ロック装置およびロック機構

ロック装置およびロック機構

1. 概要

ロック装置とは、機械部品、可動部、回転部材、ドア、カバー、金型または作業ユニットを所定の位置に保持し、外力や振動による意図しない移動、回転、分離または解除を防止する機械装置である。

ロック装置の基本機能は次のとおりである。

  • 直線運動部品を所定位置に固定する

  • 回転軸を所定の角度で固定する

  • ドアおよびカバーを閉じた状態に維持する

  • ねじ締結部の緩みを防止する

  • 工具および金型の離脱を防止する

  • 可動部の落下を防止する

  • 調整位置を維持する

  • 運転中の意図しない解除を防止する

  • 保守作業中の危険な運動を防止する

  • 電源または圧力喪失時に安全状態を維持する

ロック装置はクランプ機構と密接に関係するが、その目的は異なる。

クランプ機構は対象物を基準面へ押し付け、工程荷重に抵抗する。
ロック装置は、すでに設定された位置や結合状態が解除されないようにする。

一つの装置がクランプ機能とロック機能を同時に持つ場合もある。例えば、オーバーセンタトグルクランプはワークを押さえるとともに、リンクがデッドセンタを越えた位置で解除を防止する。

代表的な用途は次のとおりである。

  • 産業機械のドアおよびカバー

  • 工作機械の工具保持装置

  • 金型およびパレット交換装置

  • 昇降装置およびリフティング設備

  • 回転テーブルおよびインデックス装置

  • スライドおよび直線搬送装置

  • ロボット軸およびグリッパ

  • 折り畳み構造物

  • 搬送用コンテナ

  • 自動車のシートおよびドア

  • 航空機および鉄道設備

  • 食品機械および包装機械

  • 保守用安全支持装置

ロック装置を設計する際には、保持力だけでなく、解除性、安全性、状態検出、摩耗、公差および非常時の操作も検討する必要がある。

2. ロックとクランプの違い

2.1 クランプ

クランプは、ワークまたは部品を基準面へ押し付け、外力に抵抗するための圧着力を継続的に与える。

主な目的は次のとおりである。

  • ワーク位置の維持

  • 工程荷重への抵抗

  • すべり防止

  • 振動抑制

  • 変形制御

2.2 ロック

ロックは、部品または機構が設定された位置から移動したり、結合が解除されたりすることを防止する。

主な目的は次のとおりである。

  • 位置ずれ防止

  • 逆駆動防止

  • 締結部の緩み防止

  • ドア開放防止

  • 落下防止

  • 安全状態の維持

2.3 機能的関係

クランプは継続的な力に依存する場合が多いが、ロック装置は形状結合や機械的なかみ合いを利用する場合が多い。

例:

  • 油圧シリンダの圧力維持:クランプ

  • シリンダロッドへのロックピン挿入:ロック

  • ねじによる工具の押付け:クランプ

  • ロックナットによるねじ回転防止:ロック

  • ドアをフレームへ押し付ける:クランプ

  • ラッチによるドア開放防止:ロック

3. ロック装置の基本要求事項

ロック装置は、用途に応じて次の性能を確保する必要がある。

3.1 十分な保持能力

外力、トルク、振動または衝撃が作用しても、ロックが解除されてはならない。

3.2 確実なかみ合い

部分的なかみ合いや不完全なロック状態が発生しない構造とする。

3.3 確実な解除

正常な解除指令が与えられた場合、過大な力を必要とせず解除できなければならない。

3.4 誤操作防止

作業者の操作ミスや偶発的な接触によって解除されないようにする。

3.5 状態確認

ロック状態および解除状態を、目視、機械的表示またはセンサで確認できるようにする。

3.6 繰返し寿命

繰返しロックおよび解除を行っても、摩耗、すきまおよび保持力の変化が許容範囲内でなければならない。

3.7 環境適合性

粉じん、水分、洗浄、腐食、温度変化および振動環境でも正常に作動する必要がある。

3.8 非常解除

電源喪失、圧力喪失または故障時に、手動で安全に解除できるようにする。

4. ロック装置の基本分類

4.1 形状結合式ロック

部品同士を物理的にかみ合わせて運動を防止する。

  • ロックピン

  • インデックスピン

  • ラッチ

  • ラチェット・ポール機構

  • ドッグクラッチ

  • 歯形ロック装置

  • キーおよびスプライン

  • バヨネットロック

4.2 摩擦式ロック

接触面の摩擦力を利用して運動を防止する。

  • 摩擦ブレーキ

  • コレットロック

  • テーパロック

  • くさびロック

  • クランプリング

  • 軸ロック装置

  • 摩擦式回転ロック

4.3 ねじ式ロック

ねじおよび締結部品を利用して緩みや回転を防止する。

  • ロックナット

  • ダブルナット

  • ナイロンインサートナット

  • キャッスルナットと割りピン

  • 止めねじ

  • タブワッシャ

  • ねじロック剤

  • セルフロックねじ

4.4 オーバーセンタ式ロック

リンクがデッドセンタを越えた位置へ移動し、外力によって解除方向へ戻りにくくする。

  • トグルラッチ

  • オーバーセンタレバー

  • リンクロック装置

  • 折り畳み構造用ロック

4.5 ブレーキ式ロック

摩擦材または制動部によって、軸や移動部を停止状態に保持する。

  • ディスクブレーキ

  • ドラムブレーキ

  • バンドブレーキ

  • スプリング作動ブレーキ

  • 電磁ブレーキ

  • モータ保持ブレーキ

4.6 流体式ロック

油圧または空気圧の流路を遮断して、アクチュエータの移動を防止する。

  • チェックバルブ

  • パイロット操作チェックバルブ

  • カウンタバランスバルブ

  • ロッドロックシリンダ

  • 油圧ロックバルブ

4.7 電磁・電気機械式ロック

電磁力または電気信号によってロックを作動させる。

  • ソレノイドロックピン

  • 電磁式ドアロック

  • 電磁ブレーキ

  • 電磁ロック装置

  • 電永磁ロック装置

5. ロック方向による分類

5.1 直線運動ロック

スライダ、シリンダロッド、昇降軸またはリニアガイドの移動を防止する。

5.2 回転運動ロック

軸、回転テーブル、ハンドルまたはヒンジの回転を防止する。

5.3 軸方向分離防止

軸、ピン、工具またはコネクタが軸方向へ抜けることを防止する。

5.4 開閉部ロック

ドア、カバー、ハッチまたはケースの開放を防止する。

5.5 調整位置ロック

調整ねじ、ハンドホイール、ガイドまたはセンサブラケットの設定位置を維持する。

5.6 落下防止ロック

昇降部または垂直軸が重力によって下降することを防止する。

6. ポジティブロックと摩擦ロック

6.1 ポジティブロック

ピン、歯、溝またはフックが物理的にかみ合い、運動を遮断する。

長所

  • 保持能力が摩擦係数に大きく左右されない

  • かみ合い状態が明確

  • 振動に強い

  • 安全機能に適している

短所

  • 所定の位置でのみロックできる

  • 位置合わせが必要

  • 衝撃的にかみ合わせると損傷する可能性がある

  • すきまが発生する場合がある

6.2 摩擦ロック

二つの接触面を押し付け、摩擦力によって運動を防止する。

長所

  • 任意位置でロックできる

  • 微調整に適している

  • 比較的単純な構造

  • 連続的な位置固定が可能

短所

  • 摩擦係数の変化に敏感

  • 振動や潤滑によって解除される場合がある

  • 大きな保持力には大きな押付け力が必要

  • 摩耗によって性能が変化する

6.3 選定原則

安全に直接関係する位置固定にはポジティブロックを優先し、連続調整が必要な場合には摩擦ロックを補助的に使用することが望ましい。

7. ロックピン

7.1 定義

ロックピンは、固定部と可動部の整列した穴を貫通し、相対運動を防止する最も基本的な形状結合式ロック装置である。

7.2 主な種類

  • 手動挿入ピン

  • インデックスピン

  • スプリングプランジャ

  • ボールロックピン

  • クイックリリースピン

  • テーパピン

  • 油圧作動ピン

  • 空気圧作動ピン

  • ソレノイド作動ピン

7.3 長所

  • 構造が単純

  • 確実な形状ロック

  • 大きなせん断荷重を支持できる

  • ロック状態を確認しやすい

  • 保守が容易

7.4 短所

  • 穴の位置合わせが必要

  • ピンに衝撃荷重が作用する場合がある

  • 摩耗によってすきまが増加する

  • 汚染によって挿入不良が発生する

  • 荷重が作用した状態では解除しにくい

8. ロックピンの荷重計算

ロックピンには一般に、せん断、曲げおよび面圧が作用する。

8.1 単純せん断

τ = F / A

円形ピンの断面積は次のとおりである。

A = πd² / 4

8.2 二重せん断

τ = F / 2A

二重せん断構造は、同一ピン径で単純せん断構造より大きな荷重を支持できる。

8.3 面圧

ピン径を (d)、接触厚さを (t) とすると、平均面圧は次のとおりである。

p_b = F / dt

8.4 ピンの曲げ

支持部間のすきまが大きい場合や、ピンと穴との間にすきまがある場合、ピンに曲げモーメントが作用する。

8.5 設計検討事項

  • ピンせん断

  • ピン曲げ

  • 穴の面圧

  • 疲労荷重

  • 衝撃荷重

  • ピン抜け防止

  • 挿入および解除力

  • 腐食および焼付き

9. インデックスピンおよびプランジャ

9.1 インデックスピン

回転板またはスライダを、あらかじめ定められた位置へ繰返し固定するためのピンである。

9.2 スプリングプランジャ

内部スプリングによってピンまたはボールを押し、溝や穴へ自動的にかみ合わせる。

9.3 主な用途

  • 回転インデックステーブル

  • 調整式ガイド

  • 折り畳みハンドル

  • スライド位置固定

  • 交換式治具

  • 高さ調整装置

9.4 設計上の注意

プランジャは位置確認や軽い保持には適しているが、大きな安全荷重を直接支持する用途には適さない場合がある。

大きな荷重には、別のロックピンまたはポジティブストッパを使用する必要がある。

10. ボールロックピン

ボールロックピンは、ピン先端付近に突出するボールを設け、ピンの抜けを防止するクイックリリース方式である。

10.1 作動原理

ボタンを押すと内部ロッドが移動し、ボールがピン内部へ引き込まれる。ボタンを離すと、ボールが再び突出する。

10.2 長所

  • 迅速な挿入および取外し

  • 工具が不要

  • 意図しないピン抜けを防止

  • 頻繁な交換作業に適している

10.3 短所

  • 内部構造が汚染に敏感

  • ボールおよび溝に局部応力が発生する

  • 衝撃荷重への配慮が必要

  • 定期的な清掃および潤滑が必要

11. ラッチ装置

11.1 定義

ラッチは、突起、フック、溝または掛け金を相手部品へかみ合わせ、ドアやカバーの開放を防止する装置である。

11.2 主な種類

  • スライドボルトラッチ

  • フックラッチ

  • カムラッチ

  • トグルラッチ

  • ロータリラッチ

  • スプリングラッチ

  • プッシュ・トゥ・クローズラッチ

  • ロータリキャッチ

11.3 長所

  • 迅速なロックおよび解除

  • 比較的単純な構造

  • 目視確認が容易

  • ドアやカバーへ適用しやすい

11.4 短所

  • かみ合い部の摩耗

  • 芯ずれに敏感

  • 衝撃によって開く可能性

  • 不完全なかみ合いが発生する可能性

12. トグルラッチとオーバーセンタロック

12.1 作動原理

レバーおよびリンクがデッドセンタを越えると、外部からの分離力によってリンクが解除方向へ移動しにくくなる。

12.2 特徴

  • 迅速な手動操作

  • 相手部品を互いに引き寄せる

  • 比較的一定した引張力を与える

  • オーバーセンタ位置で機械的にロックする

  • ドア、金型およびコンテナに適している

12.3 設計検討事項

  • オーバーセンタ移動量

  • フック長さ

  • ラッチ引張力

  • ハンドル操作力

  • ストッパ位置

  • 振動

  • 摩耗後のロック状態

12.4 過大なオーバーセンタ移動

オーバーセンタ移動量が大きすぎると、解除力が増加し、リンクおよびピンの荷重も大きくなる。

13. ラチェットおよびポール

13.1 定義

ラチェットホイールの非対称歯とポールをかみ合わせ、一方向の回転を許容し、反対方向の回転を防止する装置である。

13.2 主な構成

  • ラチェットホイール

  • ポール

  • ポールスプリング

  • 支持軸

  • 解除レバー

  • ストッパ

13.3 主な用途

  • ウインチ

  • ホイスト

  • 張力調整装置

  • ハンドブレーキ

  • 昇降装置

  • 段階式位置決め装置

13.4 長所

  • 段階的な位置保持

  • 逆回転防止

  • 単純な構造

  • 大きなトルクを支持できる

13.5 短所

  • 任意角度での連続的なロックが難しい

  • ポールと歯の間に衝撃が発生する

  • 騒音

  • バックラッシ

  • 繰返し衝撃による疲労

14. ラチェット装置の荷重

ラチェットにトルク (T) が作用し、歯の有効半径を (r) とすると、接線力は次のとおりである。

F_t = T / r

次の項目を検討する必要がある。

  • 歯の曲げ

  • 歯面接触応力

  • ポールせん断

  • ポール曲げ

  • 支持ピンせん断

  • 衝撃荷重

  • 疲労荷重

回転中にラチェットが急激にかみ合うと、静的計算値を大きく上回る衝撃荷重が発生する場合がある。

15. ドッグクラッチおよび歯形ロック

15.1 定義

軸方向へ移動する突起または歯を相手部品の溝へかみ合わせ、回転を防止したり、トルクを伝達したりする方式である。

15.2 特徴

  • 大きなトルクを伝達できる

  • すべりのないポジティブ結合

  • かみ合い状態が明確

  • 回転軸のロックに適している

15.3 短所

  • 歯の位置合わせが必要

  • 回転中のかみ合わせによって衝撃が発生する

  • すきまが発生する場合がある

  • 歯先の摩耗

  • 高速かみ合わせには不向き

15.4 主な用途

  • ギヤ選択装置

  • 回転テーブルロック

  • 工具交換装置

  • 軸継手

  • インデックス機構

16. ねじロック装置

ねじロック装置は、締結ねじや調整ねじが振動および外力によって緩んだり、回転したりすることを防止する。

主な方式は次のとおりである。

  • ダブルナット

  • ロックナット

  • ナイロンインサートナット

  • オールメタルプリベイリングトルクナット

  • キャッスルナットと割りピン

  • タブワッシャ

  • スプリングワッシャ

  • セレーションワッシャ

  • 止めねじ

  • ねじロック剤

  • セーフティワイヤ

17. ダブルナット

二つのナットを互いに締め付け、ねじ山間に予圧を発生させる方式である。

17.1 長所

  • 構造が単純

  • 標準ナットを使用できる

  • 調整位置の固定に適している

  • 再使用可能

17.2 短所

  • 軸方向の追加スペースが必要

  • 正しい締付け手順が必要

  • 作業者による締付けばらつき

  • 振動環境では点検が必要

18. ロックナット

ロックナットは、摩擦または材料変形によって、ねじ軸に対する回転を防止する。

18.1 主な種類

  • ナイロンインサート形

  • オールメタル変形ねじ形

  • スロット形

  • クランプ形

  • 軸受固定用精密ロックナット

18.2 選定要素

  • 温度

  • 再使用回数

  • 振動

  • 締付けトルク

  • 耐薬品性

  • 清浄度

  • ねじ精度

ナイロンインサート形は高温環境で性能が低下する場合があるため、許容使用温度を確認する必要がある。

19. キャッスルナットと割りピン

キャッスルナットの溝とボルトの貫通穴を合わせ、割りピンを挿入してナットの回転を形状的に防止する。

19.1 長所

  • 目視確認が容易

  • ポジティブロック

  • 振動に強い

  • 安全重要締結部に適している

19.2 短所

  • 溝と穴の位置合わせが必要

  • 締付け角度の微調整が制限される

  • 割りピンの交換が必要

  • 組立時間が増加する

20. タブワッシャおよびロックプレート

ワッシャまたは金属板の一部をナットや固定部側へ折り曲げ、回転を防止する。

20.1 主な用途

  • 軸受ロックナット

  • 歯車軸

  • 回転部品

  • 重機締結部

  • 繰返し振動を受ける部品

20.2 長所

  • 確実な形状ロック

  • 単純な構造

  • ロック状態を確認しやすい

20.3 短所

  • 再使用が制限される場合がある

  • 折曲げ時に損傷する可能性

  • 組立スペースが必要

21. 止めねじ

止めねじは、その先端で軸や部品を押し、相対運動を防止する。

21.1 先端形状

  • 平先

  • カップポイント

  • コーンポイント

  • ドッグポイント

  • ナイロンチップ

  • ボールチップ

21.2 長所

  • 構造が単純

  • 設置スペースが小さい

  • 調整位置の固定に便利

  • 低コスト

21.3 短所

  • 軸表面を損傷する可能性

  • 保持力が摩擦に依存する

  • 振動によって緩む可能性

  • 大きなトルク伝達には制限がある

重要なトルク伝達部では、キー、スプラインまたはクランピングハブを併用することが望ましい。

22. ねじロック剤

液状接着剤をねじ山間で硬化させ、ねじの緩みを防止する。

22.1 長所

  • ねじかみ合い全体へ荷重を分散できる

  • 振動に強い

  • シール効果がある

  • 追加のロック部品を削減できる

22.2 短所

  • 硬化時間が必要

  • 表面汚染に敏感

  • 分解トルクが増加する

  • 温度および薬品の影響を受ける

  • 再組立前に清掃が必要

22.3 使用時の検討事項

  • 分解の必要性

  • ねじ寸法

  • 母材

  • 使用温度

  • 油分汚染

  • 食品接触の可能性

  • 硬化条件

23. くさびロック

23.1 定義

傾斜したくさびを部品間へ挿入し、圧着力を発生させ、摩擦および形状効果によって運動を防止する。

23.2 セルフロック条件

くさび角を (\alpha)、摩擦角を (\phi) とすると、一般に次の条件でセルフロックしやすい。

(\phi > \alpha)

または、

(\mu > \tan\alpha)

23.3 長所

  • 大きなロック力

  • コンパクトな構造

  • 高い剛性

  • 任意位置でロック可能

  • すきまを除去できる

23.4 短所

  • 摩擦係数の変化に敏感

  • 解除力が大きくなる場合がある

  • 摩耗および焼付き

  • 潤滑状態によって性能が変化する

安全機能では、摩擦によるセルフロックだけに依存せず、別のロックピンまたはストッパを追加することが望ましい。

24. テーパロック

円すい面またはテーパ面を互いに押し付け、軸、ハブ、工具またはコレットを固定する。

24.1 主な用途

  • 工作機械用工具ホルダ

  • テーパブッシュ

  • コレット

  • 軸とハブの結合

  • ドリルチャック

  • 回転工具

24.2 長所

  • 高い同心精度

  • 大きな接触面積

  • 大きなトルク伝達能力

  • すきまが小さい

  • 高い繰返し精度

24.3 短所

  • 高い表面精度が必要

  • 汚染に敏感

  • 過度な挿入によって焼き付く場合がある

  • 解除機構が必要

25. コレットロック

スリット付きコレットをテーパ面に沿って移動させ、軸または工具を円周方向から均一に固定する。

25.1 特徴

  • 高い同心度

  • 均一な円周圧力

  • 迅速な締結

  • 小径部品に適している

  • 高い繰返し精度

25.2 主な設計検討事項

  • コレット収縮量

  • テーパ角

  • 引張力

  • 接触圧力

  • 材料疲労

  • 汚染

  • 解除性

26. 軸ロック装置

軸とハブの間の摩擦結合を利用し、回転および軸方向移動を防止する。

26.1 主な種類

  • クランピングハブ

  • 分割ハブ

  • テーパロックブッシュ

  • キーレスロッキングデバイス

  • シュリンクディスク

  • クランプリング

26.2 長所

  • キー溝なしでトルクを伝達できる

  • 軸の損傷を低減できる

  • 芯合わせ性が良い

  • 組立および分解が比較的容易

  • バックラッシが小さい

26.3 短所

  • 締付けトルク管理が必要

  • 表面状態に敏感

  • 過大な締付けによってハブが変形する場合がある

  • 摩擦係数の変化に影響される

27. ブレーキ式ロック装置

ブレーキ式ロック装置は、摩擦材をディスク、ドラムまたは軸へ押し付け、回転運動または直線運動を防止する。

27.1 主な種類

  • ディスクブレーキ

  • ドラムブレーキ

  • バンドブレーキ

  • シューブレーキ

  • 電磁ブレーキ

  • スプリング作動ブレーキ

  • 油圧解除ブレーキ

  • 空気圧解除ブレーキ

27.2 静的保持トルク

必要な保持トルクは、外部荷重トルクと安全率から決定する。

T_brake ≥ S × T_load

27.3 長所

  • 任意位置でロックできる

  • 大きな保持トルク

  • 運動中の減速および停止も可能

  • モータ軸および昇降軸へ適用できる

27.4 短所

  • 摩擦材の摩耗

  • 発熱

  • 保持トルクの変化

  • 油や水分に敏感

  • 定期点検が必要

28. スプリング作動ブレーキ

スプリング力によってブレーキを締結し、電磁力、空気圧または油圧によって解除する方式である。

28.1 特徴

  • 電源喪失時に自動的に締結

  • フェイルセーフ機能

  • 垂直軸の落下防止

  • モータ保持に適している

28.2 主な用途

  • 昇降軸

  • ホイスト

  • エレベータ

  • ロボット関節

  • サーボモータ

  • 自動倉庫

28.3 設計検討事項

  • 静的保持トルク

  • 非常停止エネルギー

  • 解除電圧

  • 摩擦板の摩耗

  • 手動解除

  • 残留トルク

保持用ブレーキと動的停止用ブレーキでは要求性能が異なるため、明確に区別する必要がある。

29. 直線軸ロック装置

リニアガイド、シリンダロッドまたは直線軸の移動を直接固定する。

29.1 主な種類

  • ロッドクランプ

  • リニアガイドブレーキ

  • くさび式軸ロック

  • スプリングクランプ

  • 空気圧解除式軸ロック

  • 油圧解除式軸ロック

29.2 主な用途

  • 垂直スライド

  • シリンダロッド

  • Z軸

  • 昇降プラットフォーム

  • プレスラム

  • 保守時の位置固定

29.3 注意事項

位置保持装置と非常制動装置では、必要なエネルギー吸収能力が異なる。

停止中の軸を保持するためだけに設計された装置を、高速移動部の非常停止に使用すると損傷する可能性がある。

30. チェックバルブ式流体ロック

30.1 チェックバルブ

流体を一方向にのみ流し、シリンダの逆方向移動を制限する。

30.2 パイロット操作チェックバルブ

通常時には流路を遮断し、パイロット圧が供給されたときだけ逆方向流れを許容する。

30.3 長所

  • 油圧・空気圧シリンダの位置を保持できる

  • 回路が比較的単純

  • 圧力喪失時の移動を抑制できる

  • 自動化に適している

30.4 限界

  • 内部漏れ

  • ホース破損時に保持できない可能性

  • 流体の圧縮性

  • 温度による圧力変化

  • シリンダシールの漏れ

人の安全に関係する垂直荷重では、チェックバルブだけに依存せず、機械式ロックを追加する必要がある。

31. カウンタバランスバルブ

垂直荷重またはオーバーランニング荷重によって、シリンダが制御不能に移動することを防ぐため、背圧を維持する。

31.1 主な機能

  • 荷重落下防止

  • 下降速度制御

  • ホース破損への対応

  • 圧力保持

  • キャビテーション防止

31.2 設計検討事項

  • 設定圧力

  • パイロット比

  • 荷重圧力

  • 発熱

  • 下降安定性

  • 非常解除

32. ロッドロックシリンダ

シリンダロッドに独立した機械式ロック機構を組み込み、任意位置でロッドを固定する。

32.1 主な方式

  • スプリング作動・空気圧解除

  • くさびクランプ

  • コレットクランプ

  • ローラロック

  • ブレーキパッド方式

32.2 長所

  • 圧力喪失時にも位置を維持できる

  • 任意位置でロック可能

  • 垂直軸の落下防止

  • シリンダとの一体化が可能

32.3 短所

  • ロッド表面状態に敏感

  • 側面荷重に注意が必要

  • 繰返し摩耗

  • 非常停止能力の確認が必要

33. ソレノイドロック装置

電気信号によってプランジャまたはピンを移動させ、ロックまたは解除を行う。

33.1 主な形式

  • 通電時ロック

  • 通電時解除

  • 双安定ソレノイド

  • モータ駆動ラッチ

  • 電子式ドアインターロック

33.2 通電時解除形

無通電時はスプリングでロックされ、通電すると解除される。

基本安全状態をロック状態とする必要がある場合に適している。

33.3 通電時ロック形

通常は解除状態で、通電時にロックされる。

非常避難や手動開放を優先する場合に適用できる。

33.4 設計検討事項

  • 停電時に要求される状態

  • コイル発熱

  • 連続通電定格

  • プランジャ保持力

  • 手動解除

  • 状態センサ

34. 機械式インターロック

二つ以上の装置が危険な順序で同時に作動しないよう、機械的に制限する。

34.1 適用例

  • ドアが閉じている場合のみ機械が作動する

  • ロックピンが挿入されている場合のみ回転できる

  • 金型が固定されている場合のみプレスが作動する

  • 一方のバルブが閉じている場合のみ他方を開ける

  • カバーが開いている場合は駆動軸を遮断する

34.2 長所

  • 制御ソフトウェアから独立している

  • 誤操作を防止できる

  • 状態関係が明確

  • 電源なしでも機能できる

34.3 短所

  • 構造が複雑になる場合がある

  • 摩耗および芯ずれ

  • 無理な強制作動の可能性

  • 保守時のバイパス防止が必要

35. ガードドアインターロックロック

安全ドアが閉じていることを確認し、危険な運動が停止するまでドアが開かないようにする。

35.1 主な機能

  • ドア閉状態の検出

  • ロックピンのかみ合い

  • ロック状態の検出

  • 危険運動終了の確認

  • 安全な解除

  • 非常脱出または手動解除

35.2 単純なドアスイッチとの違い

ドアスイッチはドアの位置を検出するだけであるが、ガードロック装置はドアが実際に開かないよう機械的にロックする。

35.3 主な用途

  • プレス

  • ロボットセル

  • 回転機械

  • レーザ装置

  • 高温設備

  • 惰性停止時間が長い機械

36. セルフロック性および逆駆動

36.1 セルフロック性

外力が作用しても、機構が解除方向へ自ら動かない特性である。

代表的なセルフロック機構は次のとおりである。

  • 小リードねじ

  • 小角度くさび

  • オーバーセンタトグル

  • 一部のウォームギヤ

36.2 逆駆動

出力側の荷重によって入力側が動かされる現象である。

ボールねじ、高効率歯車および一部のリンク機構は逆駆動される場合がある。

36.3 安全上の注意

摩擦によるセルフロック性は、次の要因によって変化する。

  • 潤滑

  • 温度

  • 振動

  • 衝撃

  • 摩耗

  • 表面処理

  • 汚染

危険な荷重には、ポジティブロック装置を追加する必要がある。

37. 保持力の計算

37.1 直線保持力

ロック装置が直線荷重 (F_L) を支持する場合、安全率 (S) を考慮した必要保持力は次のとおりである。

F_lock ≥ S × F_L

37.2 回転保持トルク

T_lock ≥ S × T_L

37.3 摩擦ロック

法線力を (N)、摩擦係数を (\mu) とすると、保持力は次のとおりである。

F_f = μN

回転式摩擦ロックでは、有効半径 (r_e) を使用して次のように近似できる。

T_f = μNr_e

摩擦面が複数ある場合には、接触面数を考慮する。

37.4 衝撃荷重

落下、急停止またはラチェットかみ合いでは、静的荷重を大きく上回る動的荷重が発生する可能性があるため、エネルギーに基づく解析が必要である。

38. 解除力

ロック装置は十分な保持能力を持ちながら、正常時には解除可能でなければならない。

解除力に影響する要素は次のとおりである。

  • ロック部に作用する荷重

  • 摩擦

  • オーバーセンタ移動量

  • くさび角

  • スプリング力

  • 部品変形

  • 腐食

  • 汚染

  • 温度

  • 組立公差

荷重がロックピンを直接押している構造では、ピンがせん断荷重を受けた状態で抜けない場合がある。

この場合は、先に荷重を除去するか、アンロード機構を設ける必要がある。

39. 予圧およびすきま

39.1 予圧

ロック部にあらかじめ荷重を与え、すきまおよび振動を低減する方法である。

39.2 長所

  • すきまの低減

  • 振動抑制

  • 騒音低減

  • 繰返し精度の向上

  • 衝撃低減

39.3 短所

  • 操作力の増加

  • 摩擦および摩耗の増加

  • 発熱

  • 部品変形

  • 解除力の増加

ポジティブロックにはすきまが存在する場合があるため、必要に応じてスプリングやくさびによる予圧を追加する。

40. ロック状態の検出

ロック装置は、実際のロック状態を制御システムへ伝達できる必要がある。

40.1 位置センサ

ピン、ラッチまたはレバーが最終位置へ到達したことを確認する。

40.2 近接センサ

金属製ロック部品の位置を非接触で検出する。

40.3 リミットスイッチ

ロック部へ直接接触して状態を検出する。

40.4 デュアルチャネルセンサ

安全機能では、二つの独立した信号によって故障を検出する。

40.5 力および圧力検出

油圧・空気圧ロックでは、圧力センサによって作動状態を確認できる。

40.6 注意事項

アクチュエータ位置が必ずしもロック完了を意味するとは限らない。

ピンと穴がずれていたり、異物が挟まっていたりしても、アクチュエータが前進する可能性がある。実際の挿入深さや相手部品の状態も確認することが望ましい。

41. ロックシーケンス

一般的なロック順序は次のとおりである。

可動部停止
→ 位置確認
→ 荷重安定化
→ ロック部整列
→ ロック作動
→ ロック完了確認
→ 駆動力除去または工程実行

一般的な解除順序は次のとおりである。

工程終了
→ 外部荷重除去
→ ロック部アンロード
→ ロック解除
→ 解除完了確認
→ 移動許可

ロック完了前に駆動力を除去したり工程を開始したりすると、ピンやラッチに衝撃が発生する可能性がある。

42. フェイルセーフロック

フェイルセーフロックは、電源、空気圧または油圧が失われた場合に、より安全な状態へ移行するか、安全状態を維持する。

42.1 代表的な方式

  • スプリングロック・電気解除

  • スプリングロック・空気圧解除

  • スプリングロック・油圧解除

  • 重力作動自動ロック

  • オーバーセンタ機械ロック

  • 電永磁石

  • 自動落下防止ポール

42.2 選定基準

  • 電源喪失時はロック状態と解除状態のどちらが安全か

  • 火災または非常避難時に手動開放が必要か

  • 垂直荷重が存在するか

  • ロック状態をどの程度長く維持する必要があるか

  • 蓄積エネルギーが存在するか

43. 非常解除

故障または停電時に、ロック装置を安全に解除できるようにする必要がある。

43.1 主な方式

  • 手動レバー

  • 手動ボルト

  • ケーブルリリース

  • 非常用キー

  • 油圧ハンドポンプ

  • 空気圧手動バルブ

  • ブレーキ手動解除

  • 補助電源

43.2 設計原則

  • 権限のない者が容易に操作できないようにする。

  • 保守担当者は工具またはキーによって操作できるようにする。

  • 解除時に荷重が急激に移動しないようにする。

  • 非常解除後に通常運転が自動再開しないようにする。

  • 解除状態を表示する。

44. 過負荷および誤ロック防止

44.1 過負荷の原因

  • 可動部が停止する前のロック

  • ピンと穴の芯ずれ

  • ロック状態での駆動

  • 過大な衝撃

  • 許容トルクの超過

  • ロック部の摩耗

  • 異物

44.2 保護方法

  • 機械式ストッパ

  • トルクリミッタ

  • せん断ピン

  • 力センサ

  • 位置インターロック

  • 速度インターロック

  • ロック完了センサ

  • モータトルク制限

  • 油圧リリーフバルブ

  • ソフトウェアシーケンス

44.3 誤ロック防止

誤った位置でロックピンが前進しないよう、次の方法を適用できる。

  • テーパ先端

  • ガイドブッシュ

  • 位置検出

  • キー形状

  • 非対称溝

  • 機械式インターロック

45. 材料選定

45.1 ロックピンおよびポール

  • 熱処理合金鋼

  • 浸炭鋼

  • 軸受鋼

  • 工具鋼

  • ステンレス鋼

45.2 ラッチおよびレバー

  • 炭素鋼

  • 合金鋼

  • 鋳鋼

  • ステンレス鋼

  • アルミニウム合金

45.3 摩擦部品

  • 摩擦材

  • 焼結材

  • 青銅

  • 強化ポリマー

  • 炭素系複合材

45.4 ブッシュおよびガイド

  • 青銅

  • 焼結金属

  • ポリマー複合ブッシュ

  • PTFE系材料

  • 硬化鋼

45.5 選定要素

  • せん断強度

  • 曲げ強度

  • 疲労強度

  • 衝撃靱性

  • 摩耗

  • 腐食

  • 洗浄性

  • 使用温度

  • 食品接触

  • コスト

46. 熱処理および表面処理

ロック部品は繰返し接触と衝撃を受けるため、表面硬さと内部靱性の両方が必要である。

代表的な処理は次のとおりである。

  • 浸炭

  • 窒化

  • 高周波焼入れ

  • 焼入れ・焼戻し

  • 硬質クロムめっき

  • 無電解ニッケルめっき

  • DLCコーティング

  • 黒染め

  • 研削

  • ラッピング

  • ショットピーニング

ピン、ポール、ラチェット歯およびテーパ面には高い耐摩耗性が必要であるが、過度に脆化させてはならない。

47. 摩擦および潤滑

47.1 主な潤滑箇所

  • ロックピンおよびブッシュ

  • ラッチ支点

  • ラチェットおよびポール

  • くさび面

  • テーパ面

  • ねじ山

  • ブレーキ作動部

47.2 潤滑の効果

  • 摩耗低減

  • 挿入力および解除力の低減

  • 腐食防止

  • 焼付き防止

  • 繰返し性向上

47.3 注意事項

摩擦式セルフロック部へ潤滑剤を適用すると、ロック力が低下したり、逆駆動が発生したりする場合がある。

ブレーキ摩擦面や摩擦ロック面への意図しない潤滑剤の付着を防止する必要がある。

48. 公差および芯合わせ

ロック装置は芯ずれや寸法公差に敏感な場合がある。

48.1 主な公差要素

  • ピンと穴のすきま

  • 軸とブッシュの同心度

  • ラッチとストライカの位置

  • 歯のピッチ誤差

  • テーパ角

  • 平行度

  • 直角度

  • 取付面位置

48.2 すきまが小さすぎる場合

  • 挿入不良

  • 熱膨張による焼付き

  • 汚染への感度増加

  • 組立困難

48.3 すきまが大きすぎる場合

  • バックラッシ

  • 衝撃

  • 位置誤差

  • 騒音

  • 疲労寿命低下

48.4 補正方法

  • テーパピン先端

  • フローティングマウント

  • 球面ワッシャ

  • ガイドブッシュ

  • スプリング補償

  • 調整式ストライカ

49. 熱膨張の影響

温度変化はロック部品のすきま、挿入力および保持能力を変化させる。

線膨張量は次のとおりである。

ΔL = αLΔT

ここで、

  • α:線膨張係数

  • L:基準長さ

  • ΔT:温度変化

高温装置および洗浄設備では、次の項目を検討する。

  • ピンと穴の差動膨張

  • 異種材料の使用

  • 熱変形

  • 潤滑剤粘度

  • スプリング力の変化

  • シール劣化

50. 振動および緩み

振動は、ねじ式、ラッチ式および摩擦式ロック装置の解除を引き起こす場合がある。

50.1 振動に弱い方式

  • 単純摩擦ナット

  • 止めねじ

  • 摩擦レバー

  • 予圧の小さいラッチ

  • すきまの大きいロックピン

50.2 対策

  • ポジティブロック

  • ダブルナット

  • セルフロックナット

  • 割りピン

  • ロックプレート

  • ねじロック剤

  • スプリング予圧

  • 状態検出

  • 定期的なトルク点検

51. 主な故障形態

51.1 ロックピンのせん断破壊

許容荷重を超えた場合や衝撃荷重が作用した場合に、ピンが破損する。

51.2 ピンおよび穴の摩耗

繰返し衝撃や微小運動によって、すきまが増加する。

51.3 ラッチの不完全なかみ合い

芯ずれ、汚染または調整不良によって、完全にかみ合わない。

51.4 ラチェット歯の破損

過大トルク、衝撃または疲労によって歯が損傷する。

51.5 くさびの焼付き

摩耗、腐食、汚染または過大荷重によって解除できなくなる。

51.6 ブレーキ保持能力の低下

摩擦材摩耗、油の付着またはスプリング疲労によって保持トルクが低下する。

51.7 ねじの緩み

振動、締付け力不足またはロック装置の損傷によって発生する。

51.8 センサの誤検出

センサ位置不良、配線不良または汚染によって、実際の状態と異なる信号が発生する。

52. 故障モードと影響

故障モード

主な影響

不完全なロック

運転中の解除または位置ずれ

解除不良

設備停止およびワーク回収不能

ピン破損

急激な荷重移動または落下

すきま増加

衝撃、騒音および位置精度低下

ブレーキ摩耗

垂直軸の下降または回転軸の移動

センサ故障

誤った運転許可信号

流体漏れ

ロック能力の低下

スプリング破損

フェイルセーフ機能の喪失

腐食および焼付き

ロックまたは解除不能

53. 保守および点検

53.1 日常点検

  • ロックおよび解除動作

  • 異常音

  • すきま

  • ピン挿入状態

  • ラッチかみ合い状態

  • センサ表示

  • 油漏れおよび空気漏れ

  • 腐食

  • 異物

  • 手動解除装置

53.2 定期点検

  • ピン径および摩耗量

  • 穴の変形

  • ブッシュすきま

  • ラチェット歯

  • ポールスプリング

  • ブレーキ摩擦材

  • ロックナット状態

  • 油圧・空気圧漏れ

  • センサ位置

  • 電気配線

53.3 交換部品

  • ピン

  • ブッシュ

  • ポール

  • スプリング

  • 摩擦パッド

  • ラッチフック

  • ストライカ

  • シール

  • センサ

  • ロックナット

53.4 状態基準保全

活用できるデータは次のとおりである。

  • ロック作動時間

  • 解除時間

  • 駆動電流

  • ソレノイド温度

  • ブレーキすきま

  • 保持力

  • 振動

  • 作動回数

  • センサ誤差

  • 流体圧力

54. 安全設計

54.1 主な危険

  • ロック解除による落下

  • 回転部の意図しない回転

  • ドア開放

  • 蓄積エネルギーの放出

  • ピン破損による部品飛散

  • ロック部での挟まれ

  • 非常解除時の荷重移動

  • ロック状態の誤認

54.2 安全設計原則

  • 危険な荷重にはポジティブロックを使用する。

  • 単一部品の故障によって危険状態が発生しないようにする。

  • ロック完了確認後にのみ運転を許可する。

  • 解除前に荷重を除去する。

  • 手動解除時には補助支持を使用する。

  • 摩擦セルフロックだけに依存しない。

  • ロック部品の強度および疲労寿命を検証する。

  • 保守作業中はエネルギー遮断手順を適用する。

55. 二重ロックおよび冗長設計

高リスク設備では、第二の独立したロック装置を追加できる。

代表的な組合せは次のとおりである。

  • ブレーキとロックピン

  • チェックバルブとロッドクランプ

  • セルフロックねじとセーフティナット

  • オーバーセンタリンクとセーフティピン

  • 油圧保持と機械式ストッパ

  • 電子ロックと手動ラッチ

二つのロック装置は、同一原因によって同時に故障しないよう、異なる作動原理を使用することが望ましい。

56. 食品機械のロック装置

食品機械では、ロック性能とともに、衛生性、洗浄性および耐食性を考慮する必要がある。

56.1 主な要求事項

  • 食品残渣が蓄積しにくい構造

  • 開放的で洗浄しやすい構造

  • 深い溝およびすきまの最小化

  • 露出ねじ部の最小化

  • 排水可能な表面

  • 耐食性材料

  • 食品用潤滑剤

  • 容易な分解および組立

  • 緩み部品の脱落防止

56.2 推奨方式

  • 抜け止め付きロックピン

  • サニタリラッチ

  • ステンレス製トグルラッチ

  • 工具なしで取外せるロック装置

  • センサ付きサニタリドアインターロック

56.3 注意事項

ボールロックピン、スプリングプランジャおよび複雑なラッチ内部には、洗浄液や食品残渣が残る場合がある。食品直接接触区域では、密閉構造または容易に分解できる構造を採用する必要がある。

57. 包装機械のロック装置

包装機械では、高速な繰返し作動と頻繁な品種交換を考慮する必要がある。

主な用途は次のとおりである。

  • ガイド位置固定

  • シールジョーロック

  • カバーインターロック

  • 交換部品のクイックリリース

  • フィルムロール軸ロック

  • 高さ調整部ロック

  • 保守用セーフティピン

主な要求事項は次のとおりである。

  • 迅速な操作

  • 繰返し位置精度

  • ロック状態の目視確認

  • 工具なしでの交換

  • 振動による緩み防止

  • 部品脱落防止

58. 工作機械のロック装置

工作機械では、高い剛性、繰返し精度および切削振動への耐性が重要である。

主な用途は次のとおりである。

  • 工具クランプ

  • パレットロック

  • 回転テーブル用インデックスピン

  • 軸ブレーキ

  • 主軸工具ロック

  • ガイドロック

  • 調整ねじ用ロックナット

工作機械では、ロック後のすきまおよび弾性変形が加工精度に直接影響するため、保持能力だけでなく剛性も検討する必要がある。

59. 昇降装置のロック

垂直軸および昇降装置では、ロック装置の故障が荷重落下につながる可能性があるため、最も厳格な検討が必要である。

代表的な構成は次のとおりである。

駆動モータ
→ 減速機
→ 昇降ねじまたはチェーン
→ 保持ブレーキ
→ 機械式落下防止装置

主な検討事項:

  • 静的保持荷重

  • 非常停止エネルギー

  • 停電時の作動

  • 二重ロック

  • 手動解除

  • 過速度検出

  • 構造強度

  • 繰返し試験

60. ロボットおよび自動化設備のロック

ロボットおよび自動化設備では、保守、工具交換、位置保持および非常時にロック装置が使用される。

主な用途は次のとおりである。

  • ロボット関節ブレーキ

  • グリッパ工具ロック

  • ツールチェンジャ用ロックピン

  • 直線軸ロッドクランプ

  • パレットロック

  • 安全ドアインターロック

  • 保守用軸固定ピン

主な要求事項は次のとおりである。

  • 高速な状態検出

  • 制御システムとのインターロック

  • 停電時の安全状態

  • 小さなバックラッシ

  • 高い繰返し精度

  • 手動復旧能力

61. 適用事例

61.1 回転インデックステーブル

テーブル回転
→ 目標角度へ到達
→ 駆動停止
→ テーパロックピン挿入
→ ロック完了確認
→ 加工実行

主な検討事項:

  • ピンせん断

  • 位置繰返し精度

  • テーパ接触

  • 挿入衝撃

  • 切りくずの侵入

  • ロック完了センサ

61.2 垂直スライド

目標位置へ到達
→ モータ停止
→ スプリングブレーキ締結
→ ロッドクランプ作動
→ 位置保持

主な検討事項:

  • 荷重

  • 落下防止

  • 二重ロック

  • 解除順序

  • 非常停止

  • 手動復旧

61.3 安全ドア

ドア閉鎖
→ ラッチかみ合い
→ ロックピン挿入
→ ロック状態検出
→ 機械運転許可

主な検討事項:

  • 不完全なかみ合い

  • 停電時の状態

  • 非常脱出

  • 不正操作防止

  • センサ冗長化

61.4 パレットロック装置

パレット投入
→ 位置決め
→ プルスタッドかみ合い
→ くさびまたはボールでロック
→ ロック力確認
→ 加工

主な検討事項:

  • 位置繰返し精度

  • 引張力

  • 剛性

  • 切りくずおよび切削液

  • 解除性

  • ロック力検出

61.5 折り畳み構造

構造物展開
→ リンク整列
→ オーバーセンタ位置へ移動
→ 補助ロックピン挿入
→ 使用

主な検討事項:

  • リンク座屈

  • オーバーセンタ移動量

  • ピンせん断

  • 作業者の誤操作

  • 折り畳み防止

  • 状態表示

62. 解析および設計ツール

62.1 CADモーション解析

  • ロック部の整列

  • ピン挿入軌跡

  • ラッチ回転範囲

  • 干渉

  • オーバーセンタ位置

  • 解除スペース

  • 手動操作のアクセス性

62.2 構造解析

  • ピンせん断および曲げ

  • ラチェット歯応力

  • ポール曲げ

  • ラッチフック応力

  • ブレーキハブ応力

  • ロックフレーム変形

  • 接触応力

62.3 動力学解析

  • かみ合い衝撃

  • 非常停止荷重

  • 落下エネルギー

  • ラチェット衝撃

  • ブレーキ吸収エネルギー

  • 振動による緩み

62.4 流体回路解析

  • チェックバルブ漏れ

  • カウンタバランス圧力

  • ロック解除時間

  • シリンダ移動

  • ホース破損

  • 非常圧力

62.5 制御シミュレーション

  • ロック順序

  • 解除順序

  • センサ故障

  • 信号遅延

  • 電源喪失

  • 圧力喪失

  • インターロックロジック

63. ロック装置の選定手順

63.1 ロック対象の定義

  • 直線可動部

  • 回転軸

  • ドア

  • カバー

  • 工具

  • 金型

  • 調整ねじ

  • 昇降装置

63.2 荷重条件の定義

  • 直線荷重

  • トルク

  • 衝撃

  • 振動

  • 重力

  • 慣性力

  • 作動回数

  • 非常停止荷重

63.3 必要なロック方式の決定

  • 所定位置でのポジティブロック

  • 任意位置での摩擦ロック

  • 自動ロック

  • 手動ロック

  • フェイルセーフロック

  • 二重ロック

63.4 作動方式の選定

  • 手動

  • スプリング

  • 空気圧

  • 油圧

  • ソレノイド

  • モータ

  • 重力

63.5 保持能力および強度の確認

  • ピンせん断

  • 歯の曲げ

  • ラッチ引張

  • 摩擦保持力

  • ブレーキトルク

  • フレーム変形

  • 安全率

63.6 芯合わせおよび公差の確認

  • 挿入すきま

  • 位置誤差

  • 熱膨張

  • 摩耗

  • 汚染

  • フローティング構造

63.7 解除性の確認

  • 通常解除力

  • 荷重状態での解除

  • アンロード方法

  • 非常解除

  • 停電時の解除

  • 手動復旧

63.8 状態検出の確認

  • ロック完了

  • 解除完了

  • 不完全なかみ合い

  • 圧力

  • 位置

  • 力

  • センサ冗長化

63.9 環境条件の確認

  • 温度

  • 振動

  • 粉じん

  • 切削液

  • 水分

  • 洗浄

  • 腐食

  • 食品接触

  • 真空

  • クリーンルーム

63.10 試験および検証

  • 静的保持力試験

  • 繰返し寿命試験

  • 衝撃試験

  • 振動試験

  • 電源喪失試験

  • 圧力喪失試験

  • 非常解除試験

  • 腐食試験

  • 汚染試験

  • センサ故障試験

64. 結論

ロック装置は、機械部品、可動部、回転部材、ドア、工具または金型を所定の位置および結合状態に保持し、外力や振動による意図しない移動、回転、分離および解除を防止する装置である。

ロックとクランプは区別する必要がある。クランプは対象物を基準面へ押し付けて工程荷重に抵抗する機能であり、ロックは設定された状態が解除されないよう運動を遮断する機能である。

ロックピン、ラッチ、ラチェットおよびドッグクラッチは、形状結合によって確実なポジティブロックを提供する。ねじロック装置は、ナットおよび調整ねじの緩みを防止する。くさび、テーパ、コレットおよび軸ロック装置は、摩擦と圧着力を利用する。

ブレーキ式ロック装置は、軸または可動部を任意位置で保持できる。チェックバルブおよびロッドロックシリンダは、油圧・空気圧アクチュエータの位置維持に使用される。ソレノイド式および電子式ロック装置は、自動化および状態検出に適している。

ロック装置は、保持力だけで評価してはならない。芯合わせ、すきま、摩耗、衝撃、振動、解除力、電源喪失、圧力喪失、非常解除および状態検出を総合的に検討する必要がある。

特に、人の安全や垂直荷重に関係する設備では、摩擦や流体圧力だけに依存せず、ロックピンやラチェットなどの確実なポジティブロック装置を使用することが重要である。

ロック装置は、次の順序で設計および選定することが適切である。

ロック対象および運動方向の定義
→ 通常荷重、衝撃および振動条件の分析
→ ポジティブロックまたは摩擦ロック方式の選定
→ 作動方式および解除方式の選定
→ 保持能力および構造強度の計算
→ 芯合わせ、公差および熱膨張の確認
→ ロックおよび解除シーケンスの設計
→ フェイルセーフおよび二重ロックの確認
→ 状態検出およびインターロックの構成
→ 非常解除および保守手順の設計
→ 環境、衛生および耐食性の確認
→ 繰返し寿命、衝撃および電源喪失試験

適切に設計されたロック装置は、機械の位置精度、運転安定性、保守性および作業者安全を確保するための重要な機械構成要素である。