機械設計で使用される高分子材料の詳細分類

機械設計で使用される高分子材料の詳細分類

1. 高分子材料の基本概念

高分子材料は、炭素、水素、酸素、窒素、フッ素、塩素、ケイ素などの元素が共有結合によって連結され、長い分子鎖を形成した材料である。

高分子材料の基本構造は、一般に次の要素から構成される。

  • モノマー

  • 繰返し単位

  • 高分子鎖

  • 分子鎖間の結合

  • 結晶領域と非晶領域

  • 添加剤

  • 充填材または強化材

モノマーとは高分子を形成する出発物質であり、繰返し単位とは高分子鎖の中で反復される基本構造である。

例えば、ポリエチレンはエチレンモノマーが繰り返し結合することで形成される。

  • モノマー:エチレン

  • 化学式:C₂H₄

  • 繰返し単位:–CH₂–CH₂–

  • 主な構成元素:炭素および水素

高分子材料は金属材料と比較して、一般に次の特徴を持つ。

  • 密度が低い。

  • 耐食性に優れる。

  • 電気絶縁性が良い。

  • 複雑な形状を成形しやすい。

  • 摩擦係数が低い材料が多い。

  • 振動や騒音を吸収できる。

  • 熱伝導率が低い。

  • 弾性係数が低い。

  • 温度と時間の影響によって変形が増加する。

  • クリープおよび応力緩和が発生する。

  • 紫外線、熱、水分、薬品によって劣化する場合がある。

したがって、高分子材料は単に金属を軽量化して代替する材料ではなく、電気絶縁性、耐食性、低摩擦性、成形性、振動吸収性、騒音低減性などを活用する設計材料である。

2. 高分子材料の構成成分を理解する方法

2.1 金属合金と高分子コンパウンドの違い

金属合金は、一般に鉄、炭素、クロム、ニッケルなどの元素の質量比によって定義される。

一方、高分子材料は、次の要素を組み合わせて定義するのが適切である。

  1. ベース樹脂

  2. モノマーおよび繰返し単位

  3. 分子量

  4. 共重合成分

  5. 結晶化度

  6. 強化材

  7. 無機充填材

  8. 可塑剤

  9. 難燃剤

  10. 熱安定剤および光安定剤

  11. 着色剤

  12. 潤滑剤および離型剤

例えば「PA66-GF30」は、単なるナイロン66ではない。

  • ベース樹脂:PA66

  • 強化材:ガラス繊維

  • ガラス繊維含有量:一般に約30 wt.%

  • その他の成分:熱安定剤、潤滑剤、着色剤など

したがって、同じPA66であっても、非強化材、GF15、GF30、GF50では機械的性質が大きく異なる。

2.2 高分子材料の一般的な構成比

構成要素

一般的な含有量の傾向

主な役割

ベース樹脂

約30~100 wt.%

材料の基本構造と基本特性を形成

ガラス繊維

約10~50 wt.%

剛性、強度、耐熱性の向上

炭素繊維

約10~40 wt.%

高剛性、軽量化、導電性

無機充填材

約5~50 wt.%

収縮低減、剛性、寸法安定性

可塑剤

約5~50 wt.%

柔軟性向上、硬度低下

難燃剤

約5~30 wt.%

燃焼抑制

耐衝撃改質剤

約5~25 wt.%

衝撃強度向上

安定剤

通常0.1~3 wt.%

熱、酸化、紫外線劣化の抑制

潤滑剤・離型剤

通常0.1~2 wt.%

加工性および離型性の改善

着色剤

通常0.01~5 wt.%

色調および外観の調整

これらは一般的な傾向であり、実際の配合はメーカーおよび製品グレードによって異なる。

3. 高分子材料の基本分類

高分子材料は、熱に対する反応と分子構造を基準として、主に次のように分類される。

3.1 熱可塑性樹脂

熱を加えると軟化または溶融し、冷却すると再び固体になる材料である。

代表材料:

  • PE

  • PP

  • PVC

  • PS

  • ABS

  • PA

  • POM

  • PET

  • PBT

  • PC

  • PMMA

  • PPS

  • PEEK

  • PTFE

主な加工方法:

  • 射出成形

  • 押出成形

  • ブロー成形

  • 熱成形

  • 回転成形

  • 機械加工

  • 積層造形

3.2 熱硬化性樹脂

成形または硬化の過程で架橋反応が起こり、三次元網目構造を形成する材料である。

一度硬化した後は、再加熱しても溶融しない。

代表材料:

  • エポキシ樹脂

  • フェノール樹脂

  • 不飽和ポリエステル

  • ビニルエステル

  • メラミン樹脂

  • 熱硬化性ポリウレタン

主な特徴:

  • 高い耐熱性

  • 高い寸法安定性

  • 優れた接着性

  • 加熱による軟化変形が少ない

  • 硬化後の再成形が不可能

  • 衝撃に対して脆い場合がある

3.3 エラストマー

比較的小さな力で大きく変形し、荷重を除去すると元の形状に近い状態まで回復する材料である。

代表材料:

  • 天然ゴム

  • NBR

  • EPDM

  • シリコーンゴム

  • FKM

  • CR

  • ウレタンゴム

  • TPE

  • TPU

エラストマーは、シール、振動絶縁、衝撃吸収、摩擦力の確保などに使用される。

4. 高分子構造と機械的特性の関係

4.1 分子鎖の形態

高分子鎖には、次のような構造がある。

  • 線状構造

  • 分岐構造

  • 架橋構造

  • 網目構造

線状高分子は分子鎖間の移動が比較的容易であり、熱可塑性を示すことが多い。

架橋密度が増加すると、一般に次の傾向が現れる。

  • 剛性の増加

  • 耐熱性の向上

  • 耐溶剤性の向上

  • クリープの低減

  • 伸びの低下

  • 再溶融が不可能になる

4.2 結晶性と非晶性

結晶性高分子

分子鎖の一部が規則的に配列した材料である。

代表材料:

  • PE

  • PP

  • PA

  • POM

  • PET

  • PBT

  • PPS

  • PEEK

  • PTFE

一般的な特徴:

  • 高い耐薬品性

  • 高い耐疲労性

  • 比較的大きな成形収縮

  • 不透明な外観

  • 明確な融点

  • 摩擦・摩耗特性が良好な場合が多い

非晶性高分子

分子鎖が不規則に配列した材料である。

代表材料:

  • PC

  • PMMA

  • PS

  • ABS

  • PVC

一般的な特徴:

  • 比較的小さな成形収縮

  • 良好な寸法精度

  • 透明性を確保できる

  • 明確な融点よりもガラス転移温度の影響が大きい

  • 溶剤による応力割れが発生する場合がある

4.3 ガラス転移温度

ガラス転移温度とは、非晶領域が硬いガラス状態から柔軟なゴム状態へ変化する温度範囲である。

ガラス転移温度以下では:

  • 剛性と硬度が高い。

  • 変形が小さい。

  • 衝撃脆性が増加する場合がある。

ガラス転移温度以上では:

  • 剛性が低下する。

  • クリープが増加する。

  • 変形が大きくなる。

  • ゴムに近い挙動を示す場合がある。

4.4 分子量

分子量が高くなると、一般に次の特性が向上する場合がある。

  • 引張強さ

  • 衝撃強さ

  • 耐疲労性

  • 耐摩耗性

  • 溶融強度

一方、分子量が高いほど溶融粘度が増加し、射出成形や押出成形が難しくなる場合がある。

5. 汎用熱可塑性樹脂

5.1 ポリエチレン — PE

ポリエチレンは、エチレンを重合して製造される代表的な炭化水素系高分子である。

基本構成

項目

内容

モノマー

エチレン

モノマー化学式

C₂H₄

繰返し単位

–CH₂–CH₂–

主な構成元素

C、H

極性

非常に低い

代表的な種類

LDPE、LLDPE、HDPE、UHMWPE

理論上の繰返し単位における元素質量比は、およそ次のとおりである。

  • 炭素:約85.7%

  • 水素:約14.3%

実際の製品には、酸化防止剤、紫外線安定剤、顔料、充填材などが含まれる場合がある。

構造と特性

PEは非極性の炭化水素鎖で構成されているため、水および多くの薬品に対して良好な耐性を持つ。

分岐が少なく、結晶化度が高いHDPEは、次の特性を示す。

  • 高い剛性

  • 高い密度

  • 良好な耐薬品性

  • 低い吸水率

  • 比較的大きな成形収縮

分岐が多いLDPEは、次の特性を持つ。

  • 高い柔軟性

  • 低い剛性

  • 良好な衝撃吸収性

  • 優れたフィルム成形性

UHMWPE

超高分子量ポリエチレンは、非常に長い分子鎖を持つ。

主な特徴:

  • 非常に高い耐摩耗性

  • 低い摩擦係数

  • 高い衝撃強さ

  • 優れた化学的安定性

  • 非常に低い吸水率

  • 接着および塗装が困難

  • 精密な寸法維持には制限がある

主な用途

  • スライドガイド

  • チェーンガイド

  • ライナー

  • コンベヤ部品

  • 食品機械用摩耗板

  • タンク

  • 配管

  • 絶縁部品

5.2 ポリプロピレン — PP

基本構成

項目

内容

モノマー

プロピレン

モノマー化学式

C₃H₆

繰返し単位

–CH₂–CH(CH₃)–

主な構成元素

C、H

代表的な種類

ホモポリマー、ランダム共重合体、ブロック共重合体

理論上の繰返し単位における元素質量比:

  • 炭素:約85.7%

  • 水素:約14.3%

構造と特性

側鎖のメチル基により、PPはPEより高い剛性と耐熱性を持つ。

主な特徴:

  • 低密度

  • 優れた耐薬品性

  • 低い吸水率

  • 優れたリビングヒンジ疲労特性

  • 良好な電気絶縁性

  • PEより高い耐熱性

  • 低温衝撃性は限定的

  • 長期間紫外線にさらされると劣化する場合がある

主な添加剤

  • 酸化防止剤

  • 紫外線安定剤

  • 核剤

  • タルク

  • ガラス繊維

  • 耐衝撃改質剤

  • 難燃剤

タルク充填PPは剛性と寸法安定性が向上するが、衝撃強さと伸びが低下する場合がある。

主な用途

  • 化学薬品用タンク

  • ファンおよびダクト

  • ヒンジ

  • 食品容器

  • ポンプ部品

  • 機械カバー

  • 配管

  • 電気絶縁部品

5.3 ポリ塩化ビニル — PVC

基本構成

項目

内容

モノマー

塩化ビニル

モノマー化学式

C₂H₃Cl

繰返し単位

–CH₂–CHCl–

主な構成元素

C、H、Cl

代表的な種類

硬質PVC、軟質PVC

理論上の繰返し単位における元素質量比:

  • 炭素:約38.4%

  • 水素:約4.8%

  • 塩素:約56.8%

成分と特性

高い塩素含有量は、次の特性に影響する。

  • 難燃性の向上

  • 極性の増加

  • 耐薬品性の向上

  • 密度の増加

  • 熱安定性の制限

PVCは本来比較的硬い材料であるが、可塑剤を添加することで柔軟にできる。

硬質PVCの一般的な構成

  • PVC樹脂

  • 熱安定剤

  • 耐衝撃改質剤

  • 加工助剤

  • 潤滑剤

  • 顔料

  • 必要に応じた無機充填材

軟質PVCの一般的な構成

  • PVC樹脂

  • 可塑剤

  • 熱安定剤

  • 潤滑剤

  • 顔料

  • 充填材

可塑剤の含有量は製品によってかなり高くなる場合があり、可塑剤が多いほど硬度と剛性は低下し、柔軟性は増加する。

主な用途

  • 配管

  • ダクト

  • 電線被覆

  • ホース

  • カバー

  • 床材

  • 化学設備用ライニング

5.4 ポリスチレン — PS

基本構成

項目

内容

モノマー

スチレン

モノマー化学式

C₈H₈

繰返し単位

–CH₂–CH(C₆H₅)–

主な構成元素

C、H

代表的な種類

GPPS、HIPS、発泡PS

構造と特性

大きな芳香族フェニル基が分子鎖の動きを制限し、高い剛性と透明性を与える。

一方で、分子鎖が柔軟に変形しにくいため、衝撃に対して脆い。

主な特徴:

  • 高い透明性

  • 良好な寸法安定性

  • 高い剛性

  • 低価格

  • 低い衝撃強さ

  • 溶剤に敏感

  • 高温使用に制限

HIPSは、ゴム成分を分散させることで衝撃強さを向上させた材料である。

主な用途

  • 機器ハウジング

  • トレー

  • 包装材

  • 透明カバー

  • 断熱材

  • 低荷重部品

5.5 ABS

ABSは、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンから構成される多相共重合体である。

基本構成

構成成分

主な役割

アクリロニトリル

耐熱性、耐薬品性、剛性

ブタジエン

衝撃強さ、低温靭性

スチレン

成形性、表面光沢、剛性

市販ABSの各成分比はメーカーおよびグレードによって異なり、剛性、耐熱性、衝撃強さ、流動性のバランスを調整する。

主な構成元素

  • 炭素

  • 水素

  • 窒素

特性

  • 高い衝撃強さ

  • 良好な表面外観

  • 優れた射出成形性

  • めっきおよび塗装が可能

  • 良好な寸法安定性

  • 耐候性は限定的

  • 一部の溶剤に敏感

  • 連続高温使用には制限がある

主な用途

  • 装置ハウジング

  • 操作ハンドル

  • 電気機器ケース

  • 自動車内装部品

  • カバー

  • 家電部品

6. エンジニアリングプラスチック

6.1 ポリアミド — PA

ポリアミドは、分子鎖中にアミド結合を含む高分子である。

代表材料:

  • PA6

  • PA66

  • PA11

  • PA12

  • PA46

  • 芳香族ポリアミド

PA6の構成

項目

内容

原料

ε-カプロラクタム

繰返し単位

–NH–(CH₂)₅–CO–

主な構成元素

C、H、N、O

PA66の構成

項目

内容

原料

ヘキサメチレンジアミン+アジピン酸

繰返し単位

–NH–(CH₂)₆–NH–CO–(CH₂)₄–CO–

主な構成元素

C、H、N、O

アミド結合は分子鎖間に強い水素結合を形成する。

その結果、次の特性が得られる。

  • 高い強度

  • 高い靭性

  • 良好な耐摩耗性

  • 優れた耐疲労性

  • 良好な耐熱性

  • 良好な摩擦特性

一方、アミド結合は水と相互作用しやすく、吸水する。

吸水の影響:

  • 寸法増加

  • 剛性低下

  • 靭性増加

  • 電気絶縁性低下

  • 組立すきまの変化

一般的なPAコンパウンド

グレード

代表的構成

非強化PA6

PA6樹脂+安定剤

PA6-GF30

PA6約70%+ガラス繊維約30%

PA66-GF30

PA66約70%+ガラス繊維約30%

PA66-GF50

PA66約50%+ガラス繊維約50%

耐摩耗PA

PA+PTFE、MoS₂、オイルなど

難燃PA

PA+難燃剤+安定剤

実際の含有量は製品グレードによって異なる。

主な用途

  • ギア

  • ベアリングケージ

  • ローラー

  • チェーンガイド

  • プーリー

  • コネクター

  • ファン

  • ハウジング

  • ケーブルベア部品

6.2 ポリアセタール — POM

POMは、アセタールまたはポリオキシメチレンとも呼ばれる。

基本構成

項目

内容

基本原料

ホルムアルデヒドまたはトリオキサン

繰返し単位

–CH₂–O–

主な構成元素

C、H、O

代表的な種類

ホモポリマー、コポリマー

理論上の繰返し単位における元素質量比:

  • 炭素:約40.0%

  • 水素:約6.7%

  • 酸素:約53.3%

構造と特性

規則的な分子鎖構造と高い結晶化度により、次の特性を持つ。

  • 高い剛性と強度

  • 低い摩擦係数

  • 優れた耐摩耗性

  • 低い吸水率

  • 高い寸法安定性

  • 良好な耐疲労性

  • 優れたばね復元性

注意事項:

  • 強酸および強アルカリには制限がある。

  • 高温で熱分解する場合がある。

  • 接着および塗装が困難。

  • 過熱または燃焼時の分解ガス管理が必要。

主な改質グレード

  • ガラス繊維強化POM

  • PTFE添加POM

  • シリコーン潤滑POM

  • 帯電防止POM

  • 導電性POM

  • 食品接触適合POM

主な用途

  • 精密ギア

  • ラック

  • ベアリング

  • カム

  • バルブ部品

  • ローラー

  • クリップ

  • スナップフィット部品

  • 精密ハウジング

POMは、高い剛性、低摩擦性、優れた寸法安定性が要求される精密部品に広く使用される。

6.3 ポリカーボネート — PC

基本構成

代表的なビスフェノールA系PCは、ビスフェノールA系原料とカーボネート結合から構成される。

項目

内容

主な原料

ビスフェノールA系原料およびカーボネート前駆体

主な結合

カーボネート結合 –O–CO–O–

主な構成元素

C、H、O

構造

非晶性

構造と特性

芳香族環とカーボネート結合が、高い剛性と耐熱性を与える。

主な特徴:

  • 非常に高い衝撃強さ

  • 透明性

  • 高い寸法安定性

  • 良好な耐熱性

  • 電気絶縁性

  • 低い成形収縮

  • 優れた低温衝撃特性

制限事項:

  • 一部の有機溶剤に敏感

  • 応力割れが発生する可能性

  • 表面傷に比較的弱い

  • 長時間の紫外線曝露で黄変する場合がある

  • 射出成形前に乾燥が必要

ポリカーボネートは、透明性と低温でも維持される高い衝撃抵抗が必要な用途で広く使用される。

代表的なコンパウンド

  • 透明PC

  • 難燃PC

  • PC-GF10~GF30

  • PC/ABS

  • 耐候PC

  • 光学用PC

  • 食品接触用PC

主な用途

  • 透明安全カバー

  • 機械保護窓

  • センサー窓

  • 電気ハウジング

  • 照明カバー

  • ギアおよび構造部品

  • ヘルメットおよび衝撃保護部品

6.4 ポリエステル — PETおよびPBT

PETとPBTは、エステル結合を含む熱可塑性ポリエステルである。

PETの構成

項目

内容

原料

エチレングリコール+テレフタル酸系原料

主な結合

エステル結合

主な構成元素

C、H、O

PBTの構成

項目

内容

原料

1,4-ブタンジオール+テレフタル酸系原料

主な結合

エステル結合

主な構成元素

C、H、O

特性

PET:

  • 高い強度

  • 良好なガスバリア性

  • 優れた耐摩耗性

  • 良好な寸法安定性

  • 透明製品の製造が可能

PBT:

  • 速い結晶化

  • 優れた射出成形性

  • 良好な電気特性

  • 低い吸水率

  • 優れた寸法安定性

代表的なコンパウンド

  • PET-GF30

  • PBT-GF15

  • PBT-GF30

  • 難燃PBT

  • 耐衝撃PBT

  • PET/PBTブレンド

主な用途

  • 電気コネクター

  • センサーハウジング

  • リレー部品

  • 精密ギア

  • 自動車電装部品

  • フィルム

  • ボトルおよび容器

6.5 PMMA

PMMAは、アクリルまたはアクリル樹脂として知られる透明高分子である。

基本構成

項目

内容

モノマー

メチルメタクリレート

繰返し単位

アクリレート系繰返し構造

主な構成元素

C、H、O

構造

非晶性

主な特徴

  • 高い光透過率

  • 優れた耐候性

  • 良好な表面硬度

  • 低密度

  • 切削および研磨が可能

  • PCより衝撃強さが低い

  • ノッチや亀裂に敏感

主な用途

  • 透明窓

  • 照明カバー

  • 計器板

  • 表示窓

  • 光学部品

  • 装飾部品

7. スーパーエンジニアリングプラスチック

7.1 PPS

PPSは、分子鎖中に芳香族環と硫黄結合を含む。

基本構成

項目

内容

主な繰返し構造

芳香族環–硫黄結合

主な構成元素

C、H、S

結晶性

半結晶性

一般的な使用形態

ガラス繊維・無機充填材強化

特性

  • 高い耐熱性

  • 非常に低い吸水率

  • 優れた寸法安定性

  • 高い耐薬品性

  • 難燃性

  • 高い電気絶縁性

  • 非強化状態では脆い場合がある

一般的な構成例

グレード

代表的構成

非強化PPS

PPS樹脂主体

PPS-GF30

PPS約70%+ガラス繊維約30%

PPS-GF40

PPS約60%+ガラス繊維約40%

PPS-GF/MD

PPS+ガラス繊維+無機充填材

耐摩耗PPS

PPS+PTFE、黒鉛、炭素繊維

主な用途

  • ポンプ部品

  • バルブ

  • 電気絶縁部品

  • センサーハウジング

  • 高温コネクター

  • 自動車エンジン周辺部品

  • 精密射出部品

7.2 PEEK

PEEKはポリエーテルエーテルケトンの略称である。

基本構成

項目

内容

主な繰返し構造

芳香族環+エーテル結合+ケトン結合

主な構成元素

C、H、O

結晶性

半結晶性

自然色

一般にベージュ系

芳香族環は剛性と耐熱性を高め、エーテル結合は一定の靭性と加工性を与え、ケトン結合は耐熱性と化学的安定性を高める。

主な特性

  • 高い耐熱性

  • 高い機械的強度

  • 優れた耐薬品性

  • 高い耐クリープ性

  • 煙の発生が少ない

  • 優れた耐摩耗性

  • 高温水、蒸気および加水分解に対する抵抗性

  • 放射線耐性

  • 高価格

  • 高い加工温度

非強化PEEKは、高温安定性、耐薬品性、耐クリープ性および摩擦・摩耗特性に優れた高性能プラスチックである。

代表的なグレード

グレード

代表的構成

非強化PEEK

PEEK樹脂主体

PEEK-GF30

PEEK約70%+ガラス繊維約30%

PEEK-CF30

PEEK約70%+炭素繊維約30%

軸受用PEEK

PEEK+炭素繊維+PTFE+黒鉛

医療用PEEK

高純度PEEK

帯電防止PEEK

PEEK+導電性添加剤

強化材の効果

ガラス繊維

  • 剛性増加

  • 熱変形低減

  • クリープ低減

  • 熱膨張低減

  • 電気絶縁性を維持可能

  • 相手材の摩耗に注意が必要

炭素繊維

  • 非常に高い剛性

  • 高い寸法安定性

  • 低い熱膨張

  • 熱伝導性と電気伝導性の増加

  • 摩耗特性の改善が可能

  • コスト増加

主な用途

  • 高温ベアリング

  • シール

  • バルブシート

  • 半導体装置部品

  • 医療機器

  • 航空機部品

  • 高温電気絶縁部品

  • 食品・医薬設備用高性能部品

7.3 PTFE

PTFEはポリテトラフルオロエチレンである。

基本構成

項目

内容

モノマー

テトラフルオロエチレン

モノマー化学式

C₂F₄

繰返し単位

–CF₂–CF₂–

主な構成元素

C、F

理論上の繰返し単位における元素質量比:

  • 炭素:約24%

  • フッ素:約76%

成分と特性

炭素鎖を取り囲むフッ素原子は、非常に安定した炭素–フッ素結合を形成する。

その結果、次の特性を持つ。

  • 極めて高い耐薬品性

  • 非常に低い摩擦係数

  • 非粘着性

  • 優れた電気絶縁性

  • 広い使用温度範囲

  • 低い表面エネルギー

  • 吸水がほとんどない

制限事項:

  • 大きなクリープ

  • 低い剛性と強度

  • 大きな熱膨張

  • 一般的な溶融射出成形が困難

  • 接着が非常に困難

  • 繰返し荷重で変形する可能性

代表的な充填PTFE

充填材

主な効果

ガラス繊維

耐摩耗性、剛性、クリープ特性改善

炭素

耐摩耗性、熱伝導性、変形抑制

黒鉛

潤滑性、摩擦特性改善

青銅

圧縮強度、熱伝導性、耐摩耗性向上

MoS₂

摩擦および摩耗特性調整

主な用途

  • ガスケット

  • シール

  • すべり軸受

  • バルブシート

  • ライニング

  • 電気絶縁部品

  • 化学設備

  • 食品機械用非粘着部品

7.4 ポリイミド — PI

ポリイミドは、分子鎖中にイミド環を含む高耐熱高分子である。

主な構成

  • 芳香族炭素構造

  • イミド結合

  • 炭素

  • 水素

  • 酸素

  • 窒素

特性

  • 高い耐熱性

  • 高い機械的強度

  • 優れた耐クリープ性

  • 高い電気絶縁性

  • 真空および放射線環境に適する

  • 優れた摩擦・摩耗特性

  • 高価格

  • 成形および加工が困難

ポリイミド製品には、軸受特性を調整するため、黒鉛、PTFE、炭素繊維などの充填材を添加することがある。

主な用途

  • 高温ベアリング

  • 真空装置

  • 半導体設備

  • 航空宇宙部品

  • 電気絶縁部品

  • 高温シールおよびスペーサー

8. 熱硬化性高分子

8.1 エポキシ樹脂

エポキシ樹脂は、エポキシ基を持つ主剤と硬化剤を反応させ、三次元架橋構造を形成する材料である。

基本構成

構成成分

主な役割

エポキシ主剤

基本樹脂構造を形成

硬化剤

架橋反応を進行

促進剤

硬化速度を調整

充填材

収縮、剛性、熱伝導性を調整

強化繊維

強度と剛性を向上

可とう化剤

脆性を低減

顔料

色調を調整

代表的な硬化剤

  • アミン系

  • 酸無水物系

  • フェノール系

  • 潜在性硬化剤

特性

  • 高い接着力

  • 低い硬化収縮

  • 高い寸法安定性

  • 優れた電気絶縁性

  • 高い耐薬品性

  • 配合自由度が高い

  • 衝撃に対して脆い場合がある

  • 硬化条件の管理が必要

代表的な構成例

一般接着用エポキシ

  • エポキシ主剤

  • アミン系硬化剤

  • 充填材

  • 添加剤

電気用エポキシ

  • エポキシ樹脂

  • 酸無水物系硬化剤

  • シリカ充填材

  • 難燃剤

  • 顔料

炭素繊維複合材

  • エポキシ樹脂:マトリックス材

  • 炭素繊維:主要強化材

  • 実際の繊維含有量は製造方法によって異なる

主な用途

  • 構造用接着剤

  • 電気モールド

  • 複合材マトリックス

  • 金型

  • コーティング

  • 床材

  • ポッティング材

  • 補修材

8.2 フェノール樹脂

フェノール系原料とホルムアルデヒド系原料を反応させて製造する熱硬化性樹脂である。

主な構成

  • フェノール系原料

  • ホルムアルデヒド系原料

  • 硬化剤または触媒

  • 木粉

  • ガラス繊維

  • 鉱物充填材

  • 潤滑剤

  • 顔料

特性

  • 高い耐熱性

  • 優れた難燃性

  • 煙の発生が少ない

  • 良好な電気絶縁性

  • 高い寸法安定性

  • 比較的高い脆性

  • 色調の選択に制限

主な用途

  • 電気スイッチ

  • ブレーキ摩擦材

  • 耐熱ハンドル

  • 絶縁部品

  • ベアリングケージ

  • 高温構造部品

8.3 不飽和ポリエステル

不飽和ポリエステル樹脂は、一般にスチレン系反応性希釈剤とともに使用され、開始剤によって架橋硬化する。

構成成分

  • 不飽和ポリエステル樹脂

  • 反応性希釈剤

  • 開始剤

  • 促進剤

  • ガラス繊維

  • 炭酸カルシウムなどの充填材

  • 低収縮添加剤

  • 顔料

特性

  • 比較的低価格

  • ガラス繊維複合材を製造しやすい

  • 良好な耐食性

  • 大型部品の成形が可能

  • 硬化収縮がある

  • 臭気と揮発性物質の管理が必要

  • エポキシより接着性および疲労性能が低い場合がある

主な用途

  • FRPタンク

  • ダクト

  • カバー

  • ボート

  • 化学設備

  • 大型機械外装

9. エラストマー

9.1 NBR

NBRは、アクリロニトリルとブタジエンから構成される合成ゴムである。

主な構成

構成成分

主な役割

ブタジエン

弾性、低温柔軟性

アクリロニトリル

耐油性、強度

カーボンブラック

強度、耐摩耗性

加硫剤

架橋形成

可塑剤

柔軟性調整

酸化防止剤

劣化抑制

アクリロニトリル含有量が増加すると、一般に次の傾向がある。

  • 耐油性の向上

  • ガスバリア性の向上

  • 強度が向上する場合がある

  • 低温柔軟性の低下

  • 弾性が低下する場合がある

主な用途

  • オイルシール

  • Oリング

  • ホース

  • ガスケット

  • 油圧・空圧シール

  • 燃料系部品

9.2 EPDM

EPDMは、エチレン、プロピレンおよび少量のジエンモノマーから構成されるゴムである。

主な構成

  • エチレン

  • プロピレン

  • 少量のジエンモノマー

  • カーボンブラックまたは無機充填材

  • 加硫剤

  • 可塑剤

  • 酸化防止剤

特性

  • 優れた耐候性

  • 優れた耐オゾン性

  • 温水および蒸気に対する良好な耐性

  • 良好な電気絶縁性

  • 酸およびアルカリに比較的強い

  • 鉱物油および燃料には不適

主な用途

  • 水用シール

  • 蒸気用ガスケット

  • 屋外用パッキン

  • ホース

  • ドアシール

  • 食品機械用衛生シール

9.3 シリコーンゴム

シリコーンゴムは、炭素–炭素鎖ではなく、ケイ素–酸素結合を主鎖とする。

基本構成

項目

内容

主鎖

–Si–O–Si–

主な構成元素

Si、O、C、H

側鎖

メチル基、ビニル基、フェニル基など

硬化方式

過酸化物系、白金触媒系など

特性

  • 広い使用温度範囲

  • 優れた低温柔軟性

  • 良好な耐候性および耐オゾン性

  • 良好な電気絶縁性

  • 食品用および医療用グレードを選択可能

  • 引裂強さが低い場合がある

  • 耐摩耗性および耐油性は限定的

  • ガス透過性が比較的大きい

主な用途

  • 食品機械用ガスケット

  • 衛生ホース

  • オーブンシール

  • 電気絶縁部品

  • 医療用チューブ

  • 高温パッキン

9.4 FKM

FKMは、フッ素を含む高性能エラストマーである。

主な構成

  • フッ素系ビニルモノマー

  • 炭素

  • フッ素

  • 水素

  • 硬化剤

  • 充填材

  • 酸化防止剤

特性

  • 高い耐熱性

  • 優れた耐油性

  • 燃料および溶剤への良好な耐性

  • 低いガス透過性

  • 優れた耐候性

  • 低温柔軟性は限定的

  • 高価格

  • 蒸気および一部の薬品環境ではグレードごとの確認が必要

主な用途

  • 高温Oリング

  • 化学用シール

  • 燃料系ガスケット

  • 真空シール

  • 高温オイルシール

9.5 TPU

TPUは熱可塑性ポリウレタンエラストマーである。

主な構成

  • ポリオール系ソフトセグメント

  • イソシアネート系ハードセグメント

  • 鎖延長剤

  • 安定剤

  • 潤滑剤

  • 顔料

特性

  • 高い耐摩耗性

  • 高い引張強さ

  • 優れた弾性

  • 射出成形および押出成形が可能

  • オイルおよびグリースに対する良好な耐性

  • 高温多湿環境で加水分解する可能性

  • ポリエステル系とポリエーテル系のグレードがある

主な用途

  • ローラー

  • ベルト

  • シール

  • ケーブル被覆

  • 衝撃吸収部品

  • 車輪

  • フレキシブルカップリング

10. 強化材および充填材

10.1 ガラス繊維

一般的な構成:

  • 二酸化ケイ素系ガラス

  • アルミナ

  • 酸化カルシウム

  • その他の酸化物

  • 表面サイジング剤

効果:

  • 引張強さの増加

  • 弾性係数の増加

  • 熱変形の低減

  • クリープの低減

  • 成形収縮の低減

制限:

  • 伸びの低下

  • 衝撃特性が低下する場合がある

  • 金型および切削工具の摩耗増加

  • 繊維配向による異方性

  • 表面粗さの増加

10.2 炭素繊維

主な構成元素は炭素である。

効果:

  • 高い剛性と強度

  • 低密度

  • 低い熱膨張

  • 電気伝導性の向上

  • 熱伝導性が向上する場合がある

  • クリープの低減

制限:

  • 高価格

  • 異方性

  • 金属との接触によるガルバニック腐食の可能性

  • 脆性破壊の可能性

  • 切削時の粉じん管理が必要

10.3 無機充填材

代表的な充填材:

  • タルク

  • 炭酸カルシウム

  • マイカ

  • シリカ

  • ウォラストナイト

  • ガラスビーズ

主な効果:

  • コスト低減

  • 成形収縮の低減

  • 寸法安定性の向上

  • 剛性の増加

  • 熱膨張の低減

  • 表面特性の調整

制限:

  • 衝撃強さが低下する場合がある

  • 密度増加

  • 伸びの低下

  • 摩耗性の増加

10.4 PTFE、黒鉛およびMoS₂

摩擦および摩耗特性を改善するために添加される。

PTFE

  • 摩擦係数低減

  • 起動抵抗低減

  • 非粘着性向上

黒鉛

  • 乾式潤滑性

  • 熱伝導性向上

  • 摩耗特性安定化

MoS₂

  • 潤滑性向上

  • 剛性および硬度調整

  • 摩耗低減

11. 高分子材料の機械的特性

11.1 弾性係数

高分子材料の弾性係数は、一般に金属より低い。

そのため、同じ荷重と形状では、金属より変形とたわみが大きくなる。

設計上の対策:

  • 肉厚を増やす

  • リブを追加する

  • 支持間隔を短くする

  • 曲面または箱形断面を採用する

  • ガラス繊維強化材を使用する

  • 金属インサートを使用する

11.2 引張強さ

引張強さは材料の種類だけでなく、次の要因にも影響される。

  • 温度

  • 水分

  • ひずみ速度

  • 繊維配向

  • ウェルドライン

  • ノッチ

  • 成形条件

  • 再生材含有量

したがって、金属のように単一の引張強さだけで設計することは難しい。

11.3 衝撃強さ

衝撃強さは、次の条件によって大きく変化する。

  • 温度

  • ノッチ形状

  • 肉厚

  • 分子量

  • ゴム相含有量

  • 吸水

  • 繊維強化

PC、ABS、耐衝撃PPは、一般に衝撃荷重を受ける部品に適している。

PS、PMMA、高充填PPSは、ノッチ衝撃に注意が必要である。

11.4 クリープ

クリープとは、一定荷重を長時間加えた際に変形が継続的に増加する現象である。

高分子では、常温でもクリープが発生する場合がある。

クリープに影響する要因:

  • 荷重

  • 温度

  • 時間

  • 水分

  • 結晶化度

  • 強化繊維含有量

  • 応力集中

  • 締結方法

締結部、ばね構造、支持部、圧縮ガスケットでは、短期強度より長期クリープを優先的に検討する必要がある。

11.5 応力緩和

一定変形を維持した際に、内部応力が時間とともに低下する現象である。

主な設計上の問題:

  • ボルト締結力の低下

  • スナップフィット保持力の低下

  • ガスケットシール力の低下

  • クリップおよびばね力の低下

11.6 疲労

高分子の疲労寿命は、温度上昇と自己発熱の影響を大きく受ける。

繰返し変形が大きい場合、内部ヒステリシスによって熱が発生することがある。

設計上の注意:

  • 応力集中を最小化する。

  • 急激な断面変化を避ける。

  • 十分な曲率半径を設ける。

  • 繰返しひずみを制限する。

  • 冷却および放熱を考慮する。

  • ウェルドライン位置を管理する。

12. 熱的特性

12.1 熱膨張

高分子の線膨張係数は、一般に金属より大きい。

発生する可能性のある問題:

  • 組立すきまの変化

  • ベアリング嵌合状態の変化

  • 金属インサート周辺の応力

  • 温度変化による反り

  • センサー位置誤差

  • シール圧縮率の変化

ガラス繊維および炭素繊維は熱膨張を低減できるが、繊維方向によって異方性が生じる。

12.2 熱伝導性

一般的な高分子は熱伝導率が低い。

長所:

  • 断熱

  • 作業者の火傷防止

  • 電気絶縁

  • 熱遮断

制限:

  • 摩擦熱の蓄積

  • 電子部品の放熱問題

  • 局部過熱

  • 熱変形

熱伝導性充填材を使用して放熱用プラスチックを製造できるが、電気絶縁性、密度、加工性が変化する場合がある。

12.3 使用温度

高分子材料の使用温度は、融点だけで決定されるものではない。

確認すべき項目:

  • ガラス転移温度

  • 融点

  • 荷重たわみ温度

  • 連続使用温度

  • 短時間最高温度

  • 荷重条件

  • 使用時間

  • 酸素および化学環境

  • 熱サイクル

13. 化学的特性と環境劣化

13.1 吸水

吸水率が比較的大きい材料:

  • PA

  • 一部のポリエステル

  • 一部の熱硬化性樹脂

吸水率が比較的小さい材料:

  • PE

  • PP

  • POM

  • PTFE

  • PEEK

  • PPS

吸水は、寸法、剛性、電気絶縁性、摩擦特性に影響する。

13.2 加水分解

高温の水または蒸気によって分子鎖が切断される現象である。

注意が必要な材料:

  • 一部のポリエステル

  • 一部のTPU

  • 一部のPC

  • 一部のPA

グレードや安定剤によって差が大きいため、高温洗浄や蒸気滅菌では専用の耐加水分解グレードを使用する必要がある。

13.3 紫外線劣化

紫外線は分子鎖を切断し、酸化反応を促進する場合がある。

発生する現象:

  • 色調変化

  • 表面亀裂

  • チョーキング

  • 強度低下

  • 脆化

対策:

  • 紫外線吸収剤

  • HALS系安定剤

  • カーボンブラック

  • 塗装

  • 遮光構造

  • 耐候グレードの採用

13.4 環境応力割れ

機械的応力と薬品が同時に作用したとき、亀裂が発生する場合がある。

主に検討が必要な材料:

  • PC

  • PMMA

  • ABS

  • PS

  • 一部のPE

  • 一部のPOM

洗浄剤、オイル、接着剤、ねじ締結応力が組み合わさると、問題が発生する可能性がある。

14. 摩擦・摩耗および軸受設計

高分子軸受材料の長所:

  • 無給油運転が可能

  • 低騒音

  • 低慣性

  • 耐食性

  • 相手軸の損傷低減

  • 粉じん環境への対応

検討項目:

  • 面圧

  • すべり速度

  • PV値

  • 温度

  • 軸表面粗さ

  • 相手材硬度

  • 潤滑の有無

  • 水分

  • 粒子汚染

  • 熱膨張

代表材料:

  • POM

  • PA

  • UHMWPE

  • 充填PTFE

  • 軸受用PEEK

  • 軸受用PI

15. 食品機械における高分子材料

15.1 一般的に使用される材料

  • UHMWPE

  • HDPE

  • PP

  • POM

  • PA

  • PTFE

  • PEEK

  • シリコーンゴム

  • EPDM

  • TPU

ただし、基本樹脂名だけで食品接触適合性を判断してはならない。

同じベース樹脂であっても、次の成分が異なる場合がある。

  • 顔料

  • 可塑剤

  • 難燃剤

  • 潤滑剤

  • 離型剤

  • 強化繊維

  • 再生材

  • 抗菌剤

したがって、実際に使用するグレードの食品接触適合性と、供給メーカーの証明書を確認する必要がある。

15.2 UHMWPE

適用部品:

  • コンベヤガイド

  • チェーンガイド

  • スライドプレート

  • 摩耗ライナー

  • 製品搬送面

長所:

  • 低摩擦

  • 高い耐摩耗性

  • 低い吸水率

  • 洗浄しやすい

  • 高い衝撃強さ

注意点:

  • クリープ

  • 熱膨張

  • 低い剛性

  • 精密締結の制限

  • 高温洗浄条件

15.3 POM

適用部品:

  • ギア

  • ローラー

  • カム

  • スプロケット

  • 精密ガイド

  • バルブ部品

長所:

  • 高い寸法安定性

  • 低摩擦

  • 高い耐疲労性

  • 低い吸水率

注意点:

  • 強酸・強アルカリ

  • 高温蒸気

  • 高温分解

  • 適合グレードの確認

15.4 PTFE

適用部品:

  • ガスケット

  • シール

  • バルブシート

  • 非粘着ライナー

  • スライド部品

長所:

  • 高い耐薬品性

  • 非粘着性

  • 低摩擦

  • 広い使用温度範囲

注意点:

  • クリープ

  • 変形

  • 低い剛性

  • 締結圧力低下

  • 充填材の食品接触適合性確認

15.5 PEEK

適用部品:

  • 高温ベアリング

  • 高圧バルブシート

  • 蒸気洗浄部品

  • 精密ガイド

  • 高性能シール

  • 医薬・食品設備部品

長所:

  • 高温安定性

  • 耐薬品性

  • 高い強度

  • 耐クリープ性

  • 蒸気および加水分解に対する抵抗性

制限:

  • 高価格

  • 高い加工温度

  • 金型および成形設備への要求が高い

  • 実際の食品接触適合グレード確認が必要

15.6 金属検出可能プラスチック

食品機械では、破損したプラスチック片を検出するため、金属検出可能またはX線検出可能な材料を使用することがある。

一般的な構成:

  • ベース樹脂

  • 金属または高密度無機検出添加剤

  • 青色顔料

  • 安定剤

注意事項:

  • 検出感度は破片の大きさと検出装置の設定によって異なる。

  • 食品接触適合性を確認する必要がある。

  • 添加剤によって強度や摩耗特性が変化する場合がある。

16. 高分子部品の設計原則

16.1 肉厚

肉厚は、可能な限り均一に設計する。

急激な肉厚変化は、次の問題を引き起こす。

  • 収縮差

  • ヒケ

  • 内部ボイド

  • 反り

  • 残留応力

  • 冷却時間の増加

16.2 リブ

リブは、肉厚を大幅に増加させずに剛性を高めることができる。

注意事項:

  • 過度に厚いリブを避ける。

  • リブ根元に十分な曲率を設ける。

  • 収縮およびヒケを検討する。

  • 樹脂流動方向を考慮する。

  • ガラス繊維配向を考慮する。

16.3 コーナー

鋭いコーナーは、応力集中および樹脂流動不良を引き起こす。

内側コーナーには十分なフィレットを設ける。

16.4 ねじ締結

高分子に金属ボルトを直接締結すると、クリープと応力緩和によって締結力が低下する場合がある。

対策:

  • 金属インサート

  • 大径ワッシャー

  • 圧縮制限スリーブ

  • 低い締付けトルク

  • 樹脂用ねじ形状

  • 繰返し組立にはインサートを使用

16.5 嵌合

熱膨張、吸水、クリープを考慮する必要がある。

金属と同じ公差をそのまま適用すると、次の問題が発生する可能性がある。

  • 高温時の過大な締め代

  • 低温時のがたつき

  • 吸水膨張

  • 長期変形

  • 亀裂

16.6 スナップフィット

スナップフィットは、高分子の弾性を活用する代表的な組立構造である。

検討項目:

  • 許容ひずみ

  • 組立回数

  • ノッチ半径

  • 材料のクリープ

  • 温度

  • 繊維配向

  • ウェルドライン

17. 成形工程と材料特性

17.1 射出成形

長所:

  • 複雑形状

  • 大量生産

  • 高い繰返し精度

  • インサート成形

  • 一体化設計

注意事項:

  • 収縮

  • 反り

  • ウェルドライン

  • ボイド

  • ジェッティング

  • 繊維配向

  • 残留応力

17.2 押出成形

適用製品:

  • パイプ

  • プロファイル

  • フィルム

  • シート

  • ケーブル被覆

  • ホース

17.3 ブロー成形

適用製品:

  • タンク

  • ボトル

  • 中空ダクト

  • 保存容器

17.4 機械加工

エンジニアリングプラスチックは、棒材および板材として機械加工できる。

注意事項:

  • 切削熱

  • 低い熱伝導性

  • 残留応力

  • クランプ変形

  • バリ

  • 吸水

  • 加工後の寸法変化

17.5 積層造形

代表材料:

  • PLA

  • ABS

  • PA

  • PC

  • TPU

  • PEEK

  • PEI

  • 繊維強化フィラメント

造形方向によって強度と破壊挙動が異なり、射出成形品と同様の等方性を前提としてはならない。

18. 主な材料の比較

材料

剛性

衝撃性

耐摩耗性

耐薬品性

吸水性

耐熱性

代表用途

PE

低い

高い

良好

優秀

非常に低い

低い

ライナー、タンク

PP

低~中

中程度

普通

優秀

非常に低い

中程度

タンク、ダクト

PVC

中程度

グレードによる

普通

優秀

低い

低~中

配管、カバー

ABS

中程度

高い

普通

普通

低い

中程度

ハウジング

PA

中~高

高い

優秀

良好

高い

中~高

ギア、ローラー

POM

高い

中程度

優秀

良好

低い

中程度

精密ギア

PC

中程度

非常に高い

普通

限定的

低い

中~高

安全カバー

PBT

高い

中程度

良好

良好

低い

中~高

電装部品

PTFE

低い

中程度

充填材による

非常に優秀

非常に低い

高い

シール、ライニング

PPS

高い

低~中

良好

非常に優秀

非常に低い

高い

高温電装部品

PEEK

高い

高い

優秀

非常に優秀

低い

非常に高い

高性能部品

PI

高い

中程度

優秀

良好

グレードによる

非常に高い

高温ベアリング

19. 図面および材料仕様書への表記方法

単に「ナイロン」「アセタール」「テフロン」とだけ表記するのは十分ではない。

可能な限り、次の項目を明記する。

19.1 ベース樹脂

例:

  • PA66

  • POM-C

  • PEEK

  • PTFE

  • PC

19.2 強化材と含有量

例:

  • PA66-GF30

  • PEEK-CF30

  • PPS-GF40

  • PBT-GF30

19.3 機能性添加剤

例:

  • PTFE添加

  • 帯電防止

  • 難燃グレード

  • UV安定化

  • 金属検出可能

  • 食品接触適合

19.4 色

顔料やカーボンブラックの含有量によって、耐候性、レーザー透過性、検出性などが変化する場合がある。

19.5 製造工程

  • 射出成形用グレード

  • 押出成形用グレード

  • 機械加工用板材

  • 圧縮成形素材

  • 積層造形用フィラメント

19.6 供給メーカーのグレード

高性能部品では、供給メーカーおよび具体的な商品グレードまで指定することが望ましい。

その理由は、同じベース樹脂であっても、次の項目が異なるためである。

  • 分子量

  • 粘度

  • 強化繊維長

  • 添加剤構成

  • 熱安定性

  • 食品適合性

  • 難燃性

  • 色

  • 再生材含有量

20. 高分子材料の選定手順

20.1 機能の確認

  • 構造荷重を受けるか。

  • 摩擦部品か。

  • 電気絶縁が必要か。

  • 透明性が必要か。

  • シール機能が必要か。

  • 衝撃を吸収する必要があるか。

  • 食品と接触するか。

20.2 荷重の確認

  • 引張

  • 圧縮

  • 曲げ

  • ねじり

  • 衝撃

  • 疲労

  • 接触圧力

  • 長期静荷重

20.3 温度の確認

  • 最低使用温度

  • 連続使用温度

  • 短時間最高温度

  • 蒸気洗浄温度

  • 熱サイクル

  • 摩擦発熱

20.4 環境の確認

  • 水

  • 湿度

  • 酸

  • アルカリ

  • オイル

  • 燃料

  • 溶剤

  • 紫外線

  • 放射線

  • 真空

  • 洗浄薬品

20.5 寸法安定性の確認

  • 吸水

  • 成形収縮

  • 熱膨張

  • クリープ

  • 繊維配向

  • 後収縮

  • 残留応力

20.6 製造方法の確認

  • 射出成形

  • 押出成形

  • 切削加工

  • ブロー成形

  • 熱成形

  • 積層造形

  • 接着

  • 溶着

20.7 規制および安全性の確認

  • 食品接触

  • 医療用途

  • 難燃性

  • 電気安全

  • 有害物質

  • リサイクル性

  • 燃焼ガス

  • 粉じん安全性

21. 最終まとめ

高分子材料は単なるプラスチックではなく、分子構造、結晶化度、分子量、共重合成分、強化材、添加剤によって性能が決定される複合的な設計材料である。

ポリエチレンとポリプロピレンは、炭素と水素から構成される非極性高分子であり、低い吸水率と優れた耐薬品性を持つ。

PVCは塩素を含むことで難燃性と耐薬品性を確保するが、熱安定剤や可塑剤の構成によって特性が大きく変化する。

ABSは、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの組合せによって、耐熱性、衝撃強さ、成形性のバランスを確保する。

ポリアミドは、アミド結合間の水素結合によって高い強度と耐摩耗性を持つが、吸水による寸法変化を考慮する必要がある。

POMは、規則的なオキシメチレン構造と高い結晶化度によって、精密な寸法、低摩擦性、良好な疲労性能を提供する。

PCは、芳香族構造とカーボネート結合によって、高い衝撃強さと透明性を提供する。

PPSとPEEKは、芳香族構造と強い化学結合によって、高い耐熱性、耐薬品性、寸法安定性を確保する。

PTFEは、強い炭素–フッ素結合によって極めて高い耐薬品性と非常に低い摩擦係数を持つが、剛性および耐クリープ性には制限がある。

熱硬化性樹脂は、架橋構造によって高い耐熱性と寸法安定性を持つが、再溶融および再成形はできない。

エラストマーは、柔軟な分子鎖と制御された架橋構造によって、大きな弾性変形と回復性を提供する。

実際の高分子部品の性能は、ベース樹脂名だけでは決定されない。

次の項目を総合的に確認する必要がある。

  • ベース高分子

  • モノマーおよび繰返し単位

  • 分子量

  • 結晶化度

  • 強化材の種類と含有量

  • 無機充填材

  • 可塑剤

  • 難燃剤

  • 熱安定剤・光安定剤

  • 潤滑剤

  • 着色剤

  • 再生材含有量

  • 成形条件

  • 使用温度

  • 水分および化学環境

したがって、高分子材料の選定は、単に金属より軽い材料を選ぶ作業ではない。

部品に作用する荷重、温度、摩擦、水分、薬品、寸法安定性、製造工程、規制条件に応じて、適切な分子構造とコンパウンド構成を選択する設計プロセスである。

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