安全機構および保護装置

安全機構および保護装置

1. 概要

安全機構とは、機械の運転、調整、清掃、点検および保守中に発生する危険を除去するか、リスクを許容可能な水準まで低減するために適用する、機械的・電気的・油圧的・空気圧的・制御的な保護装置である。

安全機構の基本的な目的は次のとおりである。

  • 作業者の危険区域への進入防止

  • 回転部および可動部による挟まれ、巻き込まれ、切断、圧壊の防止

  • 異常運転の遮断

  • 過負荷および衝突からの機械保護

  • 電源または圧力喪失時の危険な運動防止

  • 垂直軸および昇降部の落下防止

  • 蓄積エネルギーの安全な隔離および放出

  • 高温、高圧、電気、レーザなどの危険源の隔離

  • 非常時における機械の迅速な停止

  • 保守中の予期しない再起動防止

  • 製品および周辺環境の汚染防止

安全機構は、事故発生後の被害を軽減する装置だけを意味するものではない。最も望ましい安全設計は、設計段階で危険そのものを除去することである。

機械安全対策の基本的な優先順位は次のとおりである。

本質的に安全な設計
→ ガードおよび保護装置
→ 検出・制御・インターロック
→ 警告および作業手順
→ 個人用保護具

代表的な適用分野は次のとおりである。

  • 産業用ロボット

  • プレスおよび切断機

  • 工作機械

  • 包装機械

  • 食品加工機械

  • 自動組立装置

  • 半導体およびディスプレイ製造装置

  • 昇降装置

  • マテリアルハンドリング設備

  • 高温・高圧設備

  • レーザ加工装置

  • 試験装置および研究設備

  • 自動倉庫

  • 協働ロボットシステム

2. 安全機構とロック装置の違い

2.1 ロック装置

ロック装置は、特定の部品または可動部を所定の位置に保持し、意図しない移動、回転または解除を防止する。

2.2 安全機構

安全機構はロック機能を含む場合があるが、より広い範囲で危険の発生および人の危険への暴露を防止する。

代表的な機能は次のとおりである。

  • 危険区域へのアクセス防止

  • 危険な運動の停止

  • 危険速度の制限

  • 危険エネルギーの隔離

  • 過負荷保護

  • 落下防止

  • 意図しない作動の防止

  • 運転状態の監視

  • 安全な復旧

2.3 機能的関係

例:

  • ドアを閉状態に保持するラッチ:ロック装置

  • 危険な運動が停止するまでドアを開けられない装置:安全機構

  • シリンダロッドを所定位置に固定するロッドクランプ:ロック装置

  • 圧力喪失時に垂直軸の落下を防止する二重ロッドクランプ:安全機構

  • モータを停止させる通常スイッチ:運転制御

  • 危険状態で全ての危険動作を停止する非常停止:安全機構

3. 安全設計の基本原則

3.1 危険源の除去

可能な限り、危険源を発生源で除去する。

例:

  • 露出チェーンの代わりに密閉式駆動を使用する

  • 鋭利なエッジを除去する

  • 挟まれが発生する隙間をなくす

  • 低電圧回路を使用する

  • 高温工程を低温工程へ変更する

3.2 危険の大きさの低減

危険を除去できない場合は、力、速度、圧力、温度またはエネルギーを低減する。

3.3 危険の隔離

ガード、カバー、障壁および密閉区画を使用し、人と危険源を分離する。

3.4 危険状態の検出

センサによって、人の接近、ドア開放、過負荷、圧力低下または異常位置を検出する。

3.5 危険な運動の遮断

危険状態を検出した場合、動力源およびエネルギー伝達経路を安全に遮断する。

3.6 安全状態の維持

停止後も、重力、圧力、熱または慣性による危険が継続しないようにする。

3.7 安全な復旧

危険が除去され、意図的なリセット操作が行われた後にのみ再起動できるようにする。

4. 危険源の基本分類

4.1 機械的危険

  • 挟まれ

  • 圧壊

  • せん断

  • 切断

  • 突刺し

  • 巻き込まれ

  • 衝突

  • 飛散

  • 落下

  • 回転部品の破損

  • 高圧流体の噴射

4.2 電気的危険

  • 感電

  • 漏電

  • 短絡

  • アークフラッシュ

  • 静電気

  • 過電流

  • 過熱

4.3 熱的危険

  • 高温表面

  • 火炎

  • 溶融材料

  • 蒸気

  • 低温火傷

  • 熱放射

4.4 圧力による危険

  • 蓄積油圧

  • 蓄積空気圧

  • 圧力容器の破損

  • ホース破裂

  • 真空崩壊

  • ガス漏れ

4.5 放射および光学的危険

  • レーザ

  • 紫外線

  • 赤外線

  • X線

  • 強い可視光

  • 電磁場

4.6 騒音および振動

  • 聴覚障害

  • 疲労

  • 共振

  • 部品の緩み

  • 制御誤差

4.7 材料および環境による危険

  • 有害化学物質

  • 粉じん

  • ミスト

  • 爆発性ガス

  • 酸素欠乏

  • すべり

  • 生物学的汚染

5. リスクアセスメント

安全機構を選定する前に、リスクアセスメントを実施する必要がある。

5.1 リスクアセスメントの手順

機械の使用範囲を定義
→ 危険源を特定
→ 危険状態を分析
→ リスクを見積もる
→ リスク低減対策を策定
→ 残留リスクを評価
→ 妥当性確認および文書化

5.2 検討すべきライフサイクル段階

  • 輸送

  • 設置

  • 試運転

  • 通常運転

  • 製品切替え

  • 調整

  • 清掃

  • 点検

  • 故障復旧

  • 保守

  • 廃棄

5.3 合理的に予見可能な誤使用

通常使用だけでなく、合理的に予見可能な誤使用も考慮する。

  • ガードを開けた状態での運転

  • センサのバイパス

  • 詰まったワークを手で除去する

  • 保守中に電源を再投入する

  • 過大な荷重を投入する

  • 異常な手動操作を行う

6. リスク見積りの要素

リスクは一般に、次の要素を総合して評価する。

  • 想定される傷害の重大度

  • 危険への暴露頻度

  • 危険への暴露時間

  • 危険を回避できる可能性

  • 危険事象の発生確率

  • 暴露される人数

安全機構の性能は、センサの数や回路の複雑さだけでは決まらない。リスクレベルに適した信頼性と故障対応能力を確保する必要がある。

7. 本質的に安全な設計

本質的に安全な設計とは、追加の保護装置に依存せず、機械構造そのものによってリスクを低減する方法である。

7.1 主な方法

  • 危険な力および速度の制限

  • 運動範囲の制限

  • 安全な隔離距離の確保

  • 挟まれ箇所の除去

  • エッジの丸み処理

  • 破損時に破片が飛散しない構造

  • 安定した重心配置

  • 過大な手動操作力の除去

  • 低騒音・低振動設計

  • 手動アクセスを不要にする自動潤滑

7.2 長所

  • 追加安全装置への依存が少ない

  • センサおよび制御装置を削減できる

  • 保守負担を軽減できる

  • 使用者による無効化の可能性を低減できる

  • 機械のライフサイクル全体でリスクを低減できる

8. 安全距離

危険部が停止する前に人が到達できないよう、作業者と危険部の間に十分な安全距離を設ける必要がある。

一般的な考え方は次のとおりである。

安全距離
= 人の接近速度 × 全停止時間
+ 追加余裕距離

全停止時間には次が含まれる。

  • センサ検出時間

  • 安全制御装置の処理時間

  • 出力装置の応答時間

  • バルブまたは接触器の遮断時間

  • モータ減速時間

  • 機械の実停止時間

摩耗や劣化によって停止時間が長くなる場合、必要な安全距離も増加する。

9. 固定式ガード

9.1 定義

工具を使用しなければ容易に取り外せないよう、機械へ固定された保護カバーである。

9.2 主な用途

  • 歯車

  • チェーン

  • ベルト

  • プーリ

  • カップリング

  • ファン

  • 回転軸

  • 切断刃

  • 高温表面

9.3 長所

  • 構造が単純

  • 信頼性が高い

  • 電気制御が不要

  • 保守が少ない

  • 危険区域へのアクセスを確実に防止できる

9.4 短所

  • 保守時に取り外す必要がある

  • 頻繁なアクセスが必要な場所では不便

  • 内部状態の確認が困難になる場合がある

  • 取外し後に正しく復旧されない可能性がある

9.5 設計原則

  • 十分な強度を持たせる

  • 指や工具が通過しない開口寸法とする

  • 鋭利なエッジをなくす

  • ガード自体が危険源とならないようにする

  • 想定される衝撃や飛散物に耐えられるようにする

  • 取外し後の再組立方法を明確にする

10. 可動式ガード

可動式ガードは、ヒンジ、スライド、リフト、折り畳みまたは脱着式パネルによって開閉できる保護装置である。

代表的な形式は次のとおりである。

  • ヒンジドア

  • スライドドア

  • リフトアップカバー

  • 折り畳みカバー

  • 脱着式パネル

頻繁なアクセスが必要な場合は、可動式ガードとインターロック装置を組み合わせる。

11. インターロック付きガード

11.1 定義

ガードが開くと危険な運動を停止させるか、機械の起動を防止する保護装置である。

11.2 基本機能

  • ガード閉状態の確認

  • 危険動作の許可

  • ガード開放時の停止

  • 再閉鎖後の自動再起動防止

  • 故障時の安全状態維持

11.3 単純インターロックとガードロック

単純インターロックはガードの開放を検出するが、ガード自体を機械的にロックしない。

ガードロック装置は、危険な運動または残留エネルギーが消失するまでガードを開けられないようにする。

11.4 主な用途

  • 停止時間が長い回転設備

  • 高温工程

  • 高圧工程

  • ロボットセル

  • レーザ設備

  • プレス

  • 自動化生産ライン

12. 非常停止装置

12.1 定義

非常停止装置は、危険な状態が発生した場合に作業者が操作し、機械の危険な運動を迅速に停止させる装置である。

12.2 基本要求事項

  • 容易に識別できる

  • 容易に操作できる位置にある

  • 作動後、手動リセットまで作動状態を維持する

  • リセット操作だけで機械が再起動しない

  • 危険な運動を優先的に停止する

  • 通常停止装置の代替として使用しない

12.3 代表的な形式

  • マッシュルーム形押しボタン

  • プルコードスイッチ

  • フットスイッチ

  • 非常停止バー

  • 携帯操作装置の停止ボタン

12.4 注意事項

非常停止は、危険状態が発生した後に使用する補助的な保護手段である。本質的安全設計やガードの代わりにはならない。

13. 停止機能

13.1 即時動力遮断停止

駆動エネルギーを直ちに除去し、機械を慣性によって停止させる。

主な用途:

  • 単純なモータ駆動

  • 残留運動が重大な危険とならない設備

13.2 制御停止後の動力遮断

制御された減速によって停止し、その後に駆動エネルギーを遮断する。

主な用途:

  • 高速軸

  • サーボ軸

  • 急停止によって製品や設備が損傷する装置

13.3 制御状態を維持した停止

駆動制御を有効にしたまま、運動だけを停止する。

保守または危険区域への進入に対する最終的な安全状態としては不十分な場合があり、別途エネルギー遮断が必要となる。

14. 予期しない再起動の防止

安全装置が復旧しただけで機械が自動的に再起動してはならない。

再起動には次の条件が必要である。

  • 全てのガードが閉じている

  • 全ての安全センサが正常

  • 非常停止が解除されている

  • 危険区域内に人がいない

  • 別途リセット操作が行われている

  • 運転開始指令が入力されている

リセットボタンは、危険区域を直接確認できる位置に設置することが望ましい。

15. 両手操作装置

15.1 定義

両手操作装置は、作業者が二つの操作部を両手で同時に操作しなければ、危険な運動が開始しない装置である。

15.2 目的

  • 両手を危険区域の外に保持する

  • 片手でワークを持ちながら機械を作動させる行為を防止する

  • プレスや切断機での手の挟まれを防止する

15.3 設計要素

  • 二つのボタンの同時操作条件

  • ボタン間距離

  • 片手や肘などで同時操作しにくい配置

  • いずれか一方を離した場合の危険動作停止

  • 各サイクルごとの再操作

15.4 限界

両手操作装置は操作している本人だけを保護する。他の人の危険区域への進入は防止できないため、追加のガードが必要な場合がある。

16. ライトカーテン

16.1 定義

投光器と受光器の間の光軸が遮断された場合に、危険な運動を停止させる非接触式保護装置である。

16.2 主な用途

  • プレス

  • 自動組立機

  • ロボットセルの出入口

  • 搬入・搬出部

  • 包装機械

16.3 長所

  • 作業領域へのアクセス性が良い

  • 物理的なドアなしで出入りできる

  • 検出速度が速い

  • 繰返し作業に適している

16.4 短所

  • 飛散物や熱を防止できない

  • 検出不能領域が生じる場合がある

  • 汚れや芯ずれに敏感

  • 安全距離計算が必要

  • 光軸の上や下から迂回される可能性がある

16.5 ミューティング

正常な製品やパレットを通過させるため、一時的に安全機能を無効化する機能である。

人ではなく、定められた搬送物だけが通過できるよう、センサ配置と制御ロジックを慎重に設計する必要がある。

17. レーザスキャナ

安全レーザスキャナは、設定された平面領域内への人または物体の進入を検出する。

17.1 主な領域

  • 警告領域

  • 減速領域

  • 停止領域

17.2 主な用途

  • 無人搬送車

  • 自律移動ロボット

  • ロボットセル

  • 大型開放設備

  • 物流システム

17.3 検討事項

  • 床面反射

  • 透明物体

  • 粉じんおよび蒸気

  • センサの遮蔽

  • 死角

  • 移動体の制動距離

18. 感圧マットおよび安全バンパ

18.1 感圧マット

人がマットを踏むと、危険な運動を停止させる。

18.2 安全バンパ

移動機械またはドアのバンパが物体に接触すると、停止信号を発生する。

18.3 セーフティエッジ

ドア、カバーまたは可動部の端部に設置し、挟まれ接触を検出する。

18.4 限界

これらは接触後に作動する装置であるため、速度および衝撃エネルギーを十分に低くする必要がある。

19. 安全センサ

代表的な安全センサは次のとおりである。

  • ガードドアスイッチ

  • 非接触式安全センサ

  • 安全近接センサ

  • ライトカーテン

  • レーザスキャナ

  • 安全マット

  • セーフティエッジ

  • 圧力スイッチ

  • 安全速度センサ

  • 停止監視センサ

  • ローププルスイッチ

安全センサには、一般運転用センサより高い診断能力と信頼性が要求される。

20. 安全制御システム

安全制御システムは、安全センサの入力を処理し、危険な出力装置を遮断する。

主な構成は次のとおりである。

  • 安全リレー

  • 安全PLC

  • 二重チャネル入力

  • 強制ガイド接点

  • 出力接触器

  • 安全通信

  • 診断回路

20.1 基本機能

  • 入力信号の相互監視

  • 断線および短絡の検出

  • 接点溶着の検出

  • 出力装置のフィードバック監視

  • リセット監視

  • 故障時の安全出力遮断

21. 二重チャネルおよび冗長設計

一つのセンサまたは回路が故障しても、安全機能が直ちに失われないよう、二つの独立したチャネルを使用できる。

21.1 長所

  • 単一故障に対する耐性

  • 故障検出が可能

  • 高い信頼性

  • 安全機能の継続

21.2 注意事項

二つのチャネルが同じ原因によって同時に故障しないようにする必要がある。

共通原因故障の例:

  • 同一ケーブル経路の損傷

  • 共通電源の喪失

  • 同一汚染源への暴露

  • 同一ソフトウェアの不具合

  • 同一制御盤への浸水

22. 強制ガイド接点および接触器監視

強制ガイド接点は、主接点と補助接点の機械的関係を利用し、接点の溶着を検出する。

出力接触器監視では次を確認する。

  • 停止指令後に主接点が実際に開いたか

  • 接点溶着が発生していないか

  • 次回再起動前に正常状態へ復帰したか

23. 安全速度監視

危険区域へアクセスする場合、機械を完全停止させず、安全に制限された速度で運転できる場合がある。

主な用途:

  • 段取り

  • ティーチング

  • ジョグ運転

  • 清掃

  • 精密調整

次の項目を検討する。

  • 許容速度

  • 許容トルク

  • 許容移動距離

  • ホールド・トゥ・ラン操作

  • 非常停止

  • 速度センサの冗長化

24. ホールド・トゥ・ラン装置

作業者がボタンまたはスイッチを押し続けている間だけ、制限された条件で機械の運動を許可する。

操作部を離した場合、直ちに停止しなければならない。

主な用途:

  • ロボットティーチング

  • 金型調整

  • 低速手動送り

  • 保守作業

ホールド・トゥ・ラン装置は、安全な低速、制限された力および作業領域の十分な視認性と組み合わせて使用する。

25. イネーブル装置

イネーブル装置は一般に三つの位置を持つ。

  • 離した状態:停止

  • 中間位置:運転許可

  • 強く握り込んだ状態:停止

作業者が危険を感じて手を離した場合や、驚いて強く握り込んだ場合にも機械が停止するように設計する。

26. 過負荷保護機構

過負荷保護機構は、力、トルク、圧力または電流が許容値を超えることを防止する。

代表的な方式は次のとおりである。

  • トルクリミッタ

  • スリップクラッチ

  • せん断ピン

  • リリーフバルブ

  • 減圧バルブ

  • 過電流保護

  • サーボトルク制限

  • 荷重センサ

  • 機械式ストッパ

  • ショックアブソーバ

27. トルクリミッタ

27.1 定義

伝達トルクが設定値を超えた場合に、すべりまたは切離しを発生させ、駆動系およびワークを保護する装置である。

27.2 主な種類

  • 摩擦式

  • ボール・デテント式

  • ラチェット式

  • 磁気式

  • 電子制御式

27.3 主な用途

  • コンベヤ

  • 包装機械

  • 組立装置

  • ロボット軸

  • 工具駆動部

  • インデックス装置

27.4 設計検討事項

  • 作動トルク

  • 再かみ合い方式

  • 繰返し精度

  • 発熱

  • 摩耗

  • 高速回転

  • 信号出力

28. せん断ピン

せん断ピンは、荷重が所定値を超えた場合に意図的に破断し、主要な機械部品を保護する一回使用型の安全部品である。

28.1 長所

  • 構造が単純

  • 作動が確実

  • 低コスト

  • 独立した機械式保護

28.2 短所

  • 作動後に交換が必要

  • 破断片の管理が必要

  • 作動荷重の繰返し精度に限界がある

  • 疲労による早期破損の可能性

せん断ピンを一般構造用ボルトで任意に代用してはならない。

29. 機械式ストッパ

機械式ストッパは、可動部の許容移動範囲を物理的に制限する。

29.1 主な用途

  • シリンダストロークの制限

  • ロボット軸の移動範囲制限

  • スライドのオーバートラベル防止

  • ドア開放角度の制限

  • 昇降軸の上限・下限制限

29.2 設計検討事項

  • 衝突速度

  • 衝撃エネルギー

  • 接触面積

  • ストッパ強度

  • フレーム剛性

  • 緩衝材

  • 繰返し衝突回数

ストッパは正常運転の各サイクルで衝撃を受ける部品ではなく、最終的な保護手段として使用することが望ましい。

30. ショックアブソーバおよび衝撃吸収装置

30.1 主な種類

  • 油圧ショックアブソーバ

  • ゴムバンパ

  • ウレタンパッド

  • スプリング

  • 空気圧クッション

  • クラッシャブル部材

30.2 目的

  • 衝撃力の低減

  • 騒音の低減

  • 構造部品の保護

  • 製品損傷の防止

  • 停止距離の確保

運動エネルギーは次のように表される。

E_k = 1/2 mv²

衝撃エネルギーは速度の二乗に比例して増加する。

31. 落下防止機構

垂直軸、昇降部およびリフティング装置には、重力による落下を防止する安全機構が必要である。

代表的な方式は次のとおりである。

  • スプリング作動ブレーキ

  • ロッドクランプ

  • ラチェットおよびポール

  • セーフティナット

  • 落下防止くさび

  • 機械式ロックピン

  • セーフティギヤ

  • カウンタバランスバルブ

  • 二重チェーンまたはワイヤロープ

31.1 設計原則

  • 主駆動装置から独立したロックを設ける

  • 停電または圧力喪失時に自動作動させる

  • 手動解除時には補助支持を使用する

  • 静的保持と動的制動を区別する

  • 落下エネルギーを考慮する

  • 繰返し検証試験を実施する

32. セーフティナット

主昇降ナットとは別にセーフティナットを設置し、主ナットが破損した場合に荷重を支持する。

32.1 特徴

  • 通常運転時にはほとんど荷重を受けない

  • 主ナットの摩耗を監視できる

  • 主ナット破損時の落下を防止する

  • 昇降装置および作業台に適している

32.2 設計検討事項

  • 主ナットとセーフティナットの間隔

  • 摩耗検出

  • セーフティナットの荷重容量

  • ねじ軸の座屈

  • 保守周期

33. 油圧・空気圧安全装置

33.1 主な装置

  • リリーフバルブ

  • 減圧バルブ

  • チェックバルブ

  • パイロット操作チェックバルブ

  • カウンタバランスバルブ

  • ホース破裂防止バルブ

  • 排気バルブ

  • ソフトスタートバルブ

  • 圧力スイッチ

  • アキュムレータ遮断バルブ

33.2 主な危険

  • 圧力喪失

  • 残留圧力

  • ホース破裂

  • シリンダの急作動

  • バルブ固着

  • 空気の圧縮性

  • 油圧油の高圧噴射

33.3 基本設計原則

  • 供給圧力を制限する

  • 残留圧力を表示する

  • 保守前に圧力を放出する

  • 垂直荷重には機械式ロックを追加する

  • ホース破損時に流量を遮断する

  • 排気時の危険な落下を防止する

34. 残留圧力の放出

電源を遮断しただけでは、油圧・空気圧システムが安全になるとは限らない。

残留エネルギーは次の箇所に残る場合がある。

  • シリンダ

  • アキュムレータ

  • ホース

  • 配管

  • バルブブロック

  • 真空チャンバ

  • スプリング

保守前には次の手順を実施する。

供給エネルギーを遮断
→ 圧力源を隔離
→ 残留圧力を放出
→ 圧力計を確認
→ 可動部を機械的に支持
→ 作業開始

35. 電気安全装置

代表的な電気安全装置は次のとおりである。

  • 配線用遮断器

  • ヒューズ

  • 漏電遮断器

  • 過電流保護

  • 過電圧保護

  • 接地

  • 絶縁監視

  • 安全接触器

  • 主電源断路器

  • 放電回路

35.1 主電源断路装置

機械全体への電源供給を明確に遮断し、施錠できる構造とする。

35.2 放電回路

コンデンサ、インバータおよび高電圧回路に残存する電気エネルギーを、安全な時間内に放電する。

35.3 再通電防止

保守中に他の人が電源を再投入できないよう、施錠可能な断路装置を設ける。

36. エネルギー隔離およびロックアウト・タグアウト

保守中には、電気、油圧、空気圧、重力、熱およびスプリングエネルギーを全て確認する必要がある。

代表的な手順は次のとおりである。

設備停止
→ 全エネルギー源の特定
→ エネルギー隔離
→ 隔離装置の施錠
→ 警告タグの取付け
→ 蓄積エネルギーの除去
→ 無エネルギー状態の確認
→ 保守作業実施

停止ボタンを押すことや制御電源を切ることだけでは、完全なエネルギー隔離とはならない。

37. 温度安全装置

高温および低温の危険には、次の保護手段を適用できる。

  • 断熱カバー

  • 遮熱ガード

  • 温度センサ

  • 過昇温防止スイッチ

  • 二重温度制御

  • 冷却流量監視

  • 表面温度警告

  • 自動電源遮断

  • 熱膨張余裕

過昇温防止装置は、通常の温度制御器とは独立して構成することが望ましい。

38. 圧力容器および爆発保護

圧力系統には次の装置を適用できる。

  • 安全弁

  • 破裂板

  • 圧力スイッチ

  • 圧力計

  • 爆発放散パネル

  • フレームアレスタ

  • 爆発ベント

  • 耐圧ハウジング

圧力の放出方向は、作業者または通路に向けてはならない。

39. 飛散物に対する保護

切りくず、破損工具、切断片または製品が飛散する可能性がある場合、次の装置を使用する。

  • 透明保護窓

  • 金属ガード

  • メッシュガード

  • 耐衝撃パネル

  • チップカバー

  • スピンドルカバー

  • クーラントシールド

透明ガードは、薬品、衝撃、紫外線および経年劣化による強度低下を検討する必要がある。

40. 回転設備の安全

回転設備には次の危険がある。

  • 巻き込まれ

  • 遠心破壊

  • 不釣合い

  • 工具の脱落

  • 軸端の突出

  • 高速飛散

代表的な安全機構は次のとおりである。

  • 回転部カバー

  • 軸端キャップ

  • 速度制限

  • 過速度監視

  • 振動監視

  • バランス監視

  • ドアインターロック

  • 停止確認センサ

41. 安全な工具交換

工具交換装置には次の安全機能が必要である。

  • 主軸完全停止の確認

  • 工具クランプ状態の確認

  • アンクランプ状態の確認

  • 工具存在確認

  • 誤工具の検出

  • マガジン位置確認

  • 非常時の工具落下防止

  • 手動復旧手順

工具クランプセンサだけでは実際の保持力を保証できない場合があるため、ドローバ位置やクランプ力監視を併用できる。

42. 協働運転の安全

人とロボットが同一空間で作業する場合、次の方式が使用される。

  • 安全適合監視停止

  • ハンドガイディング

  • 速度および隔離距離監視

  • 力および動力制限

協働ロボット自体に安全機能があっても、システム全体が自動的に安全になるわけではない。

次の項目を別途検討する。

  • グリッパ形状

  • ワークのエッジ

  • ロボットと固定物の間の挟まれ

  • 工具の危険性

  • 移動速度

  • 衝突エネルギー

  • 作業者の位置

43. 安全な手動モード

段取りまたは保守のためにガードを開けて手動運転を行う場合、制限条件を適用する。

  • 低速運転

  • 制限された力

  • ホールド・トゥ・ラン操作

  • イネーブルスイッチ

  • 危険区域内部の操作権限を優先

  • 自動運転の無効化

  • 明確なモード選択

  • モード選択キーの管理

44. モード選択装置

運転モードは一般に次のように区分できる。

  • 自動運転

  • 手動運転

  • 段取り

  • ティーチング

  • 保守

  • 清掃

モード変更は、キースイッチまたはアクセス権限によって、許可された人だけが実行できるようにする。

一つのモードを選択しただけで、他の全ての安全機能が無条件に解除されてはならない。

45. 警告装置

警告装置は、残留リスクを使用者へ伝える。

45.1 視覚警告

  • 回転灯

  • 表示灯

  • ディスプレイ

  • 警告標識

  • 床面表示

45.2 聴覚警告

  • ブザー

  • サイレン

  • 音声案内

45.3 触覚警告

  • 振動

  • 抵抗感

  • ハプティックフィードバック

警告装置は他の保護手段の代わりにはならない。騒音、照明条件および色覚差を考慮する必要がある。

46. 安全標識および安全色

安全表示は次の情報を明確に伝える必要がある。

  • 危険の種類

  • 想定される結果

  • 禁止される行為

  • 必須の保護措置

  • 非常停止位置

  • エネルギー隔離位置

  • 高温・高圧状態

  • 回転または移動方向

表示は、汚染、洗浄、紫外線および摩耗に耐えられる必要がある。

47. 安全機能の故障原則

安全機構は、故障が発生しても危険な状態へ移行しないよう設計する。

47.1 故障時の安全状態

  • 電源喪失時にブレーキが作動する

  • 圧力喪失時にスプリングロックが作動する

  • センサ断線時に運転を禁止する

  • バルブ故障時に危険方向の運動を遮断する

  • 接触器溶着時に再起動を禁止する

47.2 単一故障の考慮

一つの部品が故障しても、安全機能が直ちに失われないようにするか、故障を検出できるようにする。

47.3 診断範囲

可能な範囲で、システムは次を検出する。

  • 断線

  • 短絡

  • 接点溶着

  • センサ信号の不一致

  • バルブ応答不良

  • 出力装置故障

  • 通信異常

48. 共通原因故障

冗長化された安全チャネルでも、同じ原因によって同時に故障する場合がある。

代表的な共通原因故障は次のとおりである。

  • 同一ケーブル経路の切断

  • 共通電源の故障

  • 浸水

  • 過熱

  • 振動

  • ソフトウェア不具合

  • 誤った保守

  • 共通配管の汚染

対策:

  • 物理的分離

  • 独立電源

  • 異なる作動原理

  • 配線経路の分離

  • 環境保護

  • 定期的な検証

  • 多様な診断方法

49. 安全装置の無効化防止

作業者が安全装置を無効化する主な原因は次のとおりである。

  • 作業性が悪い

  • 生産速度が低下する

  • 不要な停止が頻発する

  • 保守が困難

  • 視認性が悪い

  • 製品が頻繁に詰まる

  • 復旧手順が複雑

安全装置の無効化を防止するには、封印や警告だけに依存せず、通常作業そのものを行いやすく設計する必要がある。

主な方法:

  • 作業空間の改善

  • 迅速で安全な復旧

  • 不要停止の低減

  • ガードの視認性改善

  • センサ位置の最適化

  • 無効化行為の検出

  • 権限管理

50. 安全機構の妥当性確認

安全機構は設計後、実際の試験によって性能を検証する必要がある。

50.1 機能試験

  • ガード開放時の停止

  • 非常停止の作動

  • センサ遮断時の停止

  • 予期しない再起動の防止

  • ロック状態の確認

  • 手動復旧

50.2 停止時間の測定

実際の停止時間を測定し、安全距離の計算へ反映する。

50.3 故障試験

  • センサ断線

  • 接点溶着

  • バルブ固着

  • 電源喪失

  • 圧力喪失

  • 通信断

  • 単一チャネル故障

50.4 繰返し寿命試験

  • ドアスイッチ

  • ロックピン

  • ブレーキ

  • バルブ

  • 非常停止装置

  • 安全バンパ

  • ライトカーテン

51. 保守および定期点検

51.1 日常点検

  • 非常停止装置の状態

  • ガードの損傷

  • インターロックの作動

  • センサ表示

  • 異常音

  • 圧力および温度

  • 警告表示

  • ケーブルおよびホース

51.2 定期点検

  • 停止時間

  • 接触器の状態

  • ブレーキすきま

  • ロッドクランプの保持能力

  • バルブ漏れ

  • ガード取付け状態

  • 安全センサの芯合わせ

  • ライトカーテンの検出

  • 手動解除装置

51.3 交換対象

  • ブレーキパッド

  • スプリング

  • 接触器

  • バルブ

  • センサ

  • ドアスイッチ

  • リレー

  • ホース

  • ガード窓

51.4 点検記録

点検結果、故障、交換および安全試験結果を記録する。

52. 主な故障形態

52.1 ガードの破損

衝撃、腐食または不適切な改造によって保護機能が失われる。

52.2 インターロックの無効化

センサの固定、磁石の取付けまたは配線変更によって、安全機能が無効化される。

52.3 センサの誤検出

汚れ、芯ずれ、配線不良または設定不良によって誤った信号を出力する。

52.4 接触器の溶着

過電流または繰返し開閉によって接点が溶着し、電源を遮断できなくなる。

52.5 バルブの固着

汚染または摩耗によって、流体供給を遮断できなくなる。

52.6 ブレーキ性能の低下

摩擦材の摩耗、油の付着またはスプリング疲労によって保持能力が低下する。

52.7 非常停止の不良

接点摩耗、配線不良または機械的損傷によって作動しなくなる。

52.8 再起動防止機能の故障

安全装置の復旧後、機械が意図せず自動再起動する。

53. 安全機構と人間工学

安全装置は、作業者が自然かつ容易に使用できるようにする必要がある。

主な検討事項は次のとおりである。

  • 操作部へのアクセス性

  • 視認性

  • 操作力

  • 作業者の身体寸法

  • 手袋の使用

  • 繰返し作業による疲労

  • 作業領域の視認性

  • 非常時の直感的操作

  • 左右両手での操作

  • 保守アクセス性

使用しにくい安全装置は、無効化される可能性が高くなる。

54. 食品機械の安全機構

食品機械では、作業者の安全とともに、衛生性、洗浄性および汚染防止を考慮する必要がある。

54.1 主な危険

  • 回転刃

  • 切断刃

  • 搬送ベルトへの挟まれ

  • シールジョーによる圧着

  • 高温洗浄水

  • 蒸気

  • 自動ドア

  • 詰まった製品の除去

  • 清掃中の予期しない作動

54.2 設計要求事項

  • 洗浄可能なガード

  • 食品残渣が蓄積しにくい構造

  • サニタリ仕様のインターロック

  • 露出ねじ部の最小化

  • 排水可能な表面

  • 清掃モードと生産モードの分離

  • 清掃中の低速運転

  • 衛生区域外への安全部品配置

  • 食品適合材料および潤滑剤

54.3 注意事項

複雑な安全センサ、ヒンジおよびロック機構の内部に食品残渣が蓄積しないよう、密閉構造または容易に分解できる構造を採用する。

55. 包装機械の安全機構

包装機械では、高速な繰返し運動と頻繁な製品切替えのため、次の安全機能が重要である。

  • 供給部への手の進入防止

  • シールジョーによる挟まれ防止

  • フィルムロール交換時の軸固定

  • カッターガード

  • ドアインターロック

  • 製品詰まり除去用の安全モード

  • 安全速度監視

  • 非常停止用プルコード

  • 予期しない再起動防止

56. 工作機械の安全機構

工作機械では、回転部、切削工具、切りくず、切削液および自動工具交換装置が主要な危険源である。

代表的な安全機構は次のとおりである。

  • 主軸ドアインターロック

  • 回転部カバー

  • 切りくず飛散防護窓

  • 工具クランプ監視

  • 主軸停止確認

  • 軸オーバートラベルストッパ

  • 過負荷監視

  • 非常停止

  • 保守モードでの低速運転

  • 軸ブレーキ

57. ロボットセルの安全機構

ロボットセルには次の安全装置が使用される。

  • 安全フェンス

  • インターロックドア

  • ライトカーテン

  • レーザスキャナ

  • 安全PLC

  • 安全速度監視

  • ティーチング用イネーブルスイッチ

  • 非常停止

  • 軸ブレーキ

  • 作業者存在検出

ロボットが停止しても、ワークの落下、空気圧グリッパの解放または重力軸の下降が発生する可能性があるため、別途対策が必要である。

58. 昇降装置の安全機構

昇降装置の代表的な安全構成は次のとおりである。

駆動モータ
→ 減速機
→ 昇降機構
→ スプリング作動ブレーキ
→ ロッドクランプまたはセーフティギヤ
→ 上限・下限ストッパ
→ 過速度検出

主な検討事項:

  • 静的保持荷重

  • 落下エネルギー

  • 停電時の自動制動

  • 二重ロック

  • ワイヤロープまたはチェーンの破断

  • 非常下降

  • 手動救出

  • 定期的な制動試験

59. 適用事例

59.1 プレス安全システム

ワーク投入
→ 両手操作またはライトカーテン確認
→ 安全制御装置が運転を許可
→ プレス下降
→ 過負荷監視
→ 下死点到達
→ 復帰

主な安全装置:

  • 固定式ガード

  • ライトカーテン

  • 両手操作装置

  • 非常停止

  • ブレーキ監視

  • 過負荷保護

  • 再起動防止

59.2 ロボットセル

ドア閉鎖
→ ガードロック
→ 作業者不在確認
→ リセット
→ 自動運転許可

主な安全装置:

  • 周囲フェンス

  • ドアインターロック

  • ガードロック

  • 安全PLC

  • レーザスキャナ

  • 非常停止

  • 安全速度監視

59.3 包装用シール装置

フィルム供給
→ シールジョー接近
→ 圧着および加熱
→ 保持
→ 開放

主な安全装置:

  • 挟まれ防止ガード

  • インターロック付きカバー

  • 過昇温防止

  • 圧力制限

  • 安全バンパ

  • 非常停止

59.4 垂直リフト

上昇指令
→ ブレーキ解除
→ 昇降
→ 目標位置到達
→ ブレーキ作動
→ ロッドクランプ作動

主な安全装置:

  • 保持ブレーキ

  • ロッドクランプ

  • 上限・下限スイッチ

  • 機械式ストッパ

  • 過速度検出

  • チェーン破断検出

  • 非常下降装置

60. 解析および設計ツール

60.1 リスクアセスメント

  • 危険源一覧

  • 危険シナリオ

  • 傷害の重大度

  • 暴露頻度

  • 回避可能性

  • リスク低減対策

60.2 CAD検討

  • ガードの干渉

  • アクセス空間

  • 指の到達可能性

  • 保守空間

  • 非常停止装置の位置

  • センサの死角

60.3 構造解析

  • ガードの衝撃強度

  • ストッパ応力

  • 落下防止ピンのせん断

  • ブレーキハウジング

  • 飛散防護窓

  • 安全フェンス強度

60.4 動力学解析

  • 停止距離

  • 制動エネルギー

  • 衝突エネルギー

  • 落下エネルギー

  • 非常停止荷重

  • 安全距離

60.5 制御の妥当性確認

  • インターロックロジック

  • 単一故障

  • センサ信号の不一致

  • 接触器溶着

  • 通信遅延

  • 電源喪失

  • 再起動防止

61. 安全機構の選定手順

61.1 機械の使用範囲を定義

  • 通常運転

  • 段取り

  • 清掃

  • 保守

  • 故障復旧

  • 合理的に予見可能な誤使用

61.2 危険源を特定

  • 運動

  • 力

  • 速度

  • 圧力

  • 温度

  • 電気

  • 放射

  • 化学物質

  • 重力

61.3 リスクを見積もる

  • 傷害の重大度

  • 暴露頻度

  • 回避可能性

  • 発生確率

61.4 本質的リスク低減を適用

  • 危険な運動の除去

  • 速度および力の制限

  • 安全距離の確保

  • 挟まれ箇所の除去

  • 安定性の向上

61.5 保護装置を選定

  • 固定式ガード

  • 可動式ガード

  • インターロック

  • ガードロック

  • ライトカーテン

  • レーザスキャナ

  • 安全マット

  • 非常停止

61.6 過負荷・落下防止装置を選定

  • トルクリミッタ

  • せん断ピン

  • ブレーキ

  • ロッドクランプ

  • セーフティナット

  • 機械式ストッパ

61.7 安全制御を構成

  • 安全リレー

  • 安全PLC

  • 二重チャネル

  • 接触器監視

  • バルブ監視

  • 再起動防止

61.8 環境条件を確認

  • 粉じん

  • 水分

  • 洗浄

  • 腐食

  • 温度

  • 振動

  • 食品接触

  • 爆発危険

61.9 妥当性確認および試験

  • 機能試験

  • 停止時間測定

  • 故障試験

  • 繰返し寿命試験

  • 電源喪失試験

  • 圧力喪失試験

  • 落下試験

  • 非常復旧試験

62. 結論

安全機構とは、機械の運転、調整、清掃および保守中に発生する危険から、作業者、設備、製品および環境を保護するための、機械的・電気的・油圧的・空気圧的・制御的な保護手段である。

安全設計は、危険が発生した後に機械を停止させることから始めるべきではない。まず危険源を除去するか、力や速度を低減し、その後ガードおよび保護装置によって残存する危険を隔離する。さらにセンサ、安全制御およびインターロックによって残留リスクを管理する。

固定式ガードは、危険区域へのアクセスを防止する最も単純で信頼性の高い手段の一つである。頻繁なアクセスが必要な場所では、可動式ガードとインターロックまたはガードロック装置を組み合わせる。ライトカーテン、レーザスキャナ、安全マットおよび安全バンパは、人の接近を検出して危険な運動を停止させる。

非常停止は、危険状態において機械を迅速に停止させる補助的な安全装置であり、本質的安全設計やガードの代替にはならない。両手操作装置、ホールド・トゥ・ラン装置およびイネーブル装置は、作業者の手や身体を危険区域外へ保持するか、制限された条件でのみ運転を許可する。

トルクリミッタ、せん断ピン、リリーフバルブおよび機械式ストッパは、過負荷や衝突から機械を保護する。ブレーキ、ロッドクランプ、セーフティナットおよびラチェット機構は、垂直軸や昇降部の落下を防止する。保守前には、電気、油圧、空気圧、重力およびスプリングエネルギーを完全に隔離し、残留エネルギーを除去しなければならない。

安全機構は、正常運転時の作動だけで評価してはならない。断線、短絡、接点溶着、バルブ固着、センサ故障、電源喪失、圧力喪失および共通原因故障も考慮する必要がある。安全装置が復旧した後も、別途リセットおよび起動指令がない限り、機械が自動的に再起動してはならない。

安全機構は、次の順序で設計することが適切である。

機械の使用範囲を定義
→ 危険源および危険状態を特定
→ リスクを見積もる
→ 本質的に安全な設計を適用
→ ガードおよびアクセス防止装置を選定
→ 検出装置およびインターロックを構成
→ 過負荷・落下・圧力保護を設計
→ 安全制御および故障診断を構成
→ 停止時間および安全距離を検証
→ 非常停止および再起動防止を設計
→ 保守時のエネルギー隔離手順を策定
→ 機能・故障・寿命試験を実施
→ 残留リスクを表示および文書化

適切に設計された安全機構は、事故発生の可能性を低減するだけでなく、設備の信頼性、保守性、操作性および生産安定性を向上させる重要な機械構成要素である。