共通制御プラットフォームを定義できる。

共通領域

  • 基本PLC

  • 標準I/O構造

  • 基本運転モード

  • 共通アラーム構造

  • 共通HMI画面

  • 標準通信

  • 基本安全アーキテクチャ

  • 共通ソフトウェアライブラリ

オプション領域

  • 追加モーション軸

  • ビジョン検査

  • ロボット

  • 自動供給

  • リモートサービス

  • 生産管理システム連携

  • 追加安全機能

オプションは、単にソフトウェアビットによって非表示にするのではなく、ハードウェア、ソフトウェア、文書、試験条件を含む一つの構成単位として管理することが適切である。

18. 製品構成管理

Product Configuration Management

製品ごとの制御構成を明確に識別できなければならない。

管理項目

  • 機械モデル

  • シリアル番号

  • PLCモデル

  • I/Oモジュール構成

  • モーション軸構成

  • 安全構成

  • 通信オプション

  • プログラムバージョン

  • HMIバージョン

  • パラメータセット

  • オプション一覧

機械一台分の構成を一つのConfiguration Recordとして管理すると、現場支援と部品交換が容易になる。

19. BOMと制御構成の接続

製品BOMには、制御部品も含める必要がある。

制御BOMの例

  • PLC CPU

  • I/Oモジュール

  • サーボドライブ

  • インバータ

  • 安全制御装置

  • HMI

  • ネットワークスイッチ

  • センサ

  • バルブ

  • リレー

  • 電源装置

  • ケーブル

  • コネクタ

ハードウェアBOMとソフトウェア構成は、相互に関連付ける必要がある。

例:

ハードウェアオプション

必要なソフトウェア

追加サーボ軸

Axis Module、Motion Parameter

ビジョン検査

Vision Interface、Inspection Screen

安全ドア追加

Safety Program、HMI Status

通信オプション

Network Driver、Data Mapping

20. パラメータとレシピの統合

製品ごとの設定と機械固有の設定を区別する必要がある。

Machine Parameter

機械そのものの特性を定義する。

例:

  • 原点オフセット

  • 機械移動限界

  • モータ方向

  • センサ補正値

  • 標準圧力

  • 安全制限値

Product Recipe

加工対象または生産対象によって変更される値である。

例:

  • 製品位置

  • 加工時間

  • 目標温度

  • 供給数量

  • 検査基準

  • クランプ力

Machine ParameterとProduct Recipeを混在させると、機種切替え時に機械固有設定が誤って変更される可能性がある。

21. 製品情報と制御データの統合

制御システムは、実際の製品と製品データを一致させなければならない。

製品情報の例

  • 製品ID

  • モデル

  • ロット番号

  • 工程番号

  • レシピ

  • 検査結果

  • 合格・不合格状態

  • 再加工状態

統合原則

  • 実際の製品が移動するとき、製品データも一緒に移動する。

  • 製品が除去された場合、関連データも整理する。

  • 製品とデータの重複を検出する。

  • 通信異常後のデータ再同期方法を定義する。

  • 手動で製品を投入する場合のデータ入力方法を用意する。

22. Assemblyとの統合

制御設計は、組立工程で実現可能でなければならない。

組立段階で必要な資料

  • センサ取付図

  • ケーブル配線図

  • 制御盤配置図

  • 端子台図

  • モータ方向

  • バルブ方向

  • コネクタ一覧

  • ラベル規則

  • 調整基準

  • I/O確認表

組立統合の基本原則

  • 部品を誤って取り付けにくい構造にする。

  • コネクタの誤挿入を防止する。

  • 十分なセンサ調整範囲を確保する。

  • 交換可能なケーブル構造を採用する。

  • 現場組立後に機能を独立して確認できるようにする。

23. Manufacturingとの統合

製品化された制御システムは、繰返し生産できなければならない。

製造標準化対象

  • 制御盤構造

  • 部品配置

  • ケーブル長

  • 配線番号

  • I/Oアドレス

  • プログラムダウンロード

  • パラメータ入力

  • ネットワーク設定

  • 機能試験

  • 最終バックアップ

製造ばらつきを低減する方法

  • 標準プログラムを使用する。

  • パラメータを自動ロードする。

  • 製品別Configuration Fileを使用する。

  • バーコードまたはシリアル番号と構成を連携させる。

  • I/O確認を自動化する。

  • 標準試験手順を適用する。

  • 製造履歴を記録する。

24. Commissioningとの統合

試運転は、単にプログラムを調整する段階ではない。

次の要素を併せて確認する必要がある。

  • 機械方向と制御方向

  • 電気配線

  • センサ位置

  • モータおよびシリンダ動作

  • インターロック

  • 保護機能

  • 安全機能

  • 製品レシピ

  • サイクルタイム

  • 品質基準

試運転段階

  1. 電源および接地を確認する。

  2. I/O Checkを実施する。

  3. 装置の動作方向を確認する。

  4. 単位機能を試験する。

  5. 機能間の接続を試験する。

  6. 異常および保護機能を試験する。

  7. 安全機能を試験する。

  8. 実製品による試験を行う。

  9. 性能およびサイクルタイムを試験する。

  10. 最終設定値を保存する。

25. 製品検証と合格基準

統合された制御システムは、製品要求事項に対して検証しなければならない。

検証領域

  • 機能

  • 性能

  • 精度

  • 生産性

  • 品質

  • 異常対応

  • 安全性

  • 操作性

  • 保守性

  • データトレーサビリティ

合格基準の例

  • 位置決め精度

  • サイクルタイム

  • 生産数量

  • アラーム検出時間

  • 停止時間

  • 復旧時間

  • 製品切替え時間

  • 通信復旧時間

  • 繰返し運転安定性

26. サービス・保守との統合

顧客現場で故障診断および制御部品の交換を行える必要がある。

必要な機能

  • 装置別診断画面

  • I/Oモニタ

  • インターロック状態表示

  • アラーム原因と対処方法

  • パラメータバックアップ

  • 交換手順

  • プログラム復元

  • リモート診断

  • 保守履歴

部品交換後に必要な工程

  1. 交換部品を確認する。

  2. 部品番号を確認する。

  3. 必要なプログラムまたはパラメータを適用する。

  4. 通信を確認する。

  5. I/Oを確認する。

  6. 動作方向と動作範囲を確認する。

  7. 制限された試験を行う。

  8. 自動運転を承認する。

27. 変更管理

機械、電気、またはソフトウェア設計を変更する場合、他領域への影響を確認する必要がある。

例:

  • シリンダサイズ変更

  • モータ変更

  • センサ変更

  • PLC変更

  • 通信規格変更

  • プログラムロジック変更

  • 安全装置変更

変更影響確認

  • 機能要求事項

  • I/O

  • 電気図面

  • ソフトウェア

  • HMI

  • 安全ロジック

  • パラメータ

  • 部品表

  • 試験手順

  • マニュアル

  • 既納入設備

変更を、プログラムファイルの修正だけで管理してはならない。

28. バージョンおよび構成管理

製品ごとに、次のバージョンを関連付ける必要がある。

  • 機械図面バージョン

  • 電気図面バージョン

  • PLCプログラムバージョン

  • HMIバージョン

  • 安全プログラムバージョン

  • サーボパラメータバージョン

  • レシピバージョン

  • ネットワーク設定バージョン

  • 試験仕様バージョン

これらの情報を機械のシリアル番号と関連付けなければならない。

29. サプライヤおよび外部装置の統合

ロボット、ビジョンシステム、検査装置、供給装置などの外部システムは、サプライヤによって制御方式が異なる場合がある。

サプライヤに要求する情報

  • I/Oリスト

  • 通信プロトコル

  • 指令および状態定義

  • アラーム一覧

  • 復旧方法

  • 初期パラメータ

  • プログラムバックアップ

  • ソフトウェアバージョン

  • 試験結果

  • 安全インターフェース

外部装置では、Ready、Busy、Complete、Faultなどの信号の意味を明確に定義する必要がある。

30. Cybersecurityの製品統合

制御システムがネットワークへ接続される場合、Cybersecurityも製品機能の一部となる。

主な項目

  • ユーザー権限

  • リモートアクセス

  • ネットワーク分離

  • プログラムダウンロード権限

  • パラメータ変更権限

  • ログ記録

  • バックアップ保護

  • 更新手順

  • 外部記憶媒体の管理

セキュリティ設定は、現場ごとに任意で適用するのではなく、製品構成の一部として定義する必要がある。

31. 製品ライフサイクルと制御支援

制御システムは、製品納入後も継続的に支援できなければならない。

ライフサイクル段階

  • 設計

  • 組立

  • 製造

  • 試運転

  • 顧客納入

  • 運用

  • 保守

  • 改造

  • ソフトウェア更新

  • 廃棄

各段階で必要となる制御情報と責任範囲を定義する必要がある。

32. 主要な設計成果物

成果物

目的

Product Control Architecture

製品と制御システムの全体構造を定義する

Product–Control Interface Matrix

機械・電気・制御間のインターフェースを定義する

Product Requirement Traceability

製品要求事項と制御機能を関連付ける

Module Control Specification

製品モジュールごとの制御範囲を定義する

Product Configuration List

モデルおよびオプション別の構成を定義する

Hardware–Software Mapping

ハードウェア部品とソフトウェア機能を関連付ける

Product BOM and Control BOM

製品部品および制御部品の構成を定義する

Parameter and Recipe Structure

機械設定と製品設定を区別する

Communication Interface Specification

外部装置および生産ラインとのインターフェースを定義する

Assembly Control Specification

組立時の制御関連要求事項を定義する

Manufacturing Download List

製造時に適用するプログラムとパラメータを定義する

Product Validation Plan

製品統合試験と合格基準を定義する

Service and Replacement Procedure

故障診断と部品交換手順を定義する

Version and Configuration Record

機械ごとの構成とバージョンを管理する

33. Control Product Integrationの確認事項

製品要求事項

  • 製品要求事項と制御機能が関連付けられているか

  • 各要求事項の試験方法が定義されているか

  • 制御機能が製品の実際の目的を反映しているか

製品アーキテクチャ

  • 機械モジュールと制御モジュールが対応しているか

  • モジュールの責任範囲と境界が明確か

  • 共通プラットフォームとオプションが区別されているか

インターフェース

  • 機械・電気・空圧・ソフトウェアのインターフェースが定義されているか

  • 各指令と状態の主体が明確か

  • 正常状態と故障時状態が定義されているか

  • 時間条件とタイムアウトが定義されているか

製品仕様

  • モデルおよびオプションごとのハードウェア構成が定義されているか

  • オプションごとのソフトウェア機能が定義されているか

  • 使用できない機能が誤って有効化されないか

  • 製品別パラメータが管理されているか

製造

  • 同一の製品構成を繰り返し製造できるか

  • プログラムとパラメータを自動または標準手順で適用できるか

  • 製造段階で各機能を独立して確認できるか

  • 最終構成とバージョンを記録しているか

サービス

  • 現場で故障原因を確認できるか

  • 部品交換後に設定を復元できるか

  • 機械ごとのプログラムバージョンを確認できるか

  • 既納入設備に対する変更影響を追跡できるか

検証

  • 機能、性能、安全、保護機能が併せて試験されているか

  • 製品仕様ごとの試験範囲が定義されているか

  • 組立誤差と製造ばらつきが考慮されているか

  • 顧客の実使用条件で検証されているか

34. 結論

Control Product Integrationは、制御システムを機械製品の機能、構造、電気システム、安全システム、運転方法、製造工程、およびサービス体制へ接続する領域である。

その本質は、制御装置を機械へ取り付けたり、プログラムをダウンロードしたりすることだけではない。

次の関係を一貫して構成することが重要である。

  • 製品要求事項と制御機能

  • 機械モジュールと制御モジュール

  • 機械動作と制御指令

  • センサ信号と実際の状態

  • 電気配線とプログラム変数

  • 製品オプションと制御構成

  • 製品データと実際の製品

  • 製造工程とソフトウェア適用

  • 納入済み機械とソフトウェアバージョン

  • 保守と部品交換

  • 製品変更と検証範囲

適切なControl Product Integrationは、制御システムが独立した付属品として存在することを防ぐ。

制御を、機械製品の設計、組立、製造、試運転、運用、保守を含む全ライフサイクルへ組み込み、製品機能と性能を一貫して再現できるようにする。

また、機械モデル、オプション、ソフトウェア、パラメータ、電気図面、試験資料、サービス情報を一つの製品構成として管理することにより、製品仕様が多様化した場合や設備が長期間運用される場合でも、制御の一貫性とトレーサビリティを維持できる。