1. 概要
クランプ機構とは、ワーク、製品、工具、金型または機械部品を基準面や位置決め要素へ押し付け、工程中に発生する外力に対して位置および姿勢を維持する機構である。
クランプは、単に部品を大きな力で押さえることではない。適切に設計されたクランプ機構には、次の機能が求められる。
ワークを基準面へ安定して密着させる
切削力、組立力、成形力および慣性力に抵抗する
繰返し工程で同じ位置を再現する
ワークの浮き上がりやすべりを防止する
ワークの変形を最小限に抑える
迅速なクランプおよび解除を可能にする
クランプ状態を維持する
作業者および設備の安全を確保する
自動化システムと連携する
代表的な用途は次のとおりである。
加工用ジグおよび治具
溶接治具
組立装置
検査装置
プレス
包装機械
食品加工機械
金型交換装置
工作機械の工具保持装置
ロボットグリッパ
パレットクランプ
ドアおよびカバーのロック
真空搬送装置
半導体およびディスプレイ製造装置
クランプ機構を設計する際には、最大クランプ力だけでなく、次の項目を総合的に検討する必要がある。
位置決め方式
クランプ方向
必要クランプ力
ワーク剛性
ワーク変形
工程荷重
摩擦係数
クランプストローク
アクセス空間
作動速度
繰返し精度
ロック機能
解除性
過負荷
センサおよびインターロック
使用環境
保守性
安全性
2. クランプの基本概念
2.1 クランプ
クランプとは、外力を加えてワークを基準面へ押し付け、許容されていない並進運動や回転運動を防止する機能である。
クランプ力は一般に、次の方向へ作用させる。
基準面に向かう方向
位置決めピンに向かう方向
ワークの安定した支持領域内
工程荷重と反対の方向
ワーク変形を最小化できる方向
2.2 保持力
保持力とは、クランプされたワークが外力によって移動しないように抵抗する力である。
保持力は次の要素によって得られる。
クランプの直接反力
接触面の摩擦力
形状によるかみ合い
位置決めピンおよびストッパの反力
真空圧
磁力
ばね力
油圧または空気圧
2.3 クランプ状態
クランプサイクルは一般に次の状態に区分できる。
完全解除
接近
ワーク接触
予備クランプ
最終クランプ
ロック
工程中の保持
圧力解除
後退
2.4 クランプの目的
主な目的は次のとおりである。
位置の保持
姿勢の保持
すべり防止
浮き上がり防止
回転防止
振動抑制
工程精度の確保
製品落下防止
シール圧力の付与
3. 位置決めとクランプの違い
3.1 位置決め
位置決めとは、ワークの位置および姿勢を幾何学的に決定する機能である。
代表的な位置決め要素は次のとおりである。
基準面
位置決めピン
ダイヤモンドピン
Vブロック
ストッパ
センタ
ネスト
3-2-1ロケータ
3.2 クランプ
クランプは、ワークを位置決め要素へ押し付け、その状態を維持する。
3.3 基本設計原則
位置はロケータが決定し、
クランプはワークをロケータへ密着させる。
クランプ自体でワークの位置を決定すると、次の問題が発生する可能性がある。
摩擦による位置ばらつき
クランプ力変化による位置ずれ
ワーク変形
繰返し精度の低下
過拘束
ワークの浮き上がり
組立公差に対する感度増加
3.4 クランプとロケータの機能分離
クランプは可能な限りワークを基準面方向へ押し付け、工程荷重は位置決めピンまたはストッパが直接受けるように設計することが望ましい。
工程荷重のすべてをクランプによる摩擦だけで支持すると、非常に大きなクランプ力が必要になる場合がある。
4. クランプ機構の基本分類
4.1 駆動源による分類
手動クランプ
ばねクランプ
空気圧クランプ
油圧クランプ
電動クランプ
サーボクランプ
真空クランプ
磁気クランプ
4.2 機構形式による分類
ねじクランプ
レバークランプ
トグルクランプ
カムクランプ
偏心クランプ
くさびクランプ
リンククランプ
スイングクランプ
プルクランプ
プッシュクランプ
コレットクランプ
拡張マンドレル
4.3 クランプ方向による分類
下向きクランプ
側面クランプ
上向きクランプ
引張クランプ
内径拡張クランプ
外径圧縮クランプ
軸方向クランプ
半径方向クランプ
4.4 ワークとの接触方式による分類
点接触
線接触
面接触
形状適合接触
摩擦把持
真空吸着
磁気吸着
弾性パッド接触
4.5 機能による分類
固定用クランプ
位置保持用クランプ
センタリングクランプ
シール用クランプ
工具クランプ
金型クランプ
製品把持用グリッパ
安全ロック用クランプ
5. クランプ方向
5.1 基準面方向へのクランプ
クランプ力は、可能な限りワークを主基準面へ押し付ける方向に作用させる。
これにより、ワークの浮き上がりを防止し、繰返し精度を向上できる。
5.2 側面クランプ
ワークを側面基準面または位置決めピンへ押し付ける方式である。
側面クランプ力が大きすぎると、ワークが主基準面から浮き上がる可能性があるため、下向き成分を併せて付与することが望ましい。
5.3 傾斜方向クランプ
下向き力と側面力を同時に発生させ、ワークを二つの基準面へ密着させる。
代表的な方式は次のとおりである。
くさびクランプ
カムクランプ
傾斜パッド
リンククランプ
フッククランプ
5.4 中心方向クランプ
複数のジョーが中心へ向かって対称に移動し、ワークをセンタリングしながら固定する。
5.5 クランプ方向の選定原則
ワークを基準面から浮き上がらせない。
工程荷重と反対方向へ作用させる。
ワークの弱い方向に過大な力を加えない。
支持点で囲まれた領域内に力を作用させる。
偏心モーメントを最小化する。
6. クランプ力計算の基本原理
クランプ力は、工程中にワークが動かないよう十分に大きくする必要があるが、ワークを変形させるほど過大であってはならない。
必要クランプ力の算定では、次の荷重を考慮する。
切削力
成形力
組立力
慣性力
重力
衝撃力
振動
転倒モーメント
遠心力
圧力差
7. 摩擦を利用したすべり防止
ワークに水平工程荷重 (F_p) が作用し、クランプ接触面の摩擦係数を (\mu) とすると、必要な垂直クランプ力は次のように近似できる。
F_clamp ≥ F_p / μ
安全率 (S) を適用すると、
F_clamp ≥ S × F_p / μ
例えば、工程荷重が500 N、摩擦係数が0.2、安全率が2の場合、
F_clamp ≥ 2 × 500 / 0.2
F_clamp ≥ 5,000 N
摩擦係数が小さいほど、必要クランプ力は大きくなる。
8. 形状拘束とクランプ力
工程荷重をストッパや位置決めピンが直接支持する構造とすれば、クランプはワークを基準面へ密着させる役割だけを担えばよい。
この方式の長所は次のとおりである。
必要クランプ力の低減
ワーク変形の低減
すべりリスクの低減
繰返し精度の向上
クランプの小型化
エネルギー消費の低減
可能であれば、工程荷重を摩擦だけで支持せず、形状拘束要素で直接受けることが望ましい。
9. 転倒モーメントに対するクランプ
工程荷重 (F) が基準面から高さ (h) の位置に作用すると、次の転倒モーメントが発生する。
M = F × h
クランプと支持点の有効距離を (L) とすると、モーメントに抵抗するための力は次のように近似できる。
F_resist = M / L
クランプ間隔および支持点間隔を広くすると、必要クランプ力を低減できる。
10. 慣性力および遠心力
10.1 直線運動の慣性力
移動中のワークには次の慣性力が作用する。
F_inertia = ma
ここで、
m:ワーク質量
a:加速度
ロボットグリッパや高速搬送装置では、静的な重量だけでなく、加速および減速による慣性力を含める必要がある。
10.2 回転運動の遠心力
回転するワークには次の遠心力が作用する。
F_c = mrω²
ここで、
r:回転中心から重心までの距離
ω:角速度
旋盤チャック、回転治具および遠心搬送装置では、遠心力による実効把持力の低下を検討する必要がある。
11. 安全率
クランプ力の計算では、次の不確定要因を考慮した安全率を適用する。
摩擦係数の変化
供給圧力の変動
ワーク寸法のばらつき
パッド摩耗
振動
衝撃
潤滑油または水分
ワーク表面状態
組立誤差
センサ誤差
必要な安全率は用途によって異なる。製品落下や作業者への危険がある場合は、より大きな値を適用する。
ただし、安全率を過大にすると、ワーク変形や装置の大型化を招く可能性がある。
12. ワーク変形
12.1 過大なクランプによる問題
クランプ力が大きすぎると、次の問題が発生する。
薄板の曲げ
円筒部品の楕円化
樹脂部品の押し潰れ
表面圧痕
寸法誤差
加工後の弾性復元
接着層の損傷
シールまたはガスケットの過圧縮
製品の亀裂
12.2 変形低減方法
クランプ数を増やす。
接触面積を広げる。
弾性パッドを使用する。
クランプを支持点の近くへ配置する。
力を対称に配置する。
力制御を適用する。
多段クランプを使用する。
ワーク内部に補助支持を設ける。
真空または磁気クランプを検討する。
12.3 平均接触圧力
クランプパッド下の平均接触圧力は次のとおりである。
p = F / A
ここで、
F:クランプ力
A:接触面積
実際の局部接触応力は、エッジや表面形状によって平均値より高くなる場合がある。
13. クランプ剛性および変形
13.1 システム剛性
クランプシステムの剛性は次のとおりである。
k = F / δ
ここで、
k:剛性
F:クランプ力
δ:全変位
13.2 主な変形要因
クランプアームの曲げ
リンクの圧縮および引張
ピンの曲げ
ブッシュ変形
フレーム変形
パッド圧縮
ワーク変形
シリンダ変形
ホースおよび配管の弾性
ねじ変形
13.3 剛性向上方法
クランプアームを短くする。
断面係数を大きくする。
荷重経路を短く直接的にする。
フレームを補強する。
すきまを小さくする。
クランプを基準面の近くへ配置する。
リンクを主として引張・圧縮荷重で使用する。
高剛性の軸受およびブッシュを採用する。
14. 手動クランプ
手動クランプは、作業者がハンドル、レバー、ねじまたはハンドホイールを操作してワークを固定する方式である。
代表的な形式は次のとおりである。
ねじクランプ
トグルクランプ
レバークランプ
カムクランプ
偏心クランプ
ラッチクランプ
クイックアクションクランプ
14.1 長所
構造が単純
外部動力源が不要
製作コストが低い
故障時の対応が容易
少量生産や作業治具に適している
14.2 短所
作業者によってクランプ力が変化する。
自動化が難しい。
繰返し作業で疲労が生じる。
サイクルタイムが長くなる場合がある。
締め過ぎが発生する可能性がある。
15. ねじクランプ
15.1 定義
入力トルクをねじの軸力へ変換し、ワークを固定するクランプである。
15.2 基本出力力
ねじリードを (L)、入力トルクを (T)、効率を (\eta) とすると、軸力は次のように近似できる。
F ≈ 2πηT / L
15.3 長所
大きなクランプ力
微細な力調整
単純な構造
セルフロックが可能
標準部品が豊富
15.4 短所
作動速度が遅い
ねじ山が摩耗する
高速な繰返し作業には不向き
作業者による力のばらつき
ねじ山の汚染に敏感
15.5 主な用途
バイス
加工治具
プレス
工具保持
手動組立装置
調整式ストッパ
16. クイックアクションねじクランプ
クイックアクションねじクランプは、長い接近距離を高速で移動し、最終区間だけねじを使用して大きなクランプ力を発生させる。
代表的な方式は次のとおりである。
分割ナット
ハーフナット
スライドナット
カム解除ナット
ラチェットハンドル
差動ねじ
スライドスピンドル
主な長所は、ねじクランプの高い保持力を維持しながら、作業時間を短縮できることである。
17. トグルクランプ
17.1 定義
トグルリンクがデッドセンタへ接近するときに大きな力を発生し、オーバーセンタ位置で機械的にロックするクランプである。
17.2 主な種類
垂直ハンドル形トグルクランプ
水平ハンドル形トグルクランプ
プッシュプル形トグルクランプ
ラッチ形トグルクランプ
空気圧トグルクランプ
油圧トグルクランプ
17.3 長所
迅速なクランプおよび解除
大きな最終クランプ力
オーバーセンタロック
良好な繰返し性
手動および自動化の両方に適用可能
17.4 短所
リンクおよびピンの内部荷重が大きい
力が最終位置に大きく依存する
正確な調整が必要
挟まれの危険
リンクおよびブッシュの摩耗
17.5 設計検討事項
トグル角
オーバーセンタ移動量
ストッパ位置
クランプパッド高さ
解除力
ピンおよびブッシュ荷重
リンク座屈
ワーク厚さのばらつき
18. レバークランプ
レバークランプは、入力腕と出力腕の長さの比を利用してワークを押さえる方式である。
18.1 長所
単純な構造
高速作動
力の方向を変更可能
比較的大きなクランプ力
製作および保守が容易
18.2 短所
大きな増幅比には長いレバーが必要
設置空間が必要
回転軌跡が周辺部品と干渉する可能性
作動角度によって出力力が変化する
19. カムクランプ
19.1 定義
回転するカムの半径またはプロファイル変化によって、クランプ部材を移動させる方式である。
19.2 主な種類
円板カムクランプ
スパイラルカムクランプ
くさびカムクランプ
フェースカムクランプ
カムレバークランプ
19.3 長所
迅速なクランプおよび解除
小さな回転角で作動
コンパクトな構造
繰返し作業に適している
19.4 短所
ワーク厚さ変化への対応範囲が小さい
カム面の摩耗
高い接触応力
ロック条件の確認が必要
回転角によって力が変化する
20. 偏心クランプ
20.1 定義
回転軸中心と円形接触部中心の偏心を利用し、小さな回転によってクランプ変位を発生させる方式である。
20.2 ストローク
偏心量を (e) とすると、全理論ストロークは概ね次のとおりである。
S ≈ 2e
20.3 長所
構造が単純
高速作動
小さな回転角
製作コストが低い
レバーと組み合わせやすい
20.4 短所
有効ストロークが短い
厚さばらつきへの対応が限定的
摩耗に敏感
高い接触応力
セルフロック性の確認が必要
21. くさびクランプ
くさびクランプは、傾斜面を移動させ、入力方向とは異なる方向にクランプ力を発生させる方式である。
21.1 特徴
大きなクランプ力
下向き力と側面力を同時に発生可能
低い設置高さ
複数クランプの同時駆動が可能
セルフロックが可能な場合がある
21.2 短所
すべり摩擦
くさび面の摩耗
潤滑状態による力の変化
焼付きの可能性
大きな解除力が必要になる場合がある
21.3 主な用途
側面クランプ
金型クランプ
パレットクランプ
センタリング装置
拡張マンドレル
工具ロック
22. ラッチクランプ
ラッチクランプは、離れている二つの部品を互いに引き寄せて密着させる方式である。
代表的な用途は次のとおりである。
ドア
カバー
ケース
金型
フィルタハウジング
搬送用コンテナ
ラッチ形トグルを使用すると、迅速な締結とオーバーセンタロックを実現できる。
23. ばねクランプ
23.1 定義
ばねに蓄積された弾性エネルギーを利用して、継続的にクランプ力を与える方式である。
23.2 特徴
外部エネルギーがなくても力を維持できる
寸法ばらつきを吸収できる
構造が単純
振動や小変位に追従できる
フェイルセーフ設計が可能
23.3 主な種類
圧縮コイルばね
引張ばね
皿ばね
ねじりばね
ガススプリング
エラストマばね
23.4 主な用途
工具クランプ
ブレーキ
製品ホルダ
安全ラッチ
ばねクランプ・空気圧解除装置
24. 空気圧クランプ
24.1 定義
圧縮空気の圧力をシリンダまたはアクチュエータの力へ変換し、ワークを固定する方式である。
24.2 シリンダ出力力
前進力は次のとおりである。
F_extend = P × A_p × η
後退力は次のとおりである。
F_retract = P × (A_p − A_r) × η
ここで、
P:供給圧力
A_p:ピストン面積
A_r:ロッド断面積
η:機械効率
24.3 長所
高速作動
自動化が容易
構造が単純
比較的清浄
標準部品が豊富
速度調整が容易
24.4 短所
空気の圧縮性により剛性が低い
供給圧力によって力が変化する
空気漏れの可能性
圧力低下時に解除される可能性
非常に大きな力には非効率な場合がある
24.5 主な用途
組立治具
溶接治具
包装機械
製品ストッパ
自動ドア
ロボットグリッパ
軽荷重プレス
25. 空気圧低下への対策
空気圧が失われると、ワークや製品が解放される可能性があるため、次の対策を検討する。
ばねクランプ・空気圧解除
オーバーセンタトグル
機械式ロックピン
パイロットチェックバルブ
圧力スイッチ
アキュムレータ
非常支持装置
落下防止装置
製品落下が危険となる用途では、空気圧だけに依存してはならない。
26. 油圧クランプ
26.1 定義
油圧を利用して、大きなクランプ力と高い保持剛性を得る方式である。
26.2 基本出力力
F = P × A × η
油圧システムは空気圧より高い圧力で作動するため、小型シリンダでも大きな力を発生できる。
26.3 長所
非常に大きなクランプ力
高い剛性
安定した力の維持
多点同時駆動
圧力による力管理
小型アクチュエータを使用可能
26.4 短所
油漏れの危険
システムが複雑
ポンプおよびバルブが必要
温度および粘度の影響
保守費用が高い
清浄環境および食品環境では注意が必要
26.5 主な用途
工作機械用治具
金型ロック
パレットクランプ
プレス
重量ワークの固定
自動車組立設備
27. スイングクランプ
27.1 定義
クランプアームを上昇・旋回させてワーク上方へ移動し、その後下降させてクランプ力を加える機構である。
27.2 作動順序
上昇
→ 旋回
→ ワーク上方へ移動
→ 下降
→ クランプ
解除時は逆の順序で作動する。
27.3 長所
ワーク投入および取出し空間を確保できる
自動投入に適している
治具上方の干渉を低減できる
低い治具高さを実現できる
27.4 短所
内部カム構造が複雑
側面荷重に敏感
旋回軌跡の干渉確認が必要
切りくずや異物への対策が必要
28. リンククランプ
リンククランプは、シリンダの直線運動をリンクによって回転運動または下向きクランプ運動へ変換する。
28.1 長所
大きな開放空間
柔軟な出力軌跡
低い設置高さ
自動化に適している
クランプ力方向を調整可能
28.2 設計検討事項
リンク角
ピン荷重
リンク座屈
クランプアームのたわみ
デッドセンタへの接近
解除軌跡
干渉
29. プルクランプ
プルクランプは、ロッドまたはフックによってワークを下方へ引き、基準面へ密着させる方式である。
29.1 長所
突出高さが低い
ワーク上方の空間を確保できる
強い下向き保持力
パレットおよび金型クランプに適している
29.2 主な用途
パレットクランプ
プルスタッドシステム
金型クランプ
工作機械テーブル
交換式治具
30. 電動クランプ
30.1 定義
電動モータ、減速機およびねじ機構を利用してクランプ力を発生する方式である。
30.2 基本構成
モータ
→ 減速機
→ ボールねじ・ローラねじ・台形ねじ
→ クランプスライダ
→ ワーク
30.3 長所
空気圧・油圧配管が不要
位置および速度を制御可能
製品条件の変更が容易
クランプデータを取得可能
必要な区間だけエネルギーを使用可能
30.4 短所
初期費用が高い
制御システムが必要
モータおよび減速機の発熱
過負荷保護が必要
停電時の保持対策が必要
ねじおよび減速機の摩耗
31. サーボクランプ
31.1 定義
サーボモータを使用し、位置、速度、トルクおよびクランプ力を高精度に制御するクランプである。
31.2 制御方式
位置制御
速度制御
トルク制御
力制御
位置・力複合制御
多段クランプ
31.3 長所
クランプ力の高精度制御
製品別レシピへの対応
力–変位データの記録
工程品質の判定
ソフトな接触
ワーク変形の低減
31.4 主な用途
バッテリ組立
電子部品組立
精密圧入
検査装置
電動バイス
サーボグリッパ
医療機器組立
32. クランプ力制御
32.1 位置制御
クランプを所定位置まで移動させ、ワークを固定する。
ワーク寸法が一定の場合に適しているが、寸法ばらつきが大きいとクランプ力も大きく変化する。
32.2 圧力制御
空気圧または油圧を調整してクランプ力を制御する。
32.3 トルク制御
モータトルクをクランプ力の間接的な指標として使用する。
32.4 直接力制御
ロードセルまたは力センサで実際のクランプ力を測定し、閉ループ制御する。
32.5 位置・力複合制御
接近時には位置制御を使用し、接触後に力制御へ切り替える。
33. 真空クランプ
33.1 定義
大気圧と吸着パッドまたは真空テーブル内部との圧力差を利用して、ワークを固定する方式である。
33.2 理論吸着力
F = ΔP × A
ここで、
ΔP:大気圧と真空領域の圧力差
A:有効吸着面積
33.3 実際の設計要素
漏れ
表面粗さ
ワーク平面度
パッド変形
多孔性
真空度
加速度
安全率
吸着方向
33.4 長所
ワーク損傷が少ない
薄板の固定に適している
ワーク上方の干渉が少ない
高速作動
多様な製品形状に対応可能
包装材および食品の把持に適している
33.5 短所
多孔質材料には不向き
表面汚染や漏れに敏感
真空低下時に製品が落下する可能性
大きな側面荷重に弱い
真空ポンプまたはエジェクタが必要
34. 真空テーブル
真空テーブルは、大型ワークを平面上に吸着固定する方式である。
34.1 主な構成
真空ポート
真空流路
シールまたはガスケット
分割吸着領域
フィルタ
真空センサ
真空ポンプ
34.2 主な用途
板金
木材パネル
複合材パネル
ガラス
ウェハ
フィルム
印刷物
包装材
34.3 設計検討事項
未使用領域の遮断
漏れ量
加工時に形成される貫通穴
加工力
分割真空制御
ワークおよびテーブルの平面度
35. 磁気クランプ
35.1 定義
磁力を利用して強磁性体ワークを固定する方式である。
35.2 主な種類
永久磁石クランプ
電磁石クランプ
電永磁クランプ
磁気チャック
35.3 長所
広い面積で均一に保持できる
ワーク上面へのアクセス性が良い
高速クランプ
機械式クランプによる干渉を低減
良好な繰返し性
35.4 短所
非磁性材料には使用できない
残留磁気
金属切りくずの付着
薄いワークが変形する可能性
電磁石は停電時に解除される危険がある
35.5 電永磁クランプ
電気は磁化状態を切り替えるときだけ使用し、その後は無通電で保持力を維持する。
停電時にも保持が必要な金型やパレットクランプに適している。
36. コレットクランプ
36.1 定義
スリットを設けた弾性コレットをテーパ面に沿って押す、または引くことで、工具や円筒ワークを円周方向から均等に把持する方式である。
36.2 長所
高い同心精度
均一な円周クランプ
高速作動
高い繰返し精度
小型円筒部品や工具に適している
36.3 短所
許容直径範囲が限定される
サイズごとにコレット交換が必要
スリットおよびテーパ面の汚染に敏感
過大な力によってワークが変形する可能性
36.4 主な用途
工作機械用工具ホルダ
旋盤
研削盤
小型部品の組立
精密測定装置
37. 拡張マンドレル
37.1 定義
ワーク内径へマンドレルを挿入し、外径を拡張して内側からワークを固定する方式である。
37.2 主な種類
テーパマンドレル
スリット形拡張マンドレル
くさび拡張形
油圧拡張形
空気圧拡張形
弾性スリーブ形
37.3 長所
外周加工面と干渉しない
良好な同心精度
均一な円周保持
高い繰返し精度
薄肉円筒部品の加工に適している
37.4 短所
内径公差に敏感
薄いリングが変形する可能性
過大な拡張でワークを損傷する可能性
高精度な製作が必要
38. センタリングクランプ
38.1 定義
二つ以上のクランプジョーが共通中心に対して対称に移動し、ワークを自動的にセンタリングしながら固定する機構である。
38.2 駆動方式
左右ねじ
ラック・アンド・ピニオン
対称くさび
リンク機構
カム
同期ベルト
油圧同期回路
38.3 長所
自動センタリング
製品サイズの変化に対応
中心位置の繰返し性
ロボットグリッパに適している
段取り時間の短縮
38.4 短所
駆動部のバックラッシが中心誤差となる
ジョー間の摩擦差によって偏心する可能性
高精度な組立が必要
対称荷重を維持する必要がある
39. 平行グリッパ
39.1 定義
二本のフィンガが互いに平行な状態を維持しながら接近または後退して製品を把持する機構である。
39.2 主な構造
ラック・アンド・ピニオン
くさびとローラ
リンク機構
左右ねじ
カムスロット
空気圧ピストン
電動アクチュエータ
39.3 把持方式
外径把持
内径把持
摩擦把持
形状適合把持
弾性パッド把持
39.4 設計検討事項
フィンガ長さ
把持点位置
モーメント荷重
把持力
製品変形
加速度
センサ
非常時の製品保持
40. 角形グリッパ
角形グリッパは、フィンガを回転させながら開閉する構造である。
40.1 長所
大きな開口幅
単純な構造
高速作動
狭い設置空間に適用可能
40.2 短所
フィンガ先端の軌跡が円弧となる
製品サイズによって接触角が変化する
把持力方向が変化する
高精度なセンタリングには限界がある
41. ソフトグリッパおよび適応形グリッパ
41.1 ソフトグリッパ
弾性材料または柔軟構造を利用し、製品形状に追従して変形しながら把持する。
41.2 適応形グリッパ
複数の関節または差動機構を利用し、さまざまな形状へ自動的に適応する。
41.3 長所
製品損傷の低減
形状ばらつきへの対応
多様な製品を把持可能
壊れやすい製品に適している
41.4 短所
位置決め精度が低い場合がある
把持力の予測が難しい
洗浄および衛生管理が難しい場合がある
繰返し寿命の評価が必要
42. 多点クランプ
複数のクランプを使用すると、大型ワークや柔軟なワークを安定して固定できる。
42.1 長所
荷重分散
ワーク変形の低減
広い面積での安定した固定
振動抑制
転倒モーメントへの抵抗
42.2 注意事項
クランプ順序
力の分担
高さばらつき
過拘束
ワークの浮き上がり
フレーム変形
クランプ同期性
42.3 均等化方式
ばね補償
油圧並列回路
イコライザリンク
フローティングパッド
球面座
個別力制御
43. クランプ順序
43.1 基本順序
ワーク投入
→ 位置決め面への接触
→ 位置確認
→ 予備クランプ
→ 最終クランプ
→ クランプ状態確認
→ 工程実行
→ 力の解除
→ クランプ後退
→ ワーク取出し
43.2 順序が重要な理由
不適切なクランプ順序は、次の問題を引き起こす。
ワークの浮き上がり
位置決め誤差
ねじれ
過拘束
局部変形
クランプ間の荷重不均衡
43.3 推奨順序
最初に主基準面へ密着させる。
次に副基準面へ密着させる。
回転防止基準へ密着させる。
中央から外側へ向かってクランプする。
剛性の高い部分からクランプする。
工程作用点付近を安定化する。
44. センサおよび状態検出
44.1 クランプ完了センサ
クランプが最終位置へ到達したことを確認する。
44.2 アンクランプ完了センサ
ワーク移動前にクランプが完全に後退したことを確認する。
44.3 圧力センサ
空気圧または油圧が設定圧力へ到達したことを確認する。
44.4 力センサ
実際のクランプ力を直接測定する。
44.5 変位センサ
ワーク厚さ、クランプ位置および異物を検出する。
44.6 ワーク存在センサ
ワークが正しく投入された場合にのみクランプを許可する。
44.7 センサ使用上の注意
位置センサだけでは、必要なクランプ力が得られているとは判断できない。
ワークが存在しない場合や異物がある場合でも、クランプが最終位置へ到達することがあるため、圧力、力または変位を併せて監視することが望ましい。
45. ロックおよびフェイルセーフ
45.1 ロック
ロックとは、外部動力が除去されてもクランプ状態を維持する機能である。
代表的な方式は次のとおりである。
オーバーセンタトグル
小リードねじ
セルフロックくさび
ラチェット
機械式ロックピン
ブレーキ
チェックバルブ
パイロットチェックバルブ
45.2 フェイルセーフクランプ
電源または圧力が失われた場合にも、安全な状態を維持するクランプである。
代表的な方式は次のとおりである。
ばねクランプ・空気圧解除
ばねクランプ・油圧解除
機械式ロックピン
オーバーセンタロック
電永磁クランプ
モータブレーキ
アキュムレータ補助
45.3 安全上の注意
摩擦によるセルフロック性は、潤滑、摩耗、振動および汚染状態によって変化する。危険な荷重には、独立した確実な機械式ロックを適用する必要がある。
46. 過負荷保護
46.1 過負荷の原因
ワークの誤投入
二重供給
規定寸法を超えるワーク
クランプ干渉
過大な圧力設定
過大なモータトルク
ロックピン未解除
異物
センサ異常
46.2 保護方式
圧力リリーフバルブ
減圧バルブ
トルクリミッタ
スリップクラッチ
サーボトルク制限
せん断ピン
ばね緩衝
機械式ストッパ
力センサ
ソフトウェアインターロック
47. クランプパッド
47.1 役割
クランプパッドは、クランプ力をワークへ伝達し、さらに次の機能を持つ。
表面損傷の防止
摩擦力の確保
角度ばらつきの吸収
接触圧力の分散
製品形状への適合
交換可能な摩耗部品としての機能
47.2 主な形状
平面形
球面形
スイベル形
セレーション形
溝形
V形
曲面形
製品専用形
47.3 主な材料
硬化鋼
ステンレス鋼
黄銅
アルミニウム
ウレタン
ゴム
シリコーン
POM
UHMW-PE
PEEK
47.4 スイベルパッド
ワーク表面の角度に合わせて回転し、全面接触を確保する。
偏心荷重および局部圧痕の低減に有効である。
48. クランプアーム設計
クランプ力 (F) が支点から距離 (L) の位置に作用する場合、曲げモーメントは次のとおりである。
M = F × L
曲げ応力は次のとおりである。
σ = M / Z
ここで、(Z) は断面係数である。
単純な片持ちクランプアームのたわみは次のとおりである。
δ = FL³ / 3EI
アーム長さが増加すると、たわみは長さの3乗に比例して大きくなる。
48.1 設計原則
クランプアームを可能な限り短くする。
荷重方向と断面の強軸方向を一致させる。
急激な断面変化を避ける。
ピン穴周辺を補強する。
横座屈およびねじりを確認する。
最大応力位置に溶接部を配置しない。
49. ピンおよびブッシュ設計
49.1 平均せん断応力
単純せん断の場合:
τ = F / A
二重せん断の場合:
τ = F / 2A
49.2 平均面圧
ピン径を (d)、接触厚さを (t) とすると、
p_b = F / dt
49.3 主な設計検討事項
ピンせん断
ピン曲げ
ブッシュ面圧
疲労
潤滑
硬度差
ピンすきま
抜け止め
交換性
50. 摩擦および潤滑
50.1 主な摩擦部
トグルピンおよびブッシュ
くさび面
ねじ山
カム面
コレットテーパ
歯車およびラック
シリンダシール
クランプパッド
50.2 潤滑方式
グリース
オイル
自動給油
固体潤滑
無給油ブッシュ
ドライコーティング
50.3 潤滑の影響
潤滑は摩擦および摩耗を低減するが、くさび、ねじおよび一部のトグル機構のセルフロック性を低下させる場合がある。
潤滑状態が変化すると、実際のクランプ力や解除力も変化するため、設計計算および試験に反映する必要がある。
51. 材料および表面処理
51.1 クランプアームおよびリンク
炭素鋼
合金鋼
鋳鋼
アルミニウム合金
ステンレス鋼
51.2 ピンおよびくさび
熱処理合金鋼
軸受鋼
浸炭鋼
窒化鋼
工具鋼
51.3 ブッシュ
青銅
焼結金属
軸受鋼
ポリマー複合材
PTFE系ブッシュ
51.4 表面処理
浸炭
窒化
高周波焼入れ
硬質クロムめっき
無電解ニッケルめっき
DLCコーティング
研削
ラッピング
ショットピーニング
51.5 選定基準
荷重
繰返し寿命
摩擦
摩耗
腐食
洗浄
温度
食品接触
コスト
52. 主な故障形態
52.1 クランプ力不足
供給圧力低下
シリンダ漏れ
リンク変形
アームたわみ
パッド摩耗
ねじ摩耗
モータトルク不足
摩擦係数低下
52.2 過大なクランプ力
圧力設定異常
トルク設定異常
ワーク厚さの変化
センサ異常
くさびの焼付き
過大なオーバーセンタ移動
52.3 リンクおよびアームの破損
曲げ疲労
座屈
ピン穴亀裂
溶接部亀裂
衝撃
安全率不足
52.4 ピンおよびブッシュの摩耗
潤滑不足
高い面圧
芯ずれ
汚染
繰返し衝撃
硬度不足
52.5 油圧・空気圧系の故障
シール漏れ
バルブ固着
ホース破損
圧力低下
フィルタ詰まり
空気混入
52.6 真空系の故障
吸着パッド損傷
ホース漏れ
フィルタ詰まり
表面汚染
真空ポンプ性能低下
53. 保守および点検
53.1 日常点検
クランプ力の変化
異常音
振動
油漏れおよび空気漏れ
パッド損傷
ボルトの緩み
センサ動作
クランプストローク
ワークの動き
解除状態
53.2 定期点検
リンクおよびピンの摩耗
ブッシュすきま
ねじ山
くさび面
カム面
シリンダシール
供給圧力
力センサの校正
ロック装置
トルクリミッタ
53.3 予防保全部品
ピン
ブッシュ
クランプパッド
シール
ばね
ホース
バルブ
真空パッド
軸受
潤滑剤
53.4 状態基準保全
監視に利用できるデータは次のとおりである。
クランプ力
圧力
モータ電流
トルク
クランプ変位
作動時間
漏れ量
振動
温度
繰返し位置誤差
54. 安全設計
54.1 主な危険
指の挟まれ
圧壊
せん断
クランプアームの急激な回転
高圧流体の噴出
ワークの飛散
製品落下
蓄積エネルギーの解放
垂直荷重の落下
54.2 保護対策
固定式ガード
インターロック付きガード
両手操作
ライトカーテン
セーフティスキャナ
非常停止
安全速度制御
圧力制限
機械式ロック
残圧排出
警告表示
54.3 非常解除
非常時や保守時に、ワークを安全に解除できる手段が必要である。
手動排気バルブ
手動油圧解除
機械式解除装置
ブレーキ解除
ロックピン解除
補助支持装置
55. 食品機械におけるクランプ機構
食品機械では、クランプ性能とともに、衛生性、洗浄性、耐食性および汚染防止を考慮する必要がある。
55.1 主な衛生要求事項
食品残渣が蓄積しにくい構造
深い隙間の最小化
露出ねじ部の最小化
排水可能な表面
開放的で洗浄可能な構造
潤滑部と食品区域の分離
耐食性材料
食品用潤滑剤
工具なしで取り外せるパッド
洗浄後に乾燥しやすい構造
55.2 推奨材料
ステンレス鋼
POM
UHMW-PE
PEEK
食品用シリコーン
食品用ウレタン
食品接触用ゴム
55.3 空気圧クランプ
排気および潤滑ミストが食品接触区域へ直接流れないように設計する。
55.4 油圧クランプ
油漏れの危険があるため、油圧部品は食品直接区域から分離し、可能であれば衛生区域の外側に配置する。
55.5 真空クランプ
食品、トレイおよび包装材を柔らかく把持できるが、フィルタおよび真空配管の衛生管理が重要である。
55.6 主な用途
包装用シールジョー
容器の位置決め
食品切断用ホルダ
成形金型のロック
キャッピング装置
包装材の把持
製品反転グリッパ
検査治具の固定
トレイ搬送
真空吸着パッド
56. 半導体・精密装置におけるクランプ
精密装置では、最大クランプ力よりも、変形、粒子発生および微小な位置ずれが重要になる場合がある。
主な要求事項は次のとおりである。
低接触力
高い繰返し精度
低発じん
非接触または弾性接触
真空環境への対応
非磁性材料
低アウトガス
静電気対策
力センサ制御
代表的な方式は次のとおりである。
真空チャック
静電チャック
フレクシャクランプ
圧電クランプ
低荷重サーボクランプ
57. 適用事例
57.1 溶接治具用トグルクランプ
ワーク位置決め
→ トグルクランプ接近
→ オーバーセンタロック
→ 溶接
→ 解除
主な検討事項:
溶接変形
熱膨張
スパッタ
クランプ順序
作業者アクセス
解除力
繰返し寿命
57.2 油圧加工治具
ワーク投入
→ 位置決め
→ 支持シリンダ作動
→ 多点油圧クランプ
→ 圧力確認
→ 加工
主な検討事項:
切削力
ワーク変形
クランプ順序
圧力管理
漏れ
切りくず対策
アンクランプ確認
57.3 包装用シールジョー
フィルム供給
→ 上下シールジョー接近
→ 圧着
→ 加熱および保持
→ 解除
主な検討事項:
シール圧力
平行度
温度
保持時間
フィルム損傷
洗浄性
挟まれ防止
57.4 ロボット用平行グリッパ
アクチュエータ
→ くさび・ラック・リンク
→ 左右フィンガ
→ 製品把持
→ 搬送
主な検討事項:
把持力
フィンガ長さ
加速度
製品変形
製品存在センサ
非常時保持
段取り替え性
57.5 真空パネル固定
真空ポンプ
→ 分割真空流路
→ 吸着テーブル
→ パネル固定
主な検討事項:
有効面積
漏れ
平面度
工程荷重
フィルタ
真空センサ
非常時保持
57.6 コレット式工具クランプ
ドローバ引張
→ テーパ接触
→ コレット収縮
→ 工具固定
主な検討事項:
ドローバ力
テーパ精度
振れ
繰返し精度
汚染
摩耗
解除性
58. 解析および設計ツール
58.1 CADモーション解析
クランプストローク
アクセス空間
リンク角度
干渉
ワーク投入性
解除軌跡
回転範囲
58.2 構造解析
クランプアーム応力
フレーム変形
ピン穴応力
くさび接触圧力
ワーク変形
ねじ応力
リンク座屈
58.3 多体系動力学解析
リンク荷重
ジョイント反力
作動速度
衝撃
駆動力
解除力
58.4 流体回路解析
圧力損失
シリンダ速度
クランプ順序
漏れ
アキュムレータ
非常停止
チェックバルブ作動
58.5 制御シミュレーション
位置制御
トルク制御
力制御
位置・力切替え
センサ誤差
クランプ時間
過負荷応答
59. クランプ機構の選定手順
59.1 作業機能の定義
ワーク固定
製品把持
金型ロック
シール
圧縮
引張
内径拡張
位置保持
ドアロック
59.2 ワークの分析
材料
剛性
形状
表面状態
寸法ばらつき
許容変形
接触損傷の可能性
食品または清浄環境の要求
59.3 工程荷重の分析
切削力
組立力
成形力
慣性力
衝撃
転倒モーメント
遠心力
圧力差
59.4 必要クランプ力の計算
摩擦係数
形状拘束の有無
荷重方向
クランプ数
安全率
力の分担
59.5 ストロークおよびアクセス距離の定義
ワーク厚さ
寸法ばらつき
投入空間
後退距離
工具アクセス性
ロボット干渉
作業者アクセス
59.6 駆動源の選定
手動
ばね
空気圧
油圧
電動
サーボ
真空
磁力
59.7 クランプ形式の選定
ねじ
トグル
カム
偏心
くさび
スイング
プル
リンク
コレット
センタリング
59.8 剛性および変形の確認
アームたわみ
フレーム変形
ピンおよびブッシュすきま
ワーク変形
接触圧力
力の繰返し性
59.9 ロックおよび安全性の確認
電源喪失
圧力喪失
セルフロック性
機械式ロック
非常解除
センサ
過負荷保護
59.10 環境条件の確認
温度
粉じん
水分
洗浄
腐食
食品接触
真空
クリーンルーム
爆発危険
59.11 保守性の確認
潤滑アクセス
パッド交換
ピンおよびブッシュ交換
シール交換
センサ調整
力の確認
分解空間
59.12 試験および検証
最大クランプ力試験
繰返し寿命試験
ワーク変形測定
力繰返し性試験
圧力喪失試験
停電試験
非常解除試験
衝撃試験
汚染および洗浄試験
60. 結論
クランプ機構は、ワーク、製品、工具または金型を基準面および位置決め要素へ密着させ、工程荷重が作用しても位置と姿勢を安定して維持する機構である。
クランプと位置決めは明確に区別する必要がある。位置決め要素がワークの正確な位置を決定し、クランプはワークをその位置決め要素へ押し付けて保持する。
ねじ、トグル、カム、偏心およびくさびクランプは、機械的な力変換を利用する。空気圧クランプは高速動作と自動化に適し、油圧クランプは大きな力と高い剛性を提供する。電動およびサーボクランプは、位置と力を高精度に制御し、工程データを収集できる。
真空クランプは薄板、フィルムおよび非磁性平板に適している。磁気クランプは、強磁性体ワークを広い面積で保持するのに有利である。コレットおよび拡張マンドレルは、円筒部品のセンタリングと円周方向保持に適している。
クランプ機構は、大きな力だけを発生するように設計してはならない。ワーク変形、工程荷重、摩擦、位置決め、構造剛性、圧力喪失、電源喪失、解除性および作業者安全を総合的に検討する必要がある。
クランプ機構は、次の手順で設計および選定することが適切である。
作業機能およびワークの定義
→ 位置決め方式の設定
→ 工程荷重および必要クランプ力の計算
→ ワークの許容変形量の確認
→ クランプ方向および作用点の決定
→ アクセス距離およびストロークの決定
→ 駆動源およびクランプ形式の選定
→ アーム・リンク・ピン・フレームの強度と剛性確認
→ クランプ順序および力分担の確認
→ ロック・フェイルセーフ・非常解除の設計
→ センサおよび過負荷保護の設計
→ 環境・衛生・保守性の確認
→ 繰返し寿命および実際のクランプ力の検証
適切に設計されたクランプ機構は、加工精度、組立品質、生産性、繰返し性、製品安全および作業者安全を向上させる重要な機械構成要素である。