1. Overview
機械設計において、衛生/洗浄性モジュール(Hygienic / Cleanability Module)とは、製品、原料、洗浄水、作業者、周辺環境と接触する機械構造を衛生的に維持できるように設計する機能モジュールである。
一般機械では、強度、剛性、精度、速度、生産性が主な設計基準になることが多い。
しかし、食品機械、医薬品製造設備、化粧品製造設備、包装設備のように製品汚染が問題となる装置では、衛生性と洗浄性も機械性能の一部となる。
衛生/洗浄性モジュールは、単にステンレス材を使用することではない。
製品が接触する面、原料が流れる経路、洗浄水が届く部位、残留物が蓄積する空間、排水方向、分解構造、シール構造、潤滑部の分離、異物混入の可能性まで合わせて検討する設計領域である。
つまり、衛生/洗浄性モジュールは、機械の中で汚染を防止し、洗浄を可能にし、洗浄後も衛生状態を維持できるようにする設計モジュールである。
たとえば、製品接触面、ホッパー、シュート、充填ノズル、ミキシングタンク、搬送ベルト、製品ガイド、クランプパッド、洗浄カバー、排水構造、分解式治具、衛生型シール、ステンレスフレーム、オープン構造、傾斜面、洗浄アクセス空間などが衛生/洗浄性モジュールに含まれる。
このモジュールは食品機械で特に重要であるが、製品汚染、洗浄、残留物、微生物、腐食、異物混入が問題となるすべての装置に適用できる。
したがって、衛生/洗浄性モジュールは、装置完成後に清掃方法を考える問題ではなく、機械の構造と機能を設計する初期段階から検討すべき中核的な設計モジュールである。
2. Definition
衛生/洗浄性モジュールとは、機械システムにおいて製品汚染を防止し、製品接触部と周辺構造を容易に洗浄できるようにし、洗浄後に残留物、水溜まり、異物、腐食、潤滑汚染が残らないように設計する機能モジュールである。
このモジュールの中心的な目的は、次のように整理できる。
製品と接触する、または汚染の可能性がある機械構造を衛生的に維持し、洗浄と点検が可能な状態に設計すること。
衛生/洗浄性モジュールは、次のような機能を実行する。
機能 | 説明 |
|---|---|
汚染防止 | 原料、製品、洗浄水、潤滑油、粉塵、金属粉、外部異物が製品に混入することを防止する |
洗浄アクセス性確保 | 作業者が製品接触部と汚染可能部位にアクセスして洗浄できるようにする |
残留物防止 | すき間、ポケット、溝、水平面、閉じた構造に原料や水が残らないようにする |
排水性確保 | 洗浄水と原料残留物が自然に排出されるようにする |
衛生材料の適用 | 製品接触部に適した材料と表面状態を適用する |
表面平滑性確保 | 粗い表面、溶接不良、加工跡、傷に残留物が付着しないようにする |
潤滑部の分離 | ベアリング、チェーン、ギア、ガイドの潤滑部が製品区域と分離されるようにする |
分解と再組立の支援 | 洗浄、点検、交換のために部品を容易に分解し、再組立できるようにする |
異物混入防止 | ボルト、ナット、シール片、樹脂片、塗装剥離などが製品に入らないようにする |
洗浄後の機能再現性確保 | 洗浄後も位置、組立状態、機能が繰返し維持されるようにする |
衛生/洗浄性モジュールは、特定の一つの部品を意味するものではない。
機械の製品接触構造、フレーム、カバー、配管、駆動部配置、分解構造、排水構造、保守構造を含む設計視点である。
3. Role in Mechanical Systems
衛生/洗浄性モジュールは、機械システムの中で次のような役割を担う。
3.1 製品汚染を防止する
食品機械における最も重要な目的の一つは、製品汚染を防止することである。
汚染はさまざまな経路で発生する。
汚染経路 | 例 |
|---|---|
原料残留物 | 以前の製品、古い原料、乾燥して固着した残留物 |
洗浄不良 | 洗浄水が届かない死角、分解が困難な部位 |
潤滑汚染 | ベアリング、チェーン、ギア、ガイドの潤滑油 |
金属異物 | 摩耗粉、切削粉、ボルト緩み、破損片 |
樹脂異物 | カバー破損、シール片、パッド摩耗 |
腐食異物 | 錆、表面剥離、腐食した締結部 |
外部異物 | 粉塵、作業者工具、包装材片 |
微生物汚染 | 水溜まり、残留物、洗浄不良部位 |
衛生/洗浄性モジュールは、これらの汚染経路を構造的に低減しなければならない。
汚染防止は、単に清掃頻度を増やす問題ではない。
汚染が発生しにくい構造、汚染が見える構造、汚染を容易に除去できる構造を作ることが重要である。
3.2 洗浄可能な構造を作る
機械を衛生的に維持するためには、洗浄可能でなければならない。
洗浄可能性は、次の条件によって決まる。
作業者が手や清掃工具を入れられるか
洗浄水が汚染部位に届くか
分解しなくても洗浄できるか
分解が必要な場合、容易に分解できるか
洗浄後に水が排出されるか
残留物が目視できるか
洗浄後の再組立が容易か
洗浄後も機能と位置が維持されるか
良い衛生設計とは、「清潔に見える構造」ではなく、実際に作業者が洗浄できる構造である。
たとえば、カバーがあっても内部にアクセスできなければ洗浄性は低い。
ステンレス材を使用していても、すき間やポケットが多ければ残留物が残る。
分解が可能であっても、多くの工具が必要で、組立基準が不明確であれば、現場で適切に洗浄されにくい。
3.3 残留物と水溜まりを減らす
食品機械では、残留物と水溜まりが衛生問題の主な原因となる。
残留物が生じやすい構造には、次のようなものがある。
閉じたポケット
深い溝
水平面
排水されないプレート
ボルト周辺
溶接ビード周辺
ガイドレール下部
ベルト下部
ヒンジ周辺
シールとカバーの間
フレーム内部の空洞
調整スロット
重なった板金の間
残留物が残ると、微生物増殖、悪臭、腐食、異物混入、製品汚染につながる可能性がある。
したがって、衛生/洗浄性モジュールは、可能な限りオープン構造、傾斜面、排水経路、詰まりのない空間、清掃可能なすき間を持つように設計する必要がある。
3.4 製品接触面の品質を決定する
製品接触面は、衛生設計で最も重要な領域である。
製品接触面は、次の条件を満たす必要がある。
製品に適した材料であること
表面が滑らかで洗浄可能であること
鋭利な端部や傷がないこと
腐食に耐えること
洗浄剤と温度に耐えること
原料が入り込むすき間がないこと
分解と点検が可能であること
摩耗後も異物が発生しないこと
製品接触面が適切でなければ、機械が正常に作動していても、製品品質と安全性に問題が発生する。
たとえば、充填ノズル内部に洗浄できない段差があると、以前の製品が残る可能性がある。
ホッパー内部の溶接部が粗いと、粉体や粘性のある原料が付着する可能性がある。
製品ガイドに深い傷があると、残留物が残り、洗浄が困難になる。
3.5 潤滑部と製品区域を分離する
機械には、ベアリング、チェーン、ギア、リニアガイド、ボールねじのように潤滑が必要な部品が多い。
しかし、食品機械では、潤滑部が製品区域に近いほど汚染リスクが高くなる。
検討すべき要素には、次のようなものがある。
潤滑部が製品の上方に位置しているか
潤滑油が滴下する可能性があるか
チェーンやギアの摩耗粉が製品に入る可能性があるか
ベアリングシールが破損した場合、製品区域へ流入する可能性があるか
洗浄水が潤滑部へ入り、潤滑剤を洗い流す可能性があるか
潤滑部の点検と交換が可能か
保護カバーが汚染を防ぐのではなく、残留物を閉じ込めていないか
潤滑部を完全になくせない場合は、製品接触区域から分離し、滴下方向を避け、カバーと排水構造を合わせて検討する必要がある。
3.6 清掃、点検、保守を容易にする
衛生/洗浄性モジュールは、清掃と保守作業の方法に直接影響する。
検討すべき要素には、次のようなものがある。
作業者が清掃すべき部位を目視できるか
部品を容易に分解できるか
分解した部品を正確に再組立できるか
パッド、シール、ガイド、ノズルを容易に交換できるか
工具なしで分解できるか
洗浄後に乾燥できるか
点検周期を管理できるか
洗浄中にセンサーと電装品が保護されるか
衛生構造は、現場で繰返し管理されなければならない。
したがって、設計者は清掃作業者の動線、工具使用、部品重量、分解順序、再組立基準まで考慮する必要がある。
4. Main Types of Hygienic / Cleanability Modules
衛生/洗浄性モジュールは、適用位置と機能によって複数の種類に分けることができる。
種類 | 代表構成 | 主な役割 |
|---|---|---|
製品接触衛生モジュール | ホッパー、シュート、ノズル、タンク、製品ガイド | 製品と直接接触する部位の衛生確保 |
洗浄アクセスモジュール | 開閉カバー、脱着パネル、点検口 | 洗浄と点検アクセス性の確保 |
排水モジュール | 傾斜面、排水口、ドレイン、オープンフレーム | 水溜まりと残留物の防止 |
表面衛生モジュール | 研磨面、曲面処理、溶接仕上げ | 残留物付着と微生物増殖の防止 |
シール衛生モジュール | 衛生型ガスケット、Oリング、シール構造 | すき間と漏れの防止 |
分解/再組立モジュール | クイッククランプ、工具不要締結、脱着治具 | 洗浄のための迅速な分解と再組立 |
潤滑部分離モジュール | ベアリングカバー、ガイドカバー、隔離板 | 潤滑油と摩耗粉の製品混入防止 |
異物防止モジュール | 緩み止め締結、検出可能部品、破損防止カバー | 部品破損と異物混入の防止 |
洗浄水保護モジュール | 防水カバー、ケーブルシール、センサー保護構造 | 電装品と駆動部を洗浄水から保護 |
オープン構造モジュール | 開放型フレーム、アクセス可能な下部構造 | 清掃と目視確認の容易性確保 |
5. Types of Hygienic / Cleanability Design Methods
5.1 製品接触部の衛生設計
製品接触部の衛生設計とは、製品、原料、半製品、包装材が直接触れる部位を衛生的にする方式である。
代表的な構成には、次のようなものがある。
ホッパー
シュート
充填ノズル
ミキシングタンク
製品ガイド
搬送ベルト
クランプパッド
成形金型
シール接触部
排出口
Advantages
製品汚染の可能性を直接低減できる。
洗浄と点検の基準を明確にできる。
製品品質の安定性に直接寄与する。
食品機械において最も重要な衛生領域である。
製品切替時の残留物問題を低減できる。
Points to Consider
小さなすき間にも原料が残る可能性がある。
表面傷や粗い溶接部に残留物が付着する可能性がある。
製品接触材料が適切でなければならない。
洗浄剤、温度、摩擦に対する耐性が必要である。
分解後の再組立位置が再現されなければならない。
Design Review Points
製品接触範囲
材料適合性
表面状態
溶接仕上げ
端部処理
洗浄アクセス性
分解性
残留物の可能性
摩耗と異物発生
製品切替後の洗浄性
5.2 オープンフレーム設計
オープンフレーム設計とは、フレームや構造物を閉じた形状ではなく、清掃と点検が容易な開放型構造にする方式である。
代表的な構成には、次のようなものがある。
開放型ステンレスフレーム
下部清掃空間
傾斜したフレーム上面
詰まりのない支持構造
アクセス可能な取付部
目視可能な点検空間
Advantages
洗浄アクセス性が高い。
残留物と異物を確認しやすい。
内部構造が見えるため点検しやすい。
水溜まりを低減しやすい。
食品機械構造に適している。
Points to Consider
開放しすぎると安全性が低下する場合がある。
剛性と振動を合わせて検討する必要がある。
配線と配管の露出を管理する必要がある。
製品飛散と洗浄水の跳ねを考慮する必要がある。
カバーやガード構造とのバランスが必要である。
Design Review Points
清掃アクセス方向
フレーム剛性
下部空間
排水経路
安全ガードの必要性
配線/配管整理
製品飛散の可能性
フレーム断面処理
異物確認性
作業者アクセス性
5.3 排水性設計
排水性設計とは、洗浄水と原料残留物が機械内部に溜まらず、自然に排出されるようにする方式である。
代表的な構成には、次のようなものがある。
傾斜面
排水口
ドレイン
オープン床構造
傾斜カバー
水溜まり防止プレート
閉じたポケットの除去
下部排出空間
Advantages
水溜まりを低減できる。
洗浄後の乾燥が容易になる。
微生物増殖の可能性を低減できる。
腐食リスクを低減できる。
清掃時間を短縮できる。
Points to Consider
排水方向が実際の設置状態と一致している必要がある。
レベリング後も水が溜まらないようにする必要がある。
排水口が詰まらないようにする必要がある。
製品または原料が排水部に蓄積しないようにする必要がある。
排水構造が作業者安全に悪影響を与えないようにする必要がある。
Design Review Points
傾斜方向
排水位置
水溜まりの可能性
洗浄水の流れ
排水口サイズ
排水後の乾燥性
設置レベリングの影響
原料残留物の可能性
清掃アクセス性
排水部の異物防止
5.4 分解と工具不要洗浄設計
分解と工具不要洗浄設計とは、洗浄が必要な部品を迅速かつ繰返し分解できるようにする方式である。
代表的な構成には、次のようなものがある。
クイッククランプ
ハンドノブ
工具不要締結具
脱着式ガイド
分離型ノズル
脱着式ベルト
脱着式カバー
位置再現ピン
組立基準面
Advantages
洗浄時間を短縮できる。
作業者負担を低減できる。
製品切替に有利である。
洗浄品質を高めることができる。
点検と部品交換が容易になる。
Points to Consider
繰返し分解後の位置再現性が必要である。
締結力が不足すると運転中に緩む可能性がある。
小部品が異物として混入する可能性がある。
分解部品の保管と管理が必要である。
工具不要構造が逆にすき間を作らないようにする必要がある。
Design Review Points
分解が必要な部位
分解頻度
締結方式
位置再現性
作業者操作性
部品重量
分解順序
異物混入の可能性
洗浄後の再組立基準
摩耗後の締結状態
5.5 シールとすき間防止設計
シールとすき間防止設計とは、原料、洗浄水、微生物、潤滑油が入り込む、または残る可能性があるすき間を減らす方式である。
代表的な構成には、次のようなものがある。
衛生型ガスケット
Oリング
シールプレート
クランプ接続部
密閉カバー
ラウンド処理
一体型構造
すき間最小化構造
Advantages
残留物の侵入を低減できる。
洗浄性を高めることができる。
漏れを防止できる。
製品接触部の衛生性を高める。
異物混入の可能性を低減できる。
Points to Consider
シールが摩耗すると汚染源になる可能性がある。
シール裏側に洗浄されない空間が生じる場合がある。
過度な密閉は洗浄と乾燥を難しくする可能性がある。
シール材質は製品と洗浄剤に適合していなければならない。
分解と交換が可能でなければならない。
Design Review Points
シール位置
シール材質
製品接触有無
洗浄剤耐性
温度耐性
分解性
シール裏側の残留物可能性
漏れ方向
交換周期
異物発生の可能性
5.6 洗浄水保護設計
洗浄水保護設計とは、洗浄水と洗浄剤が駆動部、電装品、センサー、ベアリング、潤滑部へ侵入しないようにする方式である。
代表的な構成には、次のようなものがある。
防水カバー
ケーブルグランド
センサー保護カバー
モーター保護カバー
配線ダクト
排水方向調整板
シール構造
固定配管保護構造
Advantages
電装品の故障を低減できる。
センサー誤検出を低減できる。
ベアリングとガイドの寿命を保護できる。
潤滑剤の流出を低減できる。
洗浄作業の自由度を高めることができる。
Points to Consider
保護カバー内部に水が溜まらないようにする必要がある。
密閉構造が熱と湿気を閉じ込めないようにする必要がある。
ケーブルとセンサーの交換が可能でなければならない。
保護構造が洗浄死角を作らないようにする必要がある。
排水方向を考慮する必要がある。
Design Review Points
洗浄水の方向
電装品位置
センサー保護の必要性
ケーブル引込部
カバー排水性
内部結露の可能性
保守アクセス性
防水レベル
洗浄剤の影響
潤滑部保護
6. Main Design Criteria
衛生/洗浄性モジュールを設計する際には、次の基準を検討する必要がある。
6.1 製品接触の有無
最初に検討すべきことは、その部位が製品と直接接触するかどうかである。
区分 | 説明 |
|---|---|
直接製品接触部 | 製品、原料、半製品が直接接触する部位 |
間接製品接触部 | 飛散、落下、結露水、洗浄水などを通じて製品に影響を与える可能性がある部位 |
非接触部 | 製品と直接接触しないが、周辺汚染源になり得る部位 |
洗浄接触部 | 洗浄水が届き、残留物が残る可能性がある部位 |
保守接触部 | 作業者の手、工具、潤滑剤が接触する可能性がある部位 |
直接製品接触部には、最も高いレベルの衛生設計が必要である。
しかし、非接触部であっても、製品の上方にある場合や、洗浄水が流れて製品区域へ入る可能性がある場合は、重要に検討する必要がある。
6.2 材料選定
衛生/洗浄性モジュールにおいて、材料は非常に重要である。
検討項目には、次のようなものがある。
製品接触適合性
耐食性
洗浄剤耐性
温度耐性
耐摩耗性
表面処理の可能性
異物発生の可能性
検出可能性
破損時の混入リスク
コストと加工性
食品機械ではステンレスが多く使用されるが、すべての部位を無条件にステンレスで作ることが正解ではない。
製品特性、洗浄条件、強度、摩耗、コスト、加工性を合わせて考慮する必要がある。
6.3 表面状態
表面状態は、残留物の付着と洗浄性に直接影響する。
検討項目には、次のようなものがある。
表面粗さ
溶接部仕上げ
加工跡
傷
鋭利な端部
酸化皮膜
コーティング剥離の可能性
接着剤残留
腐食の可能性
摩耗後の表面変化
表面が粗い、または傷が多いと、原料が付着しやすくなり、洗浄が難しくなる。
特に粘性のある原料、粉体、タンパク質、脂肪成分は表面状態に敏感である。
6.4 すき間、ポケット、死角
衛生設計で避けるべき代表的な構造は、洗浄できないすき間とポケットである。
検討項目には、次のようなものがある。
重なった板材の間
ボルト周辺
調整スロット
溶接されていないすき間
深い溝
止まり穴
カバー内部
ヒンジ周辺
シール裏側
フレーム内部の空洞
これらの部位は清掃が困難で、残留物が残りやすい。
したがって、可能な限り構造を単純化し、開放し、見えるようにし、洗浄可能な方向で設計する必要がある。
6.5 排水性と乾燥性
洗浄後に水が残ると、衛生問題が発生する可能性がある。
検討項目には、次のようなものがある。
傾斜面の適用有無
排水方向
水溜まりの可能性
下部排出空間
ドレイン位置
排水後の乾燥時間
設置水平状態
洗浄水の流れ
結露発生の可能性
内部空洞の排水可能性
排水性は、図面上の傾斜だけで決まるものではない。
実際の設置状態、レベリング、床勾配、洗浄方向まで合わせて考慮する必要がある。
6.6 分解性と再組立性
洗浄のために分解が必要な部品は、容易に分解でき、再び正確に組み立てられなければならない。
検討項目には、次のようなものがある。
分解の必要性
分解頻度
工具の必要性
部品重量
作業者アクセス性
組立基準面
位置決めピン
締結力確認
誤組立防止
洗浄後の機能確認
分解性だけが良く、再組立性が悪ければ、現場で品質問題が発生する。
したがって、分解構造には必ず位置再現性と誤組立防止構造が必要である。
6.7 洗浄方法と運転条件
衛生/洗浄性設計は、実際の洗浄方法を基準に検討しなければならない。
検討項目には、次のようなものがある。
乾式清掃か湿式洗浄か
高圧洗浄の有無
洗浄剤の種類
洗浄温度
洗浄頻度
分解洗浄の有無
自動洗浄の有無
洗浄後の乾燥有無
製品切替頻度
アレルゲンまたは香気成分の残留可能性
同じ装置でも、洗浄方法によって必要な構造は異なる。
湿式洗浄装置では、防水、排水、腐食防止が重要であり、乾式粉体装置では、粉塵蓄積と吸湿防止がより重要になる場合がある。
6.8 異物混入防止
衛生/洗浄性モジュールは、異物混入防止も合わせて考慮しなければならない。
検討項目には、次のようなものがある。
ボルト緩みの可能性
ナット脱落の可能性
シール破損の可能性
樹脂カバー破損の可能性
ベルト摩耗粉
ブラシ毛の脱落
金属摩耗粉
塗装剥離
腐食片
作業者工具の混入
異物混入は製品安全と直結する。
したがって、製品上方にある部品、繰返し摩耗部品、分解部品、小さな締結部品には特に注意する必要がある。
7. Interface with Other Modules
衛生/洗浄性モジュールは、ほぼすべての機能モジュールと接続される。
7.1 材料取扱モジュールとの関係
材料取扱モジュールは製品と直接接触する場合が多いため、衛生性と洗浄性が重要である。
検討項目には、次のようなものがある。
ホッパーとシュート内部に残留物が残らないか
コンベヤベルト下部を洗浄できるか
製品ガイドを容易に分解できるか
搬送中に製品が汚染されないか
排出口に閉じたポケットがないか
製品切替時に洗浄できるか
7.2 加工/作業モジュールとの関係
加工/作業モジュールは原料状態を変化させるため、残留物と汚染リスクが大きい。
加工/作業機能 | 衛生/洗浄性要求 |
|---|---|
切断 | 刃物とガイド周辺の残留物除去 |
混合 | タンク内部、攪拌軸、シール周辺の洗浄 |
充填 | ノズル内部、バルブ、配管の残留物防止 |
シール | 高温部周辺の炭化物と包装材残留物の除去 |
成形 | 金型表面、残留物、すき間の洗浄 |
圧着 | 圧着面の汚染と製品破片の除去 |
冷却 | 結露水、排水、結露管理 |
7.3 ツーリングモジュールとの関係
ツーリングモジュールは製品と直接接触する場合が多い。
検討項目には、次のようなものがある。
工具表面が洗浄可能か
工具交換後に位置が再現されるか
工具と治具の間に残留物が残らないか
摩耗した工具が異物を発生させないか
工具材料が製品と洗浄剤に適合しているか
工具の分解と洗浄が可能か
7.4 保持/クランプモジュールとの関係
保持/クランプモジュールは、製品を直接保持または支持する場合が多い。
検討項目には、次のようなものがある。
クランプパッドが製品に適しているか
パッド表面に残留物が残らないか
治具ポケットを洗浄できるか
クランプ内部のすき間に原料が入り込まないか
パッドやシールが摩耗して異物を発生させないか
分解と交換が容易か
7.5 運動/位置決めモジュールとの関係
運動/位置決めモジュールは、ガイド、ボールねじ、センサー、ストッパーを含むため、洗浄性と潤滑部分離が重要である。
検討項目には、次のようなものがある。
リニアガイドが製品区域と分離されているか
ボールねじの潤滑油が製品側へ滴下する可能性があるか
ストッパー周辺に残留物が残らないか
センサーブラケットが洗浄可能か
洗浄後も位置繰返し性が維持されるか
ガイドカバーが残留物を閉じ込めていないか
7.6 駆動および動力伝達モジュールとの関係
駆動部と動力伝達部には、潤滑、摩耗、粉塵、洗浄水侵入の問題がある。
検討項目には、次のようなものがある。
モーターと減速機が洗浄水から保護されているか
チェーンとギアが製品区域と分離されているか
ベルト摩耗粉が製品に入らないか
ベアリング潤滑部が遮断されているか
カバー内部に水が溜まらないか
保守時に汚染が発生しないか
7.7 構造支持モジュールとの関係
構造支持モジュールは、装置全体の洗浄性と排水性に大きく影響する。
検討項目には、次のようなものがある。
フレームに水が溜まらないか
オープン構造で清掃可能か
ボルトやブラケット周辺に残留物が残らないか
溶接部が衛生的に仕上げられているか
下部空間を清掃できるか
フレーム材料が腐食に耐えるか
7.8 安全/ガードモジュールとの関係
安全/ガードモジュールは作業者を保護するが、洗浄性を妨げる場合がある。
検討項目には、次のようなものがある。
カバーが容易に開き、洗浄できるか
透明カバー内側に残留物が残らないか
インターロックスイッチが防水されているか
ガードが洗浄死角を作っていないか
カバー破損時に異物混入リスクがあるか
清掃後も安全機能が維持されるか
8. Application in Food Machinery
食品機械において、衛生/洗浄性モジュールは選択事項ではなく、装置の基本設計条件である。
食品機械の衛生/洗浄性モジュールで重要な条件は次の通りである。
設計条件 | 説明 |
|---|---|
食品接触材料 | 製品と接触可能な材料を使用する必要がある |
表面平滑性 | 原料が付着しにくく、微生物が増殖しにくい表面である必要がある |
洗浄アクセス性 | 製品接触部と周辺汚染部位を容易に洗浄できる必要がある |
残留物防止 | すき間、ポケット、水平面、閉じた構造を減らす必要がある |
排水性 | 洗浄水と原料残留物が溜まってはならない |
分解性 | 洗浄が必要な部品は容易に分解できる必要がある |
再組立性 | 洗浄後に正確に再組立される必要がある |
潤滑部の分離 | 潤滑油と摩耗粉が製品に入ってはならない |
防水性 | 洗浄水が電装品、センサー、駆動部へ侵入してはならない |
異物防止 | 部品破損、摩耗、緩みによる異物混入を防止する必要がある |
食品機械では、次の質問を常に確認する必要がある。
製品はどこに接触するか。
洗浄水はどこへ流れるか。
原料はどこに残るか。
作業者はどこまで清掃できるか。
洗浄後、水はどこに溜まるか。
潤滑油や摩耗粉が製品側へ移動する可能性があるか。
分解した部品は正確に再組立されるか。
衛生/洗浄性設計は、製品品質、食品安全、生産性、清掃時間、保守性、装置寿命のすべてに影響する。
9. Common Design Mistakes
衛生/洗浄性モジュールでよく発生する設計ミスには、次のようなものがある。
9.1 ステンレスを使えば衛生的だと考える
ステンレス材を使用していても、すき間、ポケット、粗い溶接部、水溜まりがあれば衛生的ではない。
衛生設計は材料だけの問題ではなく、構造、表面、排水、分解、洗浄アクセス性の問題である。
9.2 設計後半で洗浄性を検討する
装置構造を先に完成させてから洗浄性を検討すると、アクセスできない部位、排水不良、カバー干渉、分解困難が発生しやすい。
洗浄性は、初期レイアウトと構造設計段階で同時に決定する必要がある。
9.3 水溜まりと排水方向を無視する
図面上では問題がないように見えても、実際の設置後に装置を水平調整すると、特定部位に水が溜まる可能性がある。
排水性は、実際の設置状態、レベリング、床条件、洗浄方向まで考慮する必要がある。
9.4 分解できるが再組立基準がない
洗浄のために分解できても、再組立時に位置が変われば、生産品質も変わる。
分解式部品には、位置決め構造、組立方向表示、誤組立防止構造が必要である。
9.5 カバーとガードが洗浄死角を作る
安全のためにカバーを設置しても、その内部に原料が入り込み、洗浄が難しければ衛生問題になる。
安全ガードは洗浄性と合わせて設計する必要がある。
9.6 潤滑部を製品の上方に配置する
ベアリング、チェーン、ギア、リニアガイドが製品の上方にあると、潤滑油、摩耗粉、洗浄水が製品側へ落下する可能性がある。
潤滑部は可能な限り製品区域から離して配置し、必要な場合は隔離構造と排水構造を合わせて設計する必要がある。
10. Design Checklist
衛生/洗浄性モジュールを設計する際には、次の質問を使用できる。
10.1 製品接触の確認
製品、原料、半製品が直接接触する部位はどこか。
間接的に製品へ影響を与える可能性がある部位はどこか。
製品上方に位置する部品は何か。
製品接触材料は適切か。
摩耗または破損時に異物が発生しないか。
10.2 洗浄性の確認
作業者が洗浄すべき部位を目視できるか。
手、ブラシ、水、洗浄剤が汚染部位に届くか。
分解なしで洗浄できるか。
分解が必要な場合、容易に分解できるか。
洗浄後に正確に再組立されるか。
10.3 残留物の確認
すき間、溝、ポケット、水平面があるか。
ボルト周辺や調整スロットに原料が蓄積しないか。
カバー内部に残留物が残らないか。
溶接部や端部に原料が付着しないか。
製品切替後に以前の製品が残らないか。
10.4 排水性の確認
洗浄水が自然に排出されるか。
水が残る水平面があるか。
排水口が詰まりにくいか。
設置とレベリング後も排水されるか。
洗浄後に乾燥できるか。
10.5 駆動部と潤滑部の確認
潤滑部が製品区域と分離されているか。
潤滑油が製品側へ滴下する可能性があるか。
洗浄水がベアリング、ガイド、モーターへ侵入しないか。
カバーが潤滑部を保護しながら残留物を閉じ込めていないか。
保守中に汚染が発生しないか。
10.6 保守と異物防止の確認
シール、パッド、ベルト、ノズルを容易に交換できるか。
小さな締結部品が製品に混入する可能性があるか。
摩耗部品を容易に点検できるか。
カバー破損や塗装剥離の可能性はないか。
洗浄後も機能と位置が維持されるか。
11. Summary
衛生/洗浄性モジュールは、製品汚染を防止し、製品接触部と周辺構造を容易に洗浄できるようにし、洗浄後に残留物、水溜まり、異物、腐食、潤滑汚染が残らないように設計する中核的な機能モジュールである。
このモジュールは、製品接触面、ホッパー、シュート、ノズル、タンク、製品ガイド、クランプパッド、洗浄カバー、排水構造、分解式治具、衛生型シール、オープンフレーム、防水構造、潤滑部分離構造などで構成される。
衛生/洗浄性モジュールは、単にステンレスを使用する問題ではない。
材料、表面状態、構造形状、すき間、ポケット、排水性、分解性、再組立性、洗浄方法、潤滑部分離、異物混入防止を合わせて検討する設計領域である。
このモジュールを設計する際には、製品接触の有無、材料、表面平滑性、洗浄アクセス性、残留物防止、排水性、乾燥性、分解性、再組立性、洗浄方法、防水性、保守性、異物防止を総合的に検討する必要がある。
また、衛生/洗浄性モジュールは、材料取扱モジュール、加工/作業モジュール、ツーリングモジュール、保持/クランプモジュール、運動/位置決めモジュール、駆動モジュール、動力伝達モジュール、構造支持モジュール、安全/ガードモジュールと直接接続される。
特に食品機械では、衛生/洗浄性モジュールが装置の基本設計条件である。
製品がどこに接触するか、原料がどこに残るか、洗浄水がどこへ流れるか、作業者がどこまで清掃できるか、潤滑油や異物が製品に入る可能性があるかを、初期設計段階で検討しなければならない。
したがって、衛生/洗浄性モジュールは清掃作業のための付加要素ではなく、食品機械の製品安全性、品質安定性、生産性、保守性、装置信頼性を決定する中核的な設計モジュールとして理解すべきである。